ゴダールもやろうと思えばいわゆる商業映画のフィールドでヒットメーカーになれたのではないかと思わせる一編。
色彩のポップなこと、アンナ・カリーナのコケティッシュな魅力、ミュージカル仕立てで音と画面がズレてはいるのだが、その処理がまた新鮮。音楽はミシェル・ルグラン。
ジャン=ポール・ベルモンドにジャン=クロード・ブリアリ といったヌーヴェルバーグ出身のスターが並ぶのも賑やか。
字幕の使い方など昔のハリウッド製歌入り映画で歌に合わせて字幕が出たのをポップにアレンジしたようでもある。
ベルモンドが「勝手にしやがれ」が見たいなんて言う楽屋オチもあったりする。
「ピアニストを撃て」も引用されるし、ヌーベルバーグも仲良しと内輪ウケやってられた時期なのだな。
これが次作の「女と男のいる舗道」になるとうって変わって悲劇的でペシミスティックな調子になる。
細かく章立てされて情感や展開もバラバラに解体されていたよう。
そうなってからがいわゆるゴダールなのではあるけれど。