文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:超チーム力 会社が変わる シリコンバレー式組織の科学

2016-08-29 09:48:13 | 書評:ビジネス
超チーム力 会社が変わる シリコンバレー式組織の科学 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
クリエーター情報なし
ハーパーコリンズ・ジャパン

・リッチ・カールガード マイケル・S・マローン、(訳)濱野 大道

  「三人寄れば文殊の知恵」という諺があるように、一人でなにかをしようとするよりは、チームで取り組んだ方がうまくいく。しかし、勝つチームがある一方で負けるチームも存在する。本書は、この勝つチームを作り上げるにはどうすればよいかを、人類学、社会学、精神科学、認知科学などにおける最新の知見と照らし合わせて、論じていこうというものである。

 人間の本質は協力し合うことであり、チームを作って問題に取り組むものだという。人間は、徹底的に社会的な生き物なのである。だから。革新的な仕事をやり遂げた人には、必ずパートナーがいた。スティーブ・ジョブズしかり、ビル・ゲイツしかりなのだ。日本でも本田宗一郎と河島喜好の組み合わせはすぐに思いつくだろう。

 学問の世界でも同様だ。時空の概念を根本から変えたアインシュタインだってそうなのだろう。あの一般相対性理論を確立するためには、リーマン幾何学という高度な数学が必要だった。それをアインシュタインに教えたのが、友人で数学者でもあるグロスマンだったのだ。

 本書で主張されているように、チームを組むうえで大切なのは多様性だ。同質の人間の集まりからは、決して革新的なものは生まれない。いろいろな考え方の人が集まり、そこで化学反応を起こしてこそ、新しいものが生み出されるのである。

 本書は、このようなチームというものの特質、マネジメントにおける留意点などを、ペアリングから1500人規模の組織に至るまで、多くの事例とともに示している。もしあなたが、チームを率いて何かをやらなければならない立場なら、ぜひ目を通しておいた方がよいだろうし、経営層の人間にとっても多くの示唆に富んだ内容だろう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鹿児島県知事の原発停止申し入れに思う

2016-08-26 20:55:37 | オピニオン
 鹿児島県知事が、川内原発を一時停止して点検をするように申し入れたという。しかし、いったい何をやれというのだろうか。長い停止期間を経て再稼働するまでに、必要な点検はすべてやっているはずだ。

 知事に点検が十分であるかないかを判断できるような専門知識があるのだろうか。ないとすれば、いったい何を根拠に点検が必要だというのだろうか。

 福島1号機の事故以来、日本の原子力は異常な状態に陥っている。いくら自然災害だったとはいえ、津波対策を軽視していた東電に責任がないとはいいきれないだろう。しかし、世界情勢や日本の現状を見れば、原子力なしで我が国がやっていけると考えるのは、おとぎ話の世界である。

 もし知事が、明確な根拠もなく川内原発を止めたいのなら、その分の補償を九州電力に行うのが筋ではないか。ただ自分のイデオロギーに反しているからといって、いたずらに止めさせようとすることは許されない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:戦力「内」通告 ハーバードが教えてくれない「本当に生き残れる社員」

2016-08-25 10:18:01 | 書評:ビジネス
戦力「内」通告 ハーバードが教えてくれない「本当に生き残れる社員」 (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)
クリエーター情報なし
ハーパーコリンズ・ ジャパン

・ダン ラスト ,(訳)武藤 陽生

 本書に述べられていることを端的に表すとすると、以下の述べる2つになるだろう。まず一つ目は、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ということだ。これはよく知られた孫子の言葉だが、ビジネスの世界においても当てはまるものである。

 ここで「彼」とは、ビジネスの場において、自分を取り巻く、上司、同僚、部下、顧客といったものだろう。世の中には様々な人間がいるものだ。うっかりしていると足元を救われる。また人には多面性がある。一面だけ見てその人に反感を持ってもいけないのだ。本書が教えるのは、注意深く観察すること、判断のための情報を集めることなどだ。そのうえで適切な行動をとっていく。決して、一時の怒りにまかせて短絡的な行動をとってはいけない。それはかならず自分に跳ね返ってくるのからだ。

 そして「己」を知ることも大切だ。失敗は、なぜ失敗したのかを自分のこととして考える。それが自分の成長に繋がるのである。自分の能力を把握しておくことも大切だ。何ができて何ができないのか。それを知ったうえでどのような行動をとっていくのか。自分自身をよく理解しておかないと、誇大妄想のような自信家になったり、必要以上に自分を卑下したりということになりかねないだろう。

 そしてもう一つは、いかにして自分のことを相手に知らしめるかということだろう。いくら能力があっても、それがキーパーソンに伝わっていなければなんにもならない。世の中には、隠れた才能を見つけ出してくれるような名伯楽なんて、そうそういるものではないからだ。

 本書は、このようなことを、多くの事例を示しながら教えてくれる。もちろん著者の住んでいる米国と日本では雇用慣行も違う。著者も経験したようだが、何か悪いことでもしない限り、いきなりリストラを宣告され、直ちにパソコンを取り上げられて、私物だけを持って会社から放り出されるということは日本ではまず考えられない。しかし、本書に述べられている考え方自体は日本でも役立つに違いない。これからキャリアを積んでいこうとする人は、一読しても損はないものと思う。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やっとオリンピックも終わりか

2016-08-22 12:32:39 | オピニオン
 やっとリオオリンピックも終わり、世の中も静かになる。私はオリンピックというものに何の価値も見出していないので、やれやれといった感じだ。

 そもそも人間が早く走ることにどんな意義があるのだろう。人はどんなに早く走っても、チーターどころか多くの動物たちにも及ばない。どんなに高く飛んでも、スズメにもかなわないのだ。格闘技がどんなに上達しても、漫画のように、銃の弾を素手で掴むことができるようになるはずもないし、虎やライオンに敵うわけもない。健康づくりのために運動するのならともかく、中には体に負担をかけて、故障してまでもスポーツに打ち込むという心理は完全に私の理解を超える。

 動物が勝っているようなことは動物に任せておいて、人間は人間ができることをやればいいのではないか。それは文化や文明に関することだ。これは動物がどんなに背伸びしてもできないことだろう。今、学費が払えないので、進学をあきらめたり、学業を続けられない人が増えている聞く。しかしオリンピックにつぎ込むような金があれば、いったい何人分の給付型奨学金が賄えることか。オリンピックでいくら記録を出しても、それは結局個人もしくはそのチームとしての栄誉でしかない。しかし、文化や文明は多くの人にメリットをもたらすことができるのだ。限られた予算。使い方を間違えてはならないだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:星間商事株式会社社史編集室

2016-08-21 08:39:54 | 書評:小説(その他)
星間商事株式会社社史編纂室
クリエーター情報なし
筑摩書房

・三浦しをん

 本書は、タイトルの通り星間商事株式会社社史編集室を舞台とした物語だ。この社史編集室というのは、いつまでたっても完成しない社史を作リ続けている部署で、究極の左遷先のようなところである。だから、所属員も変な人たち。

 主人公は川田幸代という女性だが、オタクで腐女子。友人2人と同人活動をしている。みっこちゃんは、無駄に元気な女子だ。ボーッとした言動だが、元営業部で海外での交渉にも同行したことがあるらしい。みっこちゃんから、ヤリチン先輩と呼ばれている矢田信平。専務の愛人に手を出したためにここに飛ばされてきたとか。しかし、みっこちゃんは、彼に気があるようだ。

 社史編集室の本間課長は、定年まで1年の窓際でゆるゆるな人物。なぜ、首にならないか不思議に思われている。極めつけは、ここの室長。なんと、課長以外は、誰も見たことがなく、幽霊部長と呼ばれている。

 幸代が腐女子で同人誌を作っていると知った本間課長が、社史編集室でも、同人誌をつくろうと変なことを言い出す。自分の若い頃の情熱が蘇ったというのである。

 全体を流れる、ゆるゆるした雰囲気。挿入される、幸代のホモ小説と、課長のなんだかよく分からない小説。ところが、編集室の面々は、社史を作る過程で、サリメ二での黒歴史に行き当たる。この会社、女子社員に枕営業をさせようとしたり、専務が女子社員と不倫をしたりと、かなりとんでもないことをしていたのだ。これが明らかになっては困る専務一派が露骨に圧力をかけてくる。

 正確な社史をつくろうと、社史編集室の面々がとった、起死回生の方法とは。あれだけゆるゆるとしていた編集室のメンバーが、一致団結して専務一派を出し抜くところは、なんとも痛快だ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ、「風竜胆の書評」に掲載したものです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オリンピックに興味はないが

2016-08-20 12:27:02 | オピニオン
 オリンピックにあまり興味はないが、これだけテレビや新聞などで報道されていると、いやでもその情報の一端が入ってくる。リオオリンピックは日本勢のメダルラッシュのようで結構なことだが、ひとつだけ気になったことがあった。

 これまでオリンピックで3連覇を果たしてきたレスリング女子53キロ級の吉田沙保里選手が決勝で敗れて銀メダルになったことだ。報道によれば、吉田選手は銀メダルになったことについて、泣きながら謝ったそうだ。これがわからない。悔しくて泣くのは良い。しかしいったい誰に謝るのか。

 オリンピックなどに出場すると、国民の中には、それが国の威信を背負っていると思うような馬鹿者が多いのも事実だろう。しかし、選手はあくまでも個人としてプレーしているだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。誰にも謝る必要なんてないだろう。銀メダルでも立派なものではないか。

 かって、オリンピックについては、マラソンの円谷選手のような悲劇があった。プレーしているのはあくまで選手個人なのである。野次馬が過度なプレッシャーをかけないことが、選手がのびのびと活躍するためには、一番必要なことではないかと思う。それにしても、オリンピックに興味が無い者にとっては、面白いテレビ番組もなく、なんとも退屈な日々だった。早く終わってほしいものだ。

 ついでに言えば、「東京オリンピック」にも全く興味はない。巨額な税金をつぎ込む必要がどこにあるのか。今からでも中止にしてほしいと思うのは、私一人だろうか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放送大学のH28年度1学期の成績が届いた

2016-08-19 17:34:09 | 放送大学関係

 放送大学のH28年1学期の成績通知が届いた。といっても、父の入院や手術があったため、放送授業の方は受験していないので、単位は、面接授業の「いろイロな色の話」1単位のみ。それでも、卒業は確定しているはずだ。

 学期の積み残しである「量子と統計の物理(’15)」は、流れてしまったが、、「上田秋成の文学」は、来学期学籍があれば受験可能なはずだ。再入学の手続き、忘れないようにやっておかないといけない。




 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:歴史街道 2016年 09 月号

2016-08-17 08:45:18 | 書評:その他
歴史街道 2016年 09 月号
クリエーター情報なし
PHP研究所


・PHP研究所

.「邪馬台国」の文字に魅かれて買ってしまった本誌。この号の特集は、ノンフィクション作家である足立倫行氏のガイドで歩む、邪馬台国を中心とした「古代史の迷宮」の旅である。

 「邪馬台国」は、中国の魏志倭人伝に記され、古代にそのようなことがあったことは間違いないが、それがどこにあったのかは、古くから論争が続いている。論争の歴史を辿れば、江戸時代にまで遡るようだが、有名なのは、明治43年(1910)から始まった京都帝国大学の内藤虎次郎(大和説)と東京帝国大学の白鳥庫吉(九州説)の争いだろう。

 しかしこれらのどちらにも、魏志倭人伝の記載を恣意的に解釈しなおさないといけないという欠点がある。九州説は距離に、大和説は方向に関しての問題があり、いまだに明確な結論は得られていないのだ。

 大和説と九州説は有力な説だが、これ以外にもいろいろな説がある。なにしろ古代のことなので、決め手になる証拠に欠ける。それに主張する人の郷土愛が加わると、もう議論百出。日本国中どこに邪馬台国があってもおかしくないような状態だ。

 近年は、大和の纏向遺跡の発掘により、そこが邪馬台国の候補地として有力だと見る人も多いが、九州説に決定的なダメージを与えるまでには至っていない。

 私は個人的には、邪馬台国は九州にあったものが、大和に移ったのではないかと思っている。根拠は記紀にある日本神話だ。なぜニニギノミコトは、わざわざ九州の高千穂に天下ったのか。大和にも山はたくさんある。最初からそこに天下ればいいではないか。また、魏志倭人伝に描かれている倭人の風俗は明らかに南方のものだ。大和ではあり得ない。神武東征神話は、それを暗示しているのではないだろうか。

 もっとも本誌では、この東遷説には、九州から大和の間に、九州式土器が見つからないという欠点があると書かれている。しかし、本当に欠点だろうか、土器が見つからない理由はいくつか考えられる。

 まず、東遷は敗走の旅だった可能性がある。当時邪馬台国は狗奴国と争っていた。戦いに敗れて、東へ移ったとしたら、わざわざ九州式の土器などを、行く先々で作るだろうか。その地域で使われている土器を現地調達するというほうが理に適っていると思うのだが。

 もう一つは、単に見つかっていないというだけかもしれない。東遷が何年も何十年もかけて行われたのでない限り、本誌に書かれているように、九州式土器が「多数」見つからないといけないというのは本当にそうだろうか。

 本誌を読んで、まだまだ邪馬台国の解明には時間がかかりそうだと感じた。九州からも畿内からも様々な出土品が出ているが、最終的には学者の主義・主張ではなく、これらの証拠品により、真相が解き明かされなければならないと思う。今後の発掘に期待したいと思う。

 なお本号には邪馬台国に関して、興味深い記事が掲載されているので紹介しておこう。まず邪馬台国の都の復元想像図である。文字だけではなかなかイメージがわかないが、こういったビジュアル的なものがあると、邪馬台国というものが少し身近になった気がする。

 もうひとつは、映画化もされた「まぼろしの邪馬台国」の著者である宮﨑康平氏のお孫さんで女優の宮﨑香蓮さんのインタビュー記事が載っていること。香蓮さん、「花燃ゆ」にも出ていたということだが、大河ドラマはあまり視ないので知らなかった。

 このほか、大河ドラマ「真田丸」の関係で真田信幸に関することも第二特集として掲載されている。
 
☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評:鉄拳OL!みさおちゃん

2016-08-13 08:33:54 | 書評:その他
鉄拳OL! みさおちゃん: (1) (ぶんか社コミックス)
クリエーター情報なし
ぶんか社

・たかまつやよい

 主人公の守田操(みさお)は、(株)尾触(おさわり)産業に勤務するOLである。この会社、その名の通り、女子社員は上司から、お触り、セクハラのされ放題。本書は、そんなセクハラ上司たちに、みさおが敢然と立ち向かう日々を描いた4コマ漫画集だ。描いているのは、自らの八丈島移住生活をネタにした「流されて八丈島」で知られるたかまつやよい。

 この操、ものすごく美人と言う訳ではないが、なかなか可愛らしく見える。しかし、元レディスのヘッドで喧嘩百段、体には根性焼きやケンカ傷など勲章の数々。怪力で腹筋はしっかり割れている。おまけに武器の金棒を会社でブンブン振り回して鬼ならぬセクハラ上司退治。

 みさおの姉はセクハラ訴訟で有名な弁護士だそうだ。この会社ならセクハラの代償としてかなりの額を踏んだくることができると思うのだが、どんなにセクハラをしても、なぜか訴訟沙汰にはならない。相変わらずセクハラに励む上司とそれに立ち向かって同僚OLを助けるみさおという構図が続くのである。いったいどんな会社やねん。

 どんなにみさおにやられても、せっせとセクハラに励む上司たちの姿はある意味清々しい。そこに困難があるからトライしつづけるのだなんて(笑)。でも良い子は真似しちゃダメだよ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半田屋のかつ丼(広島市を歩く146)

2016-08-12 20:31:35 | 旅行:広島県



 今日は昼食のために、初めて半田屋に入ってみた。大衆食堂ということで話には聞いていたのだが、まだ実際に行ったことがなかったので、話のタネに行ってみたというわけだ。

 中は、セルフで食べ物を選んで、レジで精算するというシステム。どうもこのセルフ方式というのは苦手だ。あらかかじめネットで調べてかつ丼を注文しようと思っていたのだが、どうすればいいのかがわからない。店員に聞いてみると、レジで注文して、できたら店内放送で呼び出しがあるので、引き渡し口まで受け取りに行くようになっており、普通の食べ物とはやり方が違っているので、初めての客はよくわからないだろうと思うのだが。もう覚えたので、こんどからはスムーズに注文できるだろう(笑)。

 それにしても写真のかつ丼が390円。これは安い。


○関連過去記事
盆燈籠(広島市を歩く145)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする