著者の林望さんを知っている人も多いと思う。作家で大学でも教えた経験を持つ国文学者でもある。本書はその林望さんによる読書論。まず共感したところを上げておこう
大切なのは、考え考え読んでいくこと(p9)
この考えには諸手を挙げて賛成したい。ただ読み散らかしているだけでは自分の身にもならないし教養もつかない。でも考え考え読むというのは学術的な本を前提にしていると思われる。ただ楽しみで読んでいるような人にとっては、あまり考え考え読むと話の流れを阻害してしまうという弊害もある。
現代国語の時間に、グループ学習というのが行われていたのは、私にとって、まったく迷惑な話でありました。(p65)
私は学校でグループ学習をやった記憶はないが、色々な研修でグループ討議をやらされた覚えがある。結構研修のデフォになっているようだが、あれは講師の時間つぶしで、同じような知力でないとまったく効果がないと思う。本当に迷惑だった。
「課題図書」は意味がない、これは私の信念です。(p68)
課題図書というものはこの本を読みなさいと指定してくるものだ。しかし金子みすゞの言うように「みんなちがってみんないい」のである。だから自分の好きなものを読めばいいと思う。
ただし林望さんの読書はかなり偏っている。日本の古典偏重なのだ。
私は翻訳書は読みません(p9)
何百年も、ものによっては千年以上も読み継がれてきた古典文学ほど面白いものはありません。(p120)
私は林さんとはまったく興味の方向が違うようだ。林さんのあげる本は私にとっては全く面白いと感じられないのである。また科学関係のものは初めから選択肢には上がらない。私のような理系育ちの人間とは合わない点も多いが、共感できるところも多いというところか。
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