prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「包帯クラブ」

2007年10月03日 | 映画
みんなで集まって誰かが傷ついた場所に行き、そこに包帯を巻く、というモチーフでつまづいてしまう。
劇中でも「偽善者」とネットに書き込まれたりしている(それも実は本気で書き込まれているわけではない)が、「人の痛みは百年でもガマンできる」という方が普通だと思うので、他人の痛みは本当にはわからなくても、なんとかわかろうとする、という組み立てというか、出発点がズレている感じで、どうにも乗れなくて困った。
「痛み」の表現がみんなオハナシで、痛い感じがあまりしないのだね。

包帯が巻かれている風景というのはクリストのアートのミニチュアみたいではあるけれど、どうも視覚的にあまりぱっとしない。
(☆☆☆)



「TOKYO BLOOD」

2007年10月02日 | 映画
石井聰亙監督以下のスタッフが同じという以外、互いに関係ない四話のオムニバス。
1993年のお台場の風景が見られる第二話「自転車」が女の子たちが乗った自転車をフォローするカメラワークが軽快で一番楽しめる。
第一話の音声処理、風景や物のフェティッシュな捕らえ方などずいぶん凝ってはいるが、全体にストーリーがないに等しく、モノを羅列して終わりという感じなので一話が十分足らずでもどうもダレる。
東京の風景の激変ぶりに改めて唖然とさせられた。
(☆☆★★)


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「サルバドールの朝」

2007年10月01日 | 映画
独裁制批判と家族との関わりと、死刑方法そのものの残酷さの告発と、いろいろな要素が混ざっていて、重苦しい感銘はあるけれど、何を言いたいのか今ひとつ不分明な気がする。

刑を執行する側でも同情的なのと悪質なのとの描き分けがされているのが珍しい。
死刑執行人が妙にクール。「仕事」でやってますという感じ。
(☆☆☆★)