文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

世界で学ぶ、働くことは生きること

2021-04-29 09:42:42 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

本書は、世界を舞台に働いている11人の体験記を1冊に纏めたものだ。本書中に結構「九州大学」と言う文字が目に入ってくると思ったら、九州大学で2016年から開校されている「世界が仕事場」と言う人気講義を書籍化したものらしい。(P158)

とはいえ、本書に登場するのは、学者ばかりではない。例えば最初の話し手は村井さんという料理人である。

 面白いと思ったのは、辰野まどかさんの体験。17歳の誕生日のとき、誕生プレゼントとして、母親からスイスの国際会議に3週間一人で参加する権利を貰ったという。その時は、意味がよく分からなかった辰野さんだが、これが彼女の視野を広げる良い経験になったようだ。しかし、こんなプレゼントをするとは、お母さんもやるもんだ。

 各人の話の終わりにQ&Aが付いており、「おすすめ本」も紹介されているので、理解を深める助けになるだろう。

 若い人には、このような話をたくさん聞いて、目を世界に向けて欲しいと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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赤毛の文化史:

2021-04-26 14:02:16 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 最初に一つ誤解があったことを報告したい。「赤毛」というから燃えるような色を想像していたのだが、本書に収録されている写真を見る限り、いわゆる「茶髪」の範疇に入っているように見えるものも多い。正直私にはどこまでが「茶髪」でどこからか「赤毛」なのかまるで区別がつかない(みんな茶髪に見える)のだが、どうやって区別しているんだろう。光の加減でなにかのときに赤く見えるのだろうか。本書にもキャロットやストロベリーブロンドと言ったものが出てくるので、赤毛にも色々種類があるようだが、インターネットで検索してみても私にはその差異がよく分からなかった。

 さて、本書は自らも「赤毛」だという著者が、「赤毛」が、歴史の中でどのよう取り扱われていたかを纏めたものだ。今は大分流れが変わっているようだが、「赤毛」は昔のヨーロッパにおいては偏見と差別の象徴だった。男の赤毛は粗野の象徴。女の赤毛は性的なものと結びつけられた。血液型と同様、何の根拠もないのだが、人間とは、少しの差異を見つけて、差別したがるものだ。「赤毛」は、外見からもわかるので、差別しやすかったのだろう。

 ただ、文化史と銘打っている本としては、分かり難い印象を受けた。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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二重のまち/交代地のうた

2021-04-19 09:46:01 | 書評:その他

 

ぼくの暮しているまちの下には
お父さんとお母さんの育ったまちがある
ある日、お父さんが教えてくれた
(p11)



 2011年3月11日東北を大きな揺れと、それに続く大津波が襲った。俗に言う東日本大震災である。

 東日本大震災というと、原子力発電所の事故があった福島が取り上げられることが多いが、東北の太平洋沿岸はどこも大きな被害を受けた。あれから10年も経っているのに、各地にはまだ爪痕が残っている。本書は、その東日本大震災について書かれたものだが、大きく4つのパートに分かれている。

 「二重のまち」「交代地のうた」「歩行録」「”二重になる”ということ」であるが、それぞれ詩、エッセイ、2018年3月28日~2021年2月1日の日々の記録、あとがきのようなものとなっている。「二重の町」とは、復興工事に伴って、土地のかさ上げが進み、それまで住んでいた場所の上に、新しい町ができることのようだ。本書の舞台は岩手県陸前高田市だが、東北全体に対しても同じようなことが成り立つだろう。

 著者は東京生まれであるが、仙台在住で、2012年から3年間岩手県陸前高田市で暮らし、対話の場つくりや作品制作をしたあと、2015年には、仙台市で土地との協働を通じた記録活動をする一般社団法人NOOK(のおく)を立ち上げている。

 本書を読んで感じたのは、いつどこで突然それまでのいとなみが断ち切られるかわからないということだろう。そして人のレジリエンス能力の偉大さ。あんな大災害があっても全体的に見れば人間は着実に立ち直っていく。

 なお、本書は映画化もされているということなので、もし近くで上映されれば観てみるのもいいと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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放送大学2021年度1学期のテキストが届いた

2021-04-13 19:42:43 | 放送大学関係

 実家管理のために家を空けていたが、帰ってみると、放送大学から2021年度1学期のテキストが来ていた。1学期は2科目。「生活と福祉コース」が終わると、7コース卒業になり、もう全課生では再入学できなくなるので、のんびりやるつもり。

 

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非常識に生きる

2021-04-12 20:08:23 | 書評:ビジネス

 

 本書は、「ホリエモン」として知られる堀江貴文さんの語録といったところか。それまであたりまえだと思っていたことがつぎつぎにひっくり返っていく。なお、言い方が非常にストレートなので、人によっては苦手と思うかもしれない。本書を読んでいると次の言葉が私の頭に浮かんだ。

 人の行く裏に道あり花の山

 ただ、本書に書かれていることを全部そのまま実行しても、うまくいくとは限らない。むしろ失敗する確率の方が大きいだろう。それはその時々や各自置かれているシチュエーションが、人によって違うからだ。それを無視して真似をしてもうまくいかないだろう。全部真似できたとしても、ミニホリエモンができるだけである。それは、堀江さんの言っていることから外れてしまうだろう。要は、内容をよく咀嚼して取り入れられるものは取り入れたらいいということだ。ただ常識に捕らわれないことは大切だと思う。常識に捕らわれていては、常識的な成功しかやってこない。

 なお、本書は、小学館集英社プロダクションさまからの頂き物です。ありがとうございました。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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