本書は悩み多き7人のアラフォー男たちを描いた短編集だ。このアラフォーというのは微妙な年齢である。会社人生では先が見えかかっているが、まだ確定はしていない。これからどう転ぶか分からないのだ。
何も会社だけではない。家族の問題もあるのだ。子供たちは丁度思春期と言う場合も多いだろう。そして、子供は自分の見えている範囲でしか考えられない。お父さんが、どんなに会社でがんばっても、それは子供たちにとってはないものと同じなのだ。だから非行に走る子供も出てくる。万引き不純異性交遊など。
特に女の子がいる場合は大変だろう。簡単にろくでもないチャラ男に引っかかる。収録されている作品のうち「パンドラ」はそんな家庭を描いた話である。この家には奈穂美と言う中学生の娘がいるが、万引きで捕まる。その娘が付きあっているのが高校を中退してスケボーばかりしているヒデ。
どう考えてもろくでもない奴なのだが、彼が万引きしたのがコンドーム。奈穂美の母親の聞き込みによれば、やはりろくでもない奴で、10代のくせにジゴロ気取りで、女をとっかえひっかえしているという。しかし、僅かにしても、こういうろくでなしの好きな女の子がいるのは事実である。そして、男にもこういったろくでなしがいるので、人を見る目を養わないといけないだろう。
どの作品からも中年真っ盛りの男たちのペーソスが感じられ、共感するおじさんも多いだろう。
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