prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

3月15日(水)のつぶやき

2017年03月16日 | Weblog

「ヒメアノ~ル」

2017年03月15日 | 映画
イケメンの森田剛をサイコキラーに、一見して冴えない濱田岳が可愛い女の子の佐津川愛美と仲良くなるというキャスティングが刺激的。

「デストラクション・ベイビーズ」もそうだったけれど、正直日本映画で最近受けている暴力ものというというのは良くも悪くもひとごとみたいな白けたよそよそしさがついてまわる。
自傷癖が他に向けられているみたいというか、被害者意識が加害者性に逆転しているようというか。
それなりのリアリティがあるのかもしれないけれど、扱いが十分に批評的ではないというか、もっと言うとどうも甘い気がする。
(☆☆☆)

映画『ヒメアノ~ル』 - シネマトゥデイ

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3月14日(火)のつぶやき

2017年03月15日 | Weblog

「ブルックリン」

2017年03月14日 | 映画
アイルランドからニューヨークのブルックリンにわたってきた女の子が同郷の人たちと暮らす昔ながらの人情劇としての情感たっぷり、それがいったん実際にアイルランドに戻るとずいぶん旧弊なとこがあるのに気づいてしまい、なんで故郷からアメリカに渡ったのかわかる、という、新しい故郷を見出すドラマとしても良くできている。

1951年から52年にかけての時代色の出し方、単色で毛糸織りの多い衣装の色の合わせ方、恋人との関係で変にイヤな性格やジャマになる設定を入れずに素直な展開になるのも好ましい。

水着をあらかじめ上着の下に着こんでいくというアメリカ式の着替え方にびっくりしたり、故郷に帰って得意げに教えたりするのがいかにもお上りさん的な感覚も可笑しい。

シアーシャ・ローナンはこれに出た当時まだ二十歳をちょっと過ぎた程度なのだけれど、「つぐない」に出た十四歳の頃に比べてかげろうみたいな体形がずいぶん丸々としたのにびっくり。
(☆☆☆★★★)

ブルックリン 公式ホームページ

映画『ブルックリン』 - シネマトゥデイ

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3月13日(月)のつぶやき その2

2017年03月14日 | Weblog

3月13日(月)のつぶやき その1

2017年03月14日 | Weblog

「彼らが本気で編むときは、」

2017年03月13日 | 映画
母親が男遊びに現を抜かして小学生の娘をほったらかしにしてほっつき歩いているもので、母の弟と同棲(というか事実婚)状態の同性パートナー(生田斗真)の二人の男が娘の面倒をみることになる。そのうち愛情を持たない本当の母より愛情を持った同性愛カップルの方に娘もなついていく、となるとこれはもうあからさまに「チョコレート・ドーナツ」と同じような話ということになる。

違うのは娘がダウン症ではなくふつうの子であることと、それほど激しいホモフォビアや理不尽な行政の介入を受けないことで、要するにこれまでの荻上直子監督作同様にドラマとしても演出タッチも激しい波風を立たないように仕立ててある。

そうなると生活描写の細かいところに目がいくことになるわけだが、困ったことにそこでいちいち何か小骨がひっかかるのだな。

具体的に言うと、冒頭で干してある洗濯物がしわしわでなくきれいで、おそらく叩いてから干してある、つまり手をかけているから割ときちんと家事をしている家なのかと思うと、もっぱら娘にコンビニのおにぎりを食べさせている、つまり食事に手を抜いているという描写になり、それだったらカップラーメンやスナックやお菓子類を食べさせるのではないかと思うし、洗濯には手を抜いていないのと矛盾する。

さらに新しい家でちゃんとした食事を食べさせてもらって感激するのだが、そのメニューが鳥の唐揚げで、いきなりどんときれいに揚げた唐揚げが大皿に盛ってあるという描写になるのだが、ちゃんと作っていたらその間音も匂いもするわけで、そばにいた娘が気づかないわけがないのだ。感激するのだったら、その段階にならないのか。

さらにタコさんウィンナーが入ったお弁当をもったいなくて食べるのが遅くなったからお腹を壊すというとになるけれど、そこまでウィンナーって足が速いものかと思うし、預かっている子供がお腹壊したらもう少し慌てると思う。まして生田斗真は介護の仕事をしているという設定だ。

さらに生田は見たところ女装した男にしか見えないわけで、あれで老人ホームで反発する入居者は出てこないのだろうか。小池栄子の同級生の母親は一目で気持ち悪がって、息子にあんな人たちと付き合ってはいけませんと言い出すわけで、とするとより年配の人が常識的にいってもっと違和感を覚えるものではなかろうか。

映画のウソとして割り切ろうとするには描写の約束事のラインがどうもぐらぐらしていて、落ち着かない。

LGBTをごく普通の存在として描いているには違いないのだけれど、その普通自体が実在する普通にあまり見えないのだな。

なんだか文句ばっかり並べたが、役者はみな良いし、全体に見せ方が落ち着いているだけでなく芝居場でメリハリがつくようになった。特に去年の「怒り」にせよ良い男が同性カップルを演じるリスクをとるようになったのは進歩だと思う。
(☆☆☆)

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映画『彼らが本気で編むときは、』 - シネマトゥデイ

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3月12日(日)のつぶやき

2017年03月13日 | Weblog

「トリプルX:再起動」

2017年03月12日 | 映画
再起動、なんて副題についているからシリーズものであることは確かで、見たかもしれないがどんなのだったっけと首をひねったのだが、覚えていないのも不思議はないので第一作は15年前、二作目は主役がヴィン・ディーゼルからアイス・キューブへと交代していて、第三作である本作でまたヴィンにと戻ったという、タイムスパンも長ければ主役も不定というややこしさ。しかも二作目はビデオスルーだというからフォローしきれない。

おかげで次々に出てくる脇のキャラクターがそれぞれ訳ありげなのだけれどどんなキャラだったかさっぱりわからないで困った。いや困ることもないので外観と得意技が違うゲームキャラと大して変わらない描き方なのだが、ところどころ意味ありげな描写が出てきてその意味がさっぱりわからない。早い話二作目は確実に見ていないのでアイス・キューブがなんで出てきたのかわからなかった。
さらにヴィン・ディーゼルのもう一つのシリーズものである「ワイルド・スピード」とかなり混ざる。

だからダメかというと別に気にするような作りではなく、ドンパチと格闘(ドニー・イエンの参戦はポイント高し)はもうふんだんで楽しくみられる。
美女がメガネをかけてオタク女子を演じるって、アニメのキャラクターか。

ただシリーズものの弊害というのはやはりあるので、連続ドラマが映画みたいに映像や音が高クオリティになる一方で、映画の方がテレビシリーズ化して一見さんお断りがかってきている。
(☆☆☆★)

トリプルX:再起動 公式ホームページ

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映画『トリプルX:再起動』 - シネマトゥデイ



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3月11日(土)のつぶやき

2017年03月12日 | Weblog

「クリミナル 2人の記憶を持つ男」

2017年03月11日 | 映画
脳の中に別人の記憶を注入するというSF的な設定だけれど、ひとつの肉体に凶悪犯とよき夫よき父という二つの人格が同居してせめぎ合う善悪の葛藤、それも善が悪に勝つというより悪人が改心して生まれ変わる、昔でいうグッド・バッドマンのドラマとしてかなりうまくできている。

ケビン・コスナーが意外と悪役が似合うのは「パーフェクト・ワールド」で実証済だけれど、剃り上げた頭に手術の痕が目立つというほとんどフランケンシュタインかと思うようなメイクで奮闘。

ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズといった豪華キャストはまあ普通で、女優陣がとんがった感じの美女が多いのは誰の趣味か。

エンドタイトルに-0Vとロシアか東欧かスラブ系の名前がずらりと並ぶ。どこにアウトソーシングしているのか。

かなり変則的な上映時間になっているのをなんとかやりくりして見に行って損しなかった出来。
(☆☆☆★)

クリミナル 2人の記憶を持つ男 公式ホームページ

映画『クリミナル 2人の記憶を持つ男』 - シネマトゥデイ


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3月10日(金)のつぶやき

2017年03月11日 | Weblog

「フレンチ・ラン」

2017年03月10日 | 映画
大男の黒人のCIA捜査官と小柄な白人のスリのコンビは「48時間」の人種を逆にしたみたいで、ラストでも同作を元にしているのを示す一種の目くばせのようなシーンもある。

バティものというのはアメリカ産のような気もしていたが、もちろんそんなことはなくて十分どこの国でも通用する形式だが、国が変わると何より出演者がもっぱらイギリスかフランスかの出身のせいもあって、ハードなアクションがふんだんに盛り込まれても、アメリカ産とちょっとづつテイストが変わる。

テロが起きて以来世情騒然としているパリを舞台にして、屋上の追っかけでおなじみの形の屋根を生かしたり、クライマックスにちょっとバスチーユ陥落のイメージを重ねたりしているのも細かい。観光地を外したフランスロケの効果が大きく、エリートとそれ以外との溝が自然に描けている。

テロを背景にしながら深入りしすぎて複雑にならないように「ダイ・ハード」一作目の線にとどめているのも巧妙。

イドリス・エルバの無骨なタフガイぶり、リチャード・マッデンのフットワークの軽さのバランスがよく、ヒロインのシャルロット・ルボンがかわいい。
(☆☆☆★★)

映画『フレンチ・ラン』 - シネマトゥデイ


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3月9日(木)のつぶやき

2017年03月10日 | Weblog

「ダーティファイター 燃えよ鉄拳 」

2017年03月09日 | 映画
イーストウッド主演作でたぶん最も能天気。ドンパチなしの殴り合いだけで、えんえんたる殴り合いというのも西部劇の華だったことをちょっと思い出した。ちゃんと酒場の集団でのケンカもある。1980年作、イーストウッドが50歳の時。
ライバルの名前が「シェーン」のジャック・バランスのと同じジャック・ウィルソンというのが人を食っている。

イーストウッドがマネーメイキングのトップをバート・レイノルズと争っていたころで、レイノルズの「トランザム7000」が大ヒットしたのを受けてこういうブルーカラー向けの一種のトラック野郎ものが受けると踏んで製作した一作目が目論見通り大ヒット、それで作られた続編がこれ。イーストウッドが同じキャラクターを二度以上演じたのはダーティハリーの他はこれだけだとか。

この頃ずっとソンドラ・ロックがヒロインをやっていたわけだが、その後の実生活での泥仕合を知っていて見ると妙な気分になる。

オランウータンは一作目から代替わりしているそうだけれど、今だと絶滅危惧種になっているから映画に使うのは難しくなっているのではないか。

バイク軍団のずっこけぶりが泥臭いけれど笑える。