なんの本だったか忘れたが、本書は、書肆侃侃房の本についてきたものだ。同社から出版されている本の著者から寄稿された文章を纏めたものだ。よく出版社から、PRのために出されている本の雑誌のようなものか。
この巻のテーマは「風」。収められているのは、短歌やエッセーなど。ユーモラスなものからしんみりとしたもの。怪談調のものもある。
表現がいいなと思ったのが小野田光という人の短歌にあった「色つきの風の図鑑」(p8)である。こういった文章を読んで頭の引き出しの中におもしろい言葉をため込んでいのもいいと思う。
思わず笑ってしまったのは次の文章。
「ささみのおいしい店でした。(中略)いまはたたみの恋しい店になってしまいました。」(p12)
このようなしゃれがすんなり出てくるようになりたいと思う。
いくら文字が印刷されていれば何でもレビューするからといって、さすがに、いろいろな出版社から出されているPR雑誌までレビューすることは殆どない(というか、ほとんど読まない)。しかし、書肆侃侃房から出ているこの雑誌だけは手にするたびに読んでいる。そして読んだ以上はレビューをせねばという訳である。
※初出は、「風竜胆の書評」です。