文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

釣りチチ・渚(1)

2017-06-28 16:41:12 | 書評:その他
釣りチチ渚 コミック 1-5巻セット (サンデーGXコミックス)
クリエーター情報なし
小学館

・佐藤まさき

 また、ヘンなマンガを見つけてしまった。まずタイトルだが「釣りキチ」ではない。「釣りチチ」である。これで次に「三子」とでも続けば、面白いと思うのだが、さすがにそこまでは・・・。

 もちろん、あの伝説の釣りマンガとは何の関係もない。こちらは、少年ではなく、釣り大好きの巨乳JKがヒロインを務める釣りマンガである。

 舞台は神奈川の江の島高校。父の仕事で転校してきた魚芽芯太は、流れで深海渚という巨乳JKが部長を務める釣り部に入部することになってしまう。

 この渚、JKなのになぜか短ラン(学生服で胸の下くらいの丈のもの)をご愛用。魚を釣り上げると、巨乳のため、乳圧でボタンがはじけ飛ぶ。これ、きっとそのシーンを描きたいための小道具だろう。

 彼女のトレードマークは、いつも担いでいる釣竿と、あのマンガの主人公も愛用している麦わら帽子。もちろん、2次元JK御用達の、パンツが簡単に見える丈の短いスカートはお約束。

 そのうえ、釣竿を持たせたら、色々な意味で天下無敵。族も避けて通るらしい(んっ??)

 釣り部には、クールビューティの渚、その妹で、キャラもかわいい妹系のしらす(さかなくんリスペクトで、頭に似たような帽子を被っている)、対人恐怖症だが、実はめっちゃ美人の夕凪小波と、きれいどころが揃っている。ということは、一種の学園ハーレムものといったところなのだろうか。

 この巻の最後の話では、通天閣茜なんていう、いかにも大阪人といったライバルまで登場して、この後どのように展開していくのか。これは気になる。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。
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くらべる時代 昭和と平成

2017-06-26 22:05:26 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
くらべる時代 昭和と平成
クリエーター情報なし
東京書籍

・(文)おかべたかし、(写真)山出高士

 本書は、写真により、昭和と平成のいろいろな「モノ」を比較したものである。ただし、昭和は激動の時代だ。途中には戦争という大きな断続点が存在している。

 本書が焦点を置いているのは、おそらく戦後の「昭和」である。私を含めて、既に戦争を知らない世代が世の中の大多数を占めている現在、戦後の「昭和」に焦点を置くのはある意味当然だと思う。

 既に平成生まれの人がアラサー世代になっている時代だ。「昭和は遠くなりにけり」ではあるが、あの時代に自然に囲まれた田舎で少年時代を送った者としては、本書を読むと、なんとも懐かしいものと再会した気分になってくる。

 ところで、昭和と平成の一番の違いは技術進歩だろうと思う。私達が生きる平成の世では、カメラはデジタルが主流となり、信号機はLEDから構成されるようになった。半導体技術の進歩により、携帯も驚くほどコンパクトになっている。

 しかし、あの昭和の時代、まだまだ田舎にも人がおり、活気があった。確かに現在は、あのころと比べると比較にならないくらい便利になったが、その一方では私たちは大きなものを失ったような気もする。

 人はそれを単なるノスタルジーというのかもしれない。本書は、あのころを知っている人間を、そんなノスタルジーに浸らせてくれる。

☆☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。
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マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命

2017-06-24 08:00:00 | 書評:ビジネス
マンガでわかるグーグルのマインドフルネス革命
クリエーター情報なし
サンガ

・(編)サンガ編集部、(原作)方喰正彰、(作画)花糸、(製作協力)荻野淳也

 本書は、グーグル社内で開発されたというマインドフルネスに関してマンガ仕立てで解説したものである。

 マインドフルネスというとなんだか難しそうだが、要は自分の呼吸に注意を向けて瞑想を行うことにより、悩みを解決してストレスを取り除き、人間関係を改善したりアイデアを生み出し易くしたりするということである。

 確かに呼吸というものはとても大事なものだ。例えば禅やヨガなどでも呼吸というものを重要視している。また、落ち着きたいときには深呼吸をすればいいというのもよく聞く話だ。呼吸は身体だけのものではなく、深く精神とも結びついているのである。

 だから呼吸をうまくコントロールできれば、メンタル面での改善に繋がるというのは驚くような話でもないだろう。だから別にこの方法でなくても座禅を組んでも、ヨガを極めても、それはそれで効果があると思う。

 ただ、この方法が優れているのは、椅子に座ったままでも出来るというところだ。いくつか頭に入れておくこともあるので、具体的な方法は本書を読んで確認して欲しいが、基本的には本当に手軽なのである。

 例えば、会社の昼休みに、オフィスで突然座禅を組んだり、ヨガをやり始めたりしたら、周りからこいつはヘンな奴だと見做されかねない。しかし、この方法だと自然に行うことができ、そう違和感も感じられないだろう。

 なお、本書は著者の方喰さまからのいただきものです。ありがとうございました。

☆☆☆☆

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とことん調べる人だけが夢を実現できる

2017-06-22 08:12:23 | 書評:ビジネス
とことん調べる人だけが夢を実現できる (Sanctuary books)
クリエーター情報なし
サンクチュアリ出版

・方喰正彰

 とことん調べることの重要性を説いた本書。実は私も分からない言葉に出会ったときは、ネットなどを使って意味を調べるようにしている。これが昔だと、その手の本を買うか、図書館に行って調べるかということで本当に選択肢が狭かった。おまけに田舎に住んでいると、調べるという事自体が大変だったのだ。

 しかし、今は簡単にある程度はネットで調べられるし、その関係の本も必要ならちょっとポチるだけで買えてしまう。大学に入るまでは、「ど」を付けて呼んでも決しておかしくはない田舎に住んでいた私としては、本当にいい時代になったものだと思う。

 それはさて置き、本書が教えるのは、調べるのは夢を実現させるためだということだ。単に興味があるというだけでネットサーフィンをするのもいいが、それだけではなんとももったいない。世の中には多くの情報が溢れている。それをうまく活用すれば夢に一歩近づけるのである。

 「夢の実現」というとたいそうなことに聞こえるが、別に大きなことでなくても構わない。例えば「カツ丼」を美味しく作りたいといったようなことでも立派な「夢」なのである。

 大切なのは、できない理由を探すよりは、どうしたらそれができるのかという情報を探すことだという。その主張には賛成だ。そのようなことの積み重ねにより多くの可能性が目の前に広がってくるのだろう。

 もちろん情報はネット上だけのものではない。「本。雑誌、新聞、テレビ」といったマスメディアや「人」からの情報も含まれる。偏った情報を掴まないためにも、レンジはできるだけ広くしておいた方が良い。

 本書では、これらの情報源についての使い方や注意点などを詳しく解説しており、何かを始めたい方にとっては有用だと思う。「とことん」調べることの重要さは、書評活動以外に私が行っている資格取得にも繋がることだ。皆さんも、「とことん」調べることを習慣にされてはどうだろうか。

 なお、本書は著者の方喰さまからのいただきものです。ありがとうございました。

☆☆☆☆
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彗星パンスペルミア

2017-06-20 12:39:41 | 書評:学術教養(科学・工学)
彗星パンスペルミア
クリエーター情報なし
恒星社厚生閣

・(著)チャンドラ・ウィックラマシンゲ、(訳)所源亮、(監修)松井孝典

 本書は、生命の起源について考察を行うものだ。タイトルの「パンスペルミア」というのは、生命の起源を地球外に求めるという仮説、そして「彗星パンスペルミア」というのは、地球生命は彗星によってもたらされたという主張である。

 確かに、生命の起源を地球内に限るという必然性はどこにもない。広大な大宇宙のどこかで発生してそれが地球にもたらされたとしても驚くには値しないだろう。もちろんそれは、原初生命である微生物レベルでの話だ。本書の大部分はその原初生命の源が宇宙にあることを証明しようとしている。

 しかし本書を読むといくつかの疑問点が浮かんでくる。生命の起源が宇宙だとしたら、それは宇宙のどこなのか。宇宙に始まりがある以上、生命にも、それが生まれた場所があるはずだ。例え地球生命が彗星からもたらされたとしても、いったいどこに初めての生命が生まれえる環境があるというのか。

 次に本書がその存在を証明しようとしているような微生物と人間や動物のような高等生物の間には大きなギャップがある。しかし、本書では、そのギャップを埋めるのが、宇宙から飛来したウィルスや最近によってもたらされる遺伝子による突然変異だと言っている。つまり進化も宇宙からもたらされたと言っているのだ。

 しかし、高等生物はいずれも地球環境に適応した結果今のようになっているはずだ。地球環境に適するように進化する遺伝子が、そう都合よく宇宙からやってくるものだろうか。もし著者の主張するように、無限の宇宙から、あらゆる可能性のある遺伝子が供給されたというのなら、現在でもそのような徴候が見つかるはずだが、寡聞にして聞いたことがない。

 著者は、地球での大幅な進化を否定する根拠として、中間化石が見つかっていないことを挙げる。しかし、化石というのは、残っている方が奇跡に近いし、始祖鳥や羽毛恐竜などの化石はどう評価されるのだろうか。

 生物はそう簡単には進化しないというが、例えば「犬」はどうだろう。セントバーナードとチワワを昔の人が見たら同じ「犬」と思うだろうか。また江戸時代に我が国で流行したという「変わり朝顔」などはどうなのか。生物の形態というのは、地質学的な悠久の時間をかけなくとも驚くほどの変化をするのである。これが何億年という時間を経れば、外から遺伝子の供給など受けなくとも、種が分化していくということは、あり得なくはないと思う。

 最後に、この手の話は好きなはずだが、読んでいるうちに何度か寝落ちしてしまった。どういうわけか読みにくいのだ。その原因を考えてみると、不必要なほど「,」が多く、文章が終わったかと思ったらまだ続いていたというようなことが多かったことも一因のようである。「,」は息継ぎのような役割(黙読の場合が多いだろうから、精神的な意味で)があると思うのだが、これだけ多いと「過呼吸」になってしまいそうだ。

☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。
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「その主張が前提としてるモデルは何だ?」をシミルボンに投稿

2017-06-18 15:02:24 | その他
論理の方法―社会科学のためのモデル
クリエーター情報なし
東洋経済新報社

・小室直樹

 シミルボンに「その主張が前提としてるモデルは何だ?」を投稿しました。これは、シミルボンが募集していた、「読まずに死んだらもったいない」というコラム大賞に応募するため、以前書いた「論理の方法」(東洋経済新報社)のレビューに加筆してコラム仕立てにしたものです。

 元々自分が評価もしていない人から一方的な評価をされることは嫌いですし、改めてコラムを書くのも面倒臭いしということで、当初はコラム大賞になど応募するつもりはなかったのですが、ブログに投稿したものも可という一文が目に入ったので、それなら手間がかからないと応募はしてみたのですが、案の定落選通知が来ました。

 上位には賞金が出るとのことだったので、応募はしてみたのですが、どうもあそこの主流とは波長が合わないようなので、もう二度とあの手のものに応募することはないと思います。

※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものの写しです。

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蘇我氏 ― 古代豪族の興亡

2017-06-08 09:12:24 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
蘇我氏 ― 古代豪族の興亡 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社

・倉本 一宏
・中公新書

 蘇我氏という一族について聞いたことがないという人はそれほどいないだろう。古代社会において、大王家をしのぐほどの権力を持ったが、独断専横が目立ったために、正義の味方である中大兄皇子と中臣鎌足によって討たれた。世にいう乙巳の変である。このようなイメージを持っている人も多いのではないだろうか。

 しかし、それらはすべて日本書紀という、権力闘争の勝者が書いた歴書によるもの。本当の姿以上に蘇我氏を悪者にしていたことは想像に難くない。この反動か、最近では蘇我氏を評価するようなものも時折目にする。

 古代豪族として、並びない権力を誇った蘇我氏。しかし、あまりにも権力を持ち過ぎたためか、時代の流れの中で衰退していき、歴史から消え去っていったように思える。いったい蘇我氏とは何だったのか。蘇我氏はなぜ衰退していったのか。本書はその蘇我氏の興亡史とも言っても良いだろう。

 蘇我氏の出自は諸説あるようだが、本書は、奈良の葛城地方を根城とした葛城集団の中から主要な集団が独立したものが蘇我氏であるという立場をとっている。なお、かっては蘇我氏渡来人説というものがあったが、本書ではそれを一笑に付し、蘇我氏の実質的な始祖は蘇我稲目(馬子の父)だとしている。

 たしかに、乙巳の変で蘇我総本家は滅んだ。だが、書記によれば、あまりにもあっさりと蘇我総本家は滅んでいる。入鹿が殺されたからといっても、まだ彼らは相当の力を持っていたはずだ。かって武人の家である物部氏相手に勇壮に戦った彼らが、大した抵抗もせずに滅びているというのは、少し信じがたい。なぜ徹底抗戦しなかったのか。これは、蘇我氏が滅ぼしたことになっている山背大兄王子(聖徳太子の王子)の一族が滅びた際にも当てはまるのだが、日本書紀の記述は、滅ぼされた側があまりにも物分かりが良すぎて、気持ち悪さを感じてしまう。上に書いたように、書記は勝者の立場から書かれた歴史書だ。これらの事件には、何か大きな秘密が隠されているような気もするのだが。

 ところで、乙巳の変で滅んだのは、蘇我総本家だけだ。その他の一族は残り、蘇我氏氏上の座は、一族の蘇我倉氏に移った。しかし、その蘇我倉氏も最初に権力を握った石川麻呂が弟の讒言によって滅んだ。まさに骨肉の争いであり、古代社会の権力闘争のすごさを垣間見たような気になる。

 その後も蘇我氏は有力氏族として生き残ったが、次第に藤原氏にとって代わられる。蘇我氏は、かってのように高位高官を出す家ではなくなり、下級役人しか出せない一族の地位にまで衰退していったのである。しかし、下級役人に甘んじながらもしぶとく歴史の中を生き延びていった。

 本書には、そのような蘇我氏の興亡について、蘇我氏同族までを視野に入れて描かれており、日本史に興味のある方には非常に面白く読めると思う。ただし、かなりレンジを広くとっているのとは裏腹に、出てくる人名が非常に多いので、あまり細かいところにこだわっていると何が何だか分からなくなるかもしれない。読み方としては、蘇我氏がどのように時代の流れの中で衰退していったかというところに焦点を合わせておくことを忘れないということだろう。

 そういえば、鎌倉時代に「曾我兄弟の仇討ち」という事件が起こった。この曾我兄弟の出自も蘇我氏に関係があるのだろうか。ちょっと気になる。

 最後に、本書を読んで、ふとこんなフレーズが頭に浮かんだ。

「Old Sogas never die,they only fade away.」

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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不動産投資は「新築」「木造」「3階建て」アパートで始めなさい!

2017-06-06 17:36:32 | 書評:ビジネス
不動産投資は「新築」「木造」「3階建て」アパートで始めなさい!
クリエーター情報なし
あさ出版

・田脇宗城

 サラリーマンの副業に不動産投資を勧める本は沢山あるが、本書ではそれを「新築」「木造」「3階建て」アパートから始めることを奨励している。

 それではなぜ、「新築」「木造」「3階建て」が良いのか。本書によれば次のようなメリットがあるようだ。

〇新築
・中古と比べ金融機関からの借入金利が安くなる。だから、借入残高が減るスピードが速く、資産価値も高くなる。

〇木造
・建設費が安いだけでなく、土地の形に合わせて建てることが容易である。
・税法上の耐用年数も短いので、減価償却費として、費用を早期に回収できる。

〇3階建て
・容積率をフルに活用できる。
・見た目が豪華になり、防犯対策もやりやすい。

 もちろん、メリットばかりではない。どこに建てるのかというのは重要だし、管理会社としてどこをパートナーに選ぶのかということなども大切になってくる。当然のことながら、事前に十分な調査を行う必要があるのは言うまでもないだろう。楽して儲かるようなものは、世の中にはないのだ。

 しかし、本書にはどんなところに気を付けたらいいのか、そのための視点も書かれており、単なるイケイケドンドン的な内容ではない。世の中にはリスクの無いものなど存在しないのである。なかなか魅力的な内容ではあるが、もし始めたいという人がいれば、自己責任でやらなければならないのは言うまでもないだろう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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崇徳院を追いかけて

2017-06-04 19:23:30 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・鯨統一郎

 この作品は、歴史学者で超美人の早乙女静香とライターの宮田六郎が、寂びれたバー・スリーバレーで、歴史の謎を巡ってバトルを繰り広げるシリーズの一つではあるが、今回はスリーバレーを飛び出して京都が舞台となっている。

 ひょんなことから二人で京都へ行くことになった、静香と六郎だが、天敵ともいえる二人のこと。喧嘩をして途中で六郎が新幹線を降りてしまうわ、京都では殺人事件に巻き込まれるわで散々な目にあう。おまけにホテルの手違いで、二人は同じ一つの部屋に。ただし、静香が寝るのはベッドで六郎はソファという扱いなのだが。

 タイトルにある崇徳院とは、日本最大の怨霊と恐れられた崇徳上皇のことである。西行は、そんな崇徳院に心を寄せていたという。二人が京都で解き明かすのは、殺人事件の謎だけでなく、西行を信仰しているというカルト教団の正体、そして歴史を超えて、崇徳院の呪いの真相である。

 この話は、刊行されたのは2016年ではあるが、シリーズの時系列としては、第2弾の「新・世界の七不思議」と第3弾の「新・日本の七不思議」の間の話となるようだ。「新・日本の七不思議」では、あれほど犬猿の仲だった二人がいやに仲良くなっていたが、この巻ではその理由が分かる。

 つまりはツンツン一辺倒だと思われた静香が、実はかなりのツンデレで、事件の解決を通じて、ツンからデレへの相転移を起こしてしまったということなのである。果たして、次回作はあるのか。静香はどのようにデレキャラデレぶりを発揮していくのか、ちょっと気になってしまう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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結婚指輪は経費ですか? 東京芸能会計事務所

2017-06-02 14:19:35 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
結婚指輪は経費ですか? 東京芸能会計事務所<東京芸能会計事務所> (角川文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA / 角川書店

・山田真哉

 楽しみながら会計の仕組みが分かる会計ミステリー「女子大生会計士の事件簿」シリーズなどでお馴染みの山田真哉氏が、同じようなテイストで、税務に関して分かりやすく解説するという「東京芸能会計事務所」シリーズの第二弾。

 この「東京芸能会計事務所」は、その名の通り、芸能人専門の会計事務所だ。所長は、元トップアイドルの天王洲あいる。そして主人公を務めるのは、「芸能事務所」と間違って、この会計事務所に入ってしまった竜ヶ水隼人という青年。この2人が中心となって、税務に関する事件を解決していくというのが基本的なストーリーである。

 この巻に収められているのは、馬券は経費にならないのかという「謎解きはお会計のあとで」、話題の消費税演歌アイドルユニットの秘密を解き明かす「アイドルは夜な夜なナニをする?」、アイドル占い師の蓮台寺カワナがマジックショップで買ったものの領収証がネット公開されたという「嘘つき占い師の勘定と感情」、そしてあいるの先輩永谷舞の結婚相手が聞いた「結婚指輪は経費ですか?」の4つのエピソード。

 ところで、この巻には、2つ目の話に出てきた消費税演歌アイドルの歌である「増税越え」というのが載っているが、これが結構笑える。消費税のアップは歓迎できないが、こういったもので増税を笑い飛ばすことも必要だろう。

 とかく税法というのはややこしく、とにかく税金を少しでも多くとってやろうという意図で作られている。我々のような素人には、付き合うのがなかなか大変な法律だが、こういった作品を読んで、楽しみながら、知識をつけていくというのもいいかもしれない。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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