覆面の正義の味方って、日本でいうと月光仮面か黄金バットを映画化しようというような、あまりといえばあまりに古めかしい企画で、それを今(2013年製作とすでに10年前だが)に通じるように仕立てるには余程の考え直しと技術が要るだろう。
先住民のコマンチが従者のトントという設定だったのを一応対等のバディに仕立て直すのに手間隙かけていて、スターとしてはレンジャー役のアーミー・ハマーより格上のジョニー・デップ(実際に先住民チェロキーの血が入っている)をもってきて、このあたりの配慮がややこしい上に博物館の標本になっているトントが語るという信用できない語り手による語り口が回りくどくて2時間30分もある。
「ハイヨー、シルバー(愛馬の名前)」とかけ声と共に「ウィリアム·テル序曲」がかかる定番までに持っていくまでの手続きの多いこと。
とはいえ序曲から後、えんえんと音楽を流しっぱなしの見せ場自体は見ごたえのあるのはさすがにハリウッド製ではあります。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでは帆船を生かしたわけだけれど、ここではブラッカイマー印らしく鉄道が大々的にフューチャーされ、クライマックスで二台の列車がえんえん平行しながら走りながらのアクションは新趣向。ずうっと平行しているのだったら二台走らせるのは非効率ではないかというのはヤボだろう。