VAYA CON DIOS/ [ シリーズ通算 #229]
1972年9月11日のチリのサルバドル・アジェンデ大統領暗殺とともにピノチェト将軍による軍事独裁政権が樹立した裏でアメリカの情報機関が暗躍した問題がモチーフ。
チリで活動していて拉致され拷問の末殺されたアメリカの左翼青年、というと明らかに映画「ミッシング」を思わせる。
9.11というともっぱらアメリカでの同時多発テロの日付が取り上げられるが、チリではアメリカの後ろ盾を受けた軍部のクーデターで「民主的に」選挙で選ばれた共産党政権が倒された日付ということになる。
アメリカのいうご都合主義的な「民主主義」の典型例。
チリ軍部とぐるになっていたアメリカ情報部の将校をアメリカで殺人罪で起訴する、という相当に強引な展開になる。マッコイ(サム・ウォーターストン)はしばしばこういうムチャとも思える真似をします。
シリーズ10のしめくくりである長い力の入った演説が聞かせどころ。
一方でこういうリベラル的な立場の主張もあってバランス感覚がとれていて、リベラルとはいっても日本の進歩的人士と違って喧嘩が強いのがアメリカらしい。
調べてみると、この政変を描いた映画「サンチャゴに雨が降る」は1975年の製作だから事件のわずか3年後、「ミッシング」(1982)でも10年後に過ぎない。この番組が製作されたのはさらに2002年。
この間、映画によるもの以外にも数々の告発を受けて、しかしアメリカ情報部その他が責任をとったといえるのか。
アルゼンチンの軍事独裁を描いた「オフィシャル・ストーリー」などでも拷問のやり方など似ているのが不思議だったのだが、
「反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO!」 (集英社新書 420D)によると、もともとアメリカ肝いりで作られた情報網の作り方の学校によって各南米国の情報員に教えられたものだという。似ているわけだ。
※ ホイットマンという男性の遺体が見つかる。彼はチリで殺された息子ジェイソンの事件を追っていた。刑事たちが親子の死の真相を追っていくと、やがて恐ろしい事実が明らかになる。
ゲスト:ジョー・モートン『ターミネーター2』
脚本:ルネ・バルサー、リチャード・スウェレン
監督:クリストファー・ミシアーノ
LAW & ORDER VAYA CON DIOS - IMDb
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