ネットで以下のような記事を見つけたので、少し思いを述べてみたい。
エネルギー大変革 原子力発電の代替エネルギーは何か 「空想エネルギー論」を蔓延させないための本質的コスト論(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
東日本大震災により、関東圏で電力不足が続いている。福島の事故は、自然に対する人間の力不足を見せつけられたとともに、原子力が日本のエネルギーに占める大きさについても改めて認識させられることになった。
世の中では、この震災を考えて、色々な行事や経済活動についての自粛が行われているということをよく耳にする。気持は分かるし、個々の行動としてはそれなりに合理的なのであるが、これを日本全体で考えると、いわゆる「合成の誤謬」というものになってしまう。東北の復興には、なんといっても莫大な資金が必要だ。そして、その多くは税金から拠出せざるを得ない。ところが、自粛によって経済活動が低迷すると、その税収は大幅に低下してしまう。税収だけではない。経済活動の低迷は、人々の雇用にも影響を与え、場合によっては負のスパイラルに陥ってしまう。
今回の震災と電力不足で、生産を西日本にシフトする企業もかなりあるのではないかと思う。よく、東日本の分まで西日本ががんばらなければという言葉を聞く。これは上に述べたことからは正しいが、事はそう簡単ではない。エネルギー供給の問題である。現在は西日本では電力は何とか賄えているし、東日本にも常時100万kWの電気を送っている。また、周波数変換所の容量を増やす計画もあると聞く。しかし、これらは、西日本の原子力も含めた発電所が順調に動いているという前提があってこそである。ところが、福島の影響で、日本全国で、定期検査などで停止している原子力がなかなか再稼働できないようだ。そして、この事態が長く続けば、今は動いているものも、順次定期検査で止めなくてはならないであろう。止めたものが動かせなければ、電力の需給はどんどんタイトになってくる。エネルギーがなければモノはつくれない。
更に、原子力がなければ、エネルギーコストも上がってしまう。エネルギーコストは、すべての生産物にかかってくるので、結局はモノの製造コストがあがり、モノの値段が上がることになる。いわゆるコストプッシュインフレにつながりかねないだろう。しかし、このインフレは、一部のインフレ信者たちの言うような良いことは一つもない。エネルギーコスト負担に耐えかねた企業には、海外へ生産を移すものも出るだろう。インフレながら景気はよくならないというスタグフレーションの恐怖は否定できないのである。
私は、東北の復興も、福島の対策もどちらも順調に進んで欲しいと願っている。だが、一番願っているのは、日本が経済的に沈没せず、再び強い国として蘇ることだ。
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