prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「牛の鈴音」

2017年12月24日 | 映画
年取った農耕牛と農家を営む老夫婦のドキュメンタリーだが、そのままセミ・ドキュメンタリー演出の劇映画と称してもいいのではないかと思えるくらいひとつひとつの場面が出来上がっている。
「FAKE」に関するインタビューで森達也監督が「皆さんが思われている以上にドラマとドキュメンタリーの違いって、ないんですよ」と語っていたのを思い出す。

牛はもちろん爺さまもほとんど口をきかない代わり、婆さまがもう最初から最後まで愚痴のこぼしっぱなし。あまりにえんえんとこぼすもので、喜劇的になってくる。

牛がつけた鈴の音が清涼。

牛の鈴音 公式ホームページ

映画『牛の鈴音』 - シネマトゥデイ

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12月23日(土)のつぶやき

2017年12月24日 | Weblog

「銀河ヒッチハイク・ガイド」

2017年12月23日 | 映画
いきなりイルカの視点で滅びる地球から空飛んで逃げ出すところから始まる素っ頓狂な冒頭からもう人を食っていて、タイトルバックの歌がDolphin。
主演が「シャーロック」のワトソンことマーティン・フリーマンなのでイギリス製なのかなと思ったらやはり。
バカな顔をして妙にひねくれたジョークをとばす、いかにもブリティッシュなコメディSF。

ゾーイ・デシャネル Zooey Deschanel というヒロインをやっている女優さんが綺麗なので調べてみたら「ナチュラル」「ライトスタッフ」の撮影監督のキャレブ・デシャネルの次女。母のメアリー・ジョー・デシャネル、姉のエミリー・デシャネルも女優だという。

原作は大森望いわく「バカSFの歴史に燦然と光り輝く超弩級の大傑作」シリーズだという。読んでみようかな。


12月22日(金)のつぶやき

2017年12月23日 | Weblog

「バニー・レークは行方不明」

2017年12月22日 | 映画
前半は誘拐劇かと思わせて、失踪したという六歳の女の子のバニー・レークが実在するのかどうか、写真ですら姿を見せないだけにだんだんわからなくなってくるあたり、キャロル・リンレイとキア・デュリアというキャスティングもあってニューロティックな不安感が強くなってくる。謎解きの後も不安感そのものが澱のように残る。

画面を手が破っていくソール・バスのタイトルデザインが象徴的。世界の確かな実在感が破られてくるような感じが出た。

イマジナリー・フレンドというのは「シャイニング」にも出てきたな。Bunny=ウサギという名前は「不思議の国のアリス」のウサギにひっかけているのだろう。

「死後の世界を信じますか」と訊かれたローレンス・オリヴィエ扮する刑事が「現世だけで奇跡ですよ」と答えるのが妙に残る。




12月21日(木)のつぶやき

2017年12月22日 | Weblog

「オリエント急行殺人事件」

2017年12月21日 | 映画
シドニー・ルメット版は70年代に映画界にノスタルジーものが流行っていたうちの一本という面があったから、撮影も美術も衣装もすこぶるゴージャスだった。派手な演出はケネス・ブラナーはむしろ得意なはずだけれど、70mmフィルム撮影というのはずいぶん贅沢な話なのにも関わらずかなり地味というかモノトーンな印象なのはちょっと意外だった。

大詰めの謎解きですべての登場人物が外に出てずらっと横一列に並ぶ(列車の中では無理な配置)と、陪審員の人数である十二人が同時に十二使徒の構図になるのが、裁く者が同時に裁かれる者であるねじれた構図を作る。
冒頭のエルサレムの嘆きの壁の前でユダヤ教・キリスト教・イスラム教の三大アブラハム宗教とイギリスの欺瞞との関わりが示されたのとつながってくるのだろう。

クリスティがこの原作を発表したのはその二年前のリンドバーグ二世誘拐殺人事件に対する怒りと憤懣があってのことで、しかしそういう憤懣が報復に結び付くと収拾がつかなくなる。報復の繰り返しの舞台であるエルサレムから始めたのもその象徴かもしれず、その分ポワロが言う世界は善悪はっきり分けられるという言とは裏腹に善悪がはっきりせずもやもやしたものが残る。ノスタルジーから離れたアップ・トゥ・デートな作りにした当然の結果ともいえる。

この原作のトリックと犯人はもう何度も映画化ドラマ化されているせいもあって有名だからということもあってか、ラストまでわからないようにとっておかず途中でかなり見当がつくようになっている。その綾がわかった上でそれぞれのスターが芝居を演じるようにもっていっている計算なのだろう。
その中でジョニー・デップのワル芝居が作り過ぎずに好調。
(☆☆☆★)

オリエント急行殺人事件 公式ホームページ

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12月20日(水)のつぶやき

2017年12月21日 | Weblog

「トレマーズ ブラッドライン」

2017年12月20日 | 映画
なんと、この「トレマーズ」シリーズ、2004年製作の「4」から11年ぶりの2015年にこの「5」が製作され、来年2018年には「6」が公開というから、柳の下のドジョウならぬ地面の下の大ミミズは何匹いるのか。さらにはテレビシリーズ化も予定されているとか。

このシリーズで一作目(1990年!)の大ミミズが二作目では二本足が生えて歩き、三作目では空を飛ぶといった具合に新しい形態を出してきたのだが、これを順々にグラボリズ、シュリーカー、アスブラスターと後付け式に名前をつけているのが「エイリアン」がシリーズが進むにつれフェイスハガー、チェストバスターという「名前」が自然に定着したのを思わせる。
それらのネーミングを冒頭でもっともらしくPRビデオの形式で紹介するのは、11年のブランクを意識してフォローしたと思しい。

舞台がなんとアフリカになってしまい、一作目では脇だったマイケル・グロスがすっかり主役として定着している。銃をやたらたくさん収集して自衛に備えているという危ないけれどアメリカにはいかにもいそうなキャラクターで、アフリカに渡って使う武器が強力になった気がする。ヘリコプターに装着したミサイルまで使いますものね。
CG技術がここ十年でぐっと向上したので劇場用ではなくビデオ用ということで製作費が多くない(3、4の製作費は500万~600万ドル)けれどもチャチさは感じさせない。

とはいえ、主役は大ミミズでその基本的な性格は変えずに進化させていく方針は一貫していて、シリーズものとして安定した面白さに新味を加えていて、バカバカしいようでまるでつまらなかったのは一本もないのは皮肉でなく偉いと思う。




12月19日(火)のつぶやき

2017年12月20日 | Weblog

「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード」

2017年12月19日 | 映画
「ドン・ジョヴァンニ」上演に際して起用された女性歌手とモーツァルトと有力者サロカ男爵との三角関係が軸なのだが、男爵の傲慢な漁色家ぶりが冒頭から何度も描かれ、ストーリー上はほとんど主役みたい。その割に末路がいまいちシマらない。
モーツァルトが直接男爵と対決するわけではないし、その手段もないのであまり盛り上がらない。

さすがにモーツァルトの音楽と、「アマデウス」でウィーンに見立てられたプラハロケは見もの聞きもの。
(☆☆☆)

プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード 公式ホームページ

映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』 - シネマトゥデイ

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12月18日(月)のつぶやき その2

2017年12月19日 | Weblog

12月18日(月)のつぶやき その1

2017年12月19日 | Weblog

「光」

2017年12月18日 | 映画
ぶつ切り式に風景ショットに音楽がぶつけられるオープニングから、ストーリーを語る範疇から大きくはみ出たほとんど実験映画のような映像が随所にはさまるのだが、正直映画の流れがひどく停滞させて冗長に感じられて困った。意図的には違いないのだろうけれど、それが十分結果に結び付いていない。

小さな女の子がぱたぱた走り回ったり、ひとりでばたばた動いているのをえんえんと撮っているカットなど、ふつうだったら可愛い子が何か不穏なものを感じさせるようになるなど妙に印象的なところはある。

性愛や暴力の描写の激しさは「ゲルマニウムの夜」以来の大森立嗣監督のひとつのトレードマークだったけれど、今回は井浦新や瑛太は汚れ役を身につけて演じているけれど、女優陣がどうも表面的な感じがしてなんだか物足りない。
(☆☆☆)

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12月17日(日)のつぶやき

2017年12月18日 | Weblog