prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

8月9日(火)のつぶやき

2016年08月10日 | Weblog

「アイ・フランケンシュタイン」

2016年08月09日 | 映画
フランケンシュタインというのはもともとモンスターを造った科学者の名前なのがモンスターの名前にされてしまったのは有名だけれど、そのズレそのものを一応ストーリーの肝にはしています。

ただとにかくでかい吸血族みたいな連中がCGで大量に飛び回るのが映画としての見せ場になっていて、造物主に反抗して倒しなり替わるといったストーリーラインがはっきりしなくなってきている。
かなり「アンダーワールド」調ですね。

アーロン・エッカートは「ダークナイト」のツーフェイス役からのスピンみたい。

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映画『アイ・フランケンシュタイン』 - シネマトゥデイ

8月8日(月)のつぶやき

2016年08月09日 | Weblog

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」

2016年08月08日 | 映画
赤狩りをする側としてマッカーシーやニクソンといった政治家より、元女優のコラムニストのヘッダ・ホッパーを主にジョン・ウェインなどが加わるハリウッド内部の協力者たちを前面に立てている。
反共ヒステリーは冷戦下のアメリカ全体を覆ったのだが、かなりハリウッド村内部の相克に絞った描き方といっていいだろう。

そして告発されて戦う側も一枚岩ではいられず、進歩的なことを言っていられる人間は経済的に恵まれているからという皮肉や、売れている者といない者の間の金の貸し借りから来る感情のしこりや、脚本家のように表に出ないで脚本だけ書いていれば一応仕事になるのと違い、表に出られなかったら仕事にならない俳優業(エドワード・G・ロビンソンに代表される)の苦境と転向など、立場によって違う複雑な色合いとニュアンスに彩られている。

その中で軸になっているのは家族の存在というのがアメリカらしい。父親が逮捕され投獄されても見放さず、とにかく匿名でやたら書きまくって生計を立てる間も協力し続けている様子がおもしろく、娘が大きくなって反抗期を迎えたのをパンチングボールをひっぱたいてみなさいとダイアン・レインの妻がまず自分がやってみせるのが可笑しい。
そけらを過剰に感動的に描かないで、とにかく生活、生計を立てなくてはならず、そのためには家族が一致して協力する姿が自然に描かれている。

投獄される場面で全裸にされ(ブライアン・ラングストンは「ブレイキング・バッド」でもよく裸になっていたなあ)、肛門まで調べられるシーンの屈辱感というのは相当なもの。

ヘレン・ミレン扮するホッパーが元女優で、役と引き換えに身体を要求され断った、といったセリフがあるが、だから女優業からコラムニストに転向して権勢をふるったのではないかと思わせる元女優らしい華やかさと厭らしさをないまぜていて流石。
心根の腐ったには違いないが、それなりの根拠がありそうな厚みがある。

エドワード・G・ロビンソンのマイケル・スタールバーグ、カーク・ダグラス役のディーン・オゴーマンなど顔もかなり似せていて、バックステージもののにぎにぎしさを出している。

ダグラスの自伝「くず屋の息子」によると、「スパルタカス」でトランボのクレジットを出せないのでどうしようと他のプロデューサーと相談していると、当時新人だった監督のキューブリックが「それではぼくの名前にすればいい」と言い出したので「君は一行も書いていないだろう」とダグラスは怒ってしまい、映画で描かれたようにすでになし崩し的な情勢にはなっていたのだが、ではトランボの名前を出すことにしようとへそを曲げたということになっている。
さらにキューブリックを「才能あるくそったれ」と書いているという調子。まあどっちも相当なものです。
キューブリック側に言い分だと、シナリオが気に入らず改訂しようとしたのだが受け入れられなかったということになる。

ジョン・グッドマン扮する三流映画専門のプロデューサーが役者を使わせないぞと圧力をかけられて、俺の作る映画にまともな役者などいるかと反撃し、バットで叩きだすシーンが痛快。
イデオロギーなど関係あるか、儲かればいいのだという態度で結果として自由を守るというのは、「右も左も関係あるかい、わしは大日本映画党や」と左翼系監督を起用したマキノ光男や、ロジャー・コーマンを小粒にしたよう。
(☆☆☆★★★)

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8月7日(日)のつぶやき

2016年08月08日 | Weblog

「AMY エイミー」

2016年08月07日 | 映画
ときどき入る空撮(ドローンか?)以外、携帯かスマホで撮った映像が大半を占める、というか今更それだけ日常的にカメラで撮られて記録されているのだな。エイミーも特に前半は何でもない女の子だったのだし、たぶんふつうの人間で編集すれば一本の映画になるようなの、いくらもいるだろう。

画質はおよそ良くないけれど、音は相当ブラッシュアップしていて、最初の方のまだデビュー前の歌ですでにガツンとくるのだから、ただごとではない。トニー・ベネットがビリー・ホリディーやエラ・フィッツジェラルドにも匹敵するというのも頷ける。

生の報道陣のカメラの砲列にさらされ、ひきつけを起こしそうな量のフラッシュを浴びせられる実写など、首をすくめたくなる凄まじいプレッシャーで、後半はアルコールとドラッグに溺れるのだけれど、無理もなく思える。

憧れのトニー・ベネットと共演するあたりの緊張の仕方が、「プロ」になる前と何も変わらないのがなんとも可愛らしく痛ましい。

小さい時、家を出て行って娘が成功するとしれっとして取り巻きに入る父親が悪気がなさそうなのが憎たらしい。

グラミー賞を受賞する前後の表情やリアクションなど、劇映画かと思うくらいできすぎている。

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8月6日(土)のつぶやき その2

2016年08月07日 | Weblog

8月6日(土)のつぶやき その1

2016年08月07日 | Weblog

「おみおくりの作法」

2016年08月06日 | 映画
孤独死した人をその宗教などから類推できる作法でおみおくりしてきた男が、丁寧にやりすぎて採算が合わないと切り捨てられてしまうのがいかにも経済原則オンリーの現代らしい。
宗教が必ずしも死を看取るものとして機能していないのもそう。

男のたたずまいが静謐で、そして少しどこかゆがんだ感じなのもふさわしい。

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8月5日(金)のつぶやき

2016年08月06日 | Weblog

「ファインディング・ドリー」

2016年08月05日 | 映画
メメントばりにすぐ記憶が途切れてしまうキャラクターと健常なキャラとのすれ違いっぷりは発達障害みたいで、それをアニメーションで表現するにあたって行動の記録とかを参考にしているのかもしれないと想像したりした。

ストレンジャーとの付き合い方というのは、やはりアメリカ製コンテンツの基礎みたいなところがある。かわいいけれど困った存在の、困った部分を掬い上げている。

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8月4日(木)のつぶやき

2016年08月05日 | Weblog

「疑惑のチャンピオン」

2016年08月04日 | 映画
ロシアのドーピング問題によるオリンピック不参加が決まったこの時期によく公開された、と思う。ロシアの問題が浮上したのは偶然だろうが、一種痛快ですらある。
この中のセリフでは一番ドーピングが進んでいたのは東ドイツということになっていたが。

スポーツの国際的イベントの利権化の巨大さと美化と感動の商品化がマスコミに乗らないだけで秘密でも何でもなくなっている時に、バックステージの選手の凄まじい勝利へのどろどろしたきれいごとでない執念と、一人を優勝させるための周囲のサポート、あるいは犠牲をかなりがっちり描いている。

正義感よりは犠牲者の嫉妬や憤懣が結局スキャンダルを暴露したわけだし、正規の法的な手続きでは立証責任は告発する側にかかってくるから、一応暴露はされてもまことにもどかしくカタルシスは薄い。告発する側もスポーツの勝者にある意味ぶら下がっている存在であることに違いはないシステム上の問題でもあるだろう。

自転車レースシーンのスピード感とフォームは見事なもので、あんなので転倒したらと首をすくめる感じがする。
(☆☆☆★)

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映画『疑惑のチャンピオン』 - シネマトゥデイ

8月3日(水)のつぶやき

2016年08月04日 | Weblog

「ロスト・バケーション」

2016年08月03日 | 映画
サメ映画、といっても午後のロードショーでやる荒唐無稽比べみたいなのではなく、サメそのものは大きめだけれどふつうです。

すぐそこに岸が見える岩礁に辛うじて逃れたヒロインに一難去ってまた一難というのは、雨リス映画得意のワン・アイデアで押し通す作劇で、こういうシンプル・イズ・ベスト式の作りはたまに出るが、うまくいくのは結構難しいが、これはうまくいった例。

ヒロインが負傷して出血が止まらず、縫って処置したり(医学生という設定が生きた)、だんだん唇が紫になるあたりののリアルな調子もよくできている。

原題は The Shallows(浅はかな者たち)。必ずしも悪い意味ではなく、見た途端忘れてしまうような映画。
(☆☆☆★)

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