文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

山内くんの呪禁の夏。

2022-12-30 11:15:35 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 主人公の山内くんは不幸体質の小学六年生の少年。住んでいた姫路のアパ―トが火事で全焼したため、兵庫県の群部にある父の実家で暮らすようになった。その時、山内くんは父親の実家があることを初めて知った。父の実家のある町には5年前から来ていたが、それは墓参りのため。なぜか父親は実家のことを山内くんには言わなかったのである。いや実家のあることを知らないと相続のときなんかに困るだろう。世の中何があるか分からないので、意図せずそんな事態になってしまうかもしれないのだ。

 その町で出会った不思議な美少年コン太。山内くんには、コン太の口から火が出ているのが見えるのである。山内くんの名前が面白い。なんと「邪鬼丸」というのだ。コン太も美少年と思いきや、実は十妙院紺という美少女。邪鬼丸と言う名前も紺が男装するのも魔除けのためらしい。そうこの辺りには呪禁師が普通に住んでいるのだ。しかし、紺の男装はまだしも邪鬼丸と言う名前はまずいと思う。テストなんかの度に邪鬼丸と書かないといけないからだ。「山内邪鬼丸くん」なんて出席をとられたりしたら、絶対に笑われるぞ。まあ、この名前なら家庭裁判所に申請すれば名前を変えられる可能性は高いと思うが。

 この巻では、なんとなく山内くんの不幸体質の原因が分かる。しかしまだまだまだ伏線が残されている。まだ読んでないが、続巻もあるので、そちらの方で、謎の解明が行われるのであろうか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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「日本の女神様」がよくわかる本―アマテラスから山姥、弁才天まで

2022-12-28 17:46:42 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 我が国では俗に八百万の神々という位多くの神様がいらっしゃる。だから大雑把にその半分4百万は女神様と言ってもいいだろう。しかし、有名どころは伊邪那美命と天照大神くらいで、殆どその名前を知らないのではないだろうか。「いや4百万も覚えられる訳ないじゃん」というツッコミはさておき、本書は代表的な日本の女神様について、そのエピソードや鎮座地などについて解説したものだ。

 読んでみると、この女神様はどこかで聞いたことがあるというものから、本書で初めて知ったような女神様まであり、よく神社巡りをするという人には、楽しみが増えるかもしれない。やはり御祭神を知っているのと知らないのでは、お参りの楽しさが違うと思う。挿入されているイラストも現代的で美しい女神様をよく表しており、よりイメージしやすいのではないかと思う。

 ただこれはどうだろう。仏教系の女神の一つとして、観音菩薩を上げていることだ。確かに天部などは、殆どが、もともとバラモン教やヒンズー教の神々を取り入れたという経緯により、吉祥天や弁財天のように女神様であることがはっきりしているものもあるが、菩薩や如来は性別がないとか男性だとか言われることが多い。その中で観音菩薩は女性的な姿で描かれることが多いが、髭が描かれているものも結構ある。髭があることを男性神である根拠にするような意見もあるが、あれは髭ではなく、説法をしているときの口の動きを表しているという説もある。でもあれどう見ても髭だろう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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クリスティ・ロンドンマッシブ 1

2022-12-24 13:14:43 | 書評:その他

 

 

 あのシャーロック・ホームズの姪であるクリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープが大活躍する作品である。「クリスティ・ハイテンション」シリーズの続編となる。前作から6年たちクリスティも17歳。美幼女から美少女に育っている。前作でも伯爵令嬢だったのでレディと呼ばれていたが、この詩シリーズでは益々その呼び方に相応しくなっている。なお、このシリーズでは、父が公爵家の当主となったため、公爵令嬢にジョブチェンジだ。ちなみに、ホームズからは、公爵令嬢になったら嫁の行き先が限られてしまうと心配されている。

 前作でホームズの住むベーカー街の近くの屋敷が火事で全焼したため、クリスティの拠点は、ロンドン郊外のハムステッドに移っている。両親は、領地であるルートンに移っているが、クリスティがロンドンを離れたくないため小数のメイドたちらとハムステッドに住んでいるのである。

 このクリスティのメイドたちというのがなんとも個性的である。最強のメイドで二丁拳銃の使い手アンヌマリーは結婚してメイドを引退しているが、それに代わって、先が二股に分かれた鞭の使い手であるノーラがメイド長になっている。その部下のメイドは7人いるようだが、中でも特筆すべき三人が、召喚魔術を使うバーサ、薬缶を使っていつも筋トレをしている怪力のグラディス、人を金縛りにしたり操ったりする邪眼の持ち主でなんとも色っぽいアネットと、いずれも一癖も二癖もある。

 今回彼女が挑むのは、顔をつぶされた連続殺人事件。その陰にはロシアによる陰謀があった。クリスティは、連中に捕まって大ピンチになるが、助けたのがなんとホームズのライバルモリアーティ教授。これからの展開にどうかかわってくるのだろうか。それと最強メイド部隊はどんな活躍を見せるのか、続きを読みたくなってしまう。

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

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ジャイアント台風1

2022-12-21 12:39:22 | 書評:その他

 

 

 今は懐かしき昭和の時代、力道山やジャイアント馬場、アントニオ猪木といったプロレスラーは、今とは比較にならないくらい、お茶の間のヒーローだった。なにしろデストロイヤーの4の字固めや猪木のコブラツイストなんかは男の子の必修科目だった観のあるような時代だった。本書は原作が梶原一騎となっているが、別名の高森朝雄で原作を書いたジャイアント馬場の一代記である。(高森朝雄で書かれたもので有名なのは「あしたのジョー」だろう。) 絵はタイガーマスクなどで知られる辻なおき。

 この部分は、まずありえないと思う。馬場が力道山道場への入門時に、「死にもの狂いの力」を教えるため、手足をバーベルに縛りつけて動けなくされ、蜂の巣を投げ込まれるのだ。漫画では実話そのものだと書かれているが、巣はどうみてもアシナガバチのものである。この物語を漫画では昭和35年4月1日のことだと書かれている。しかしアシナガバチやスズメバチは、毎年巣をつくる。4月1日に巣がこれほど大きくなっていることはまず考えられない。

 そしてスズメバチにあれだけ刺されれば、まず命はないだろう。アシナガバチだって危ない。それに馬場は手足をバーベルに縛り付けられ殆ど身動きの取れない状態である。ミツバチなら針が体に残るがそれらしきシーンはない。動けば蜂は興奮して攻撃するが、動かなければ、これだけ刺されることはないのではないだろうか。なによりこの時期、力道山はブラジルへ遠征しているはずだ。4月1日に馬場と対面するというのは時期が合わない。

 この巻で描かれるのは、馬場のプロレスラーとしての駆け出し時代。力道山の弟子になってから、ニューヨークでの武者修行、人間発電所と言われたブルーノ・サンマルチノとの激闘と友情。日系人少年との友情。ニューヨークのプロモーターの下種振り。

 まあ、よくも悪くも昭和感満載の作品だろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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クリスティ ハイテンション1

2022-12-19 09:11:28 | 書評:その他

 

 ヒロインはクリスティ・クリスタル・マーガレット・ホープ(愛称クリスティ、レディと呼ばれることも多い。)という伯爵令嬢の幼女。今は伯爵令嬢だが、父親がヴィクトリア女王の最後の子で、公爵家の次期当主なので、やがては公爵令嬢になる予定だ。

 この物語は、クリスティが色々な難事件に挑むというものなのだが、彼女の伯父さんと言うのがあのシャーロック・ホームズなのだ。母親の兄という設定である。つまりクリスティはホームズの姪っ子と言う設定である。俗に「血は水より濃い」と言うが、クリスティは伯父に劣らず鋭いのだ。なにしろホームズの相棒のワトソンが3時間かかって理解した事件を、3分で理解し彼を落ち込ませるほどだ。

 このクリスティのメイドたちが個性豊かである。メイド長のアンヌマリーは一見上品な美女なのだが、実は二丁拳銃を持ったら最強のメイド。その部下のノーラは、育ちがあまり良くなく読み書きはできないものの、クリスティへの忠誠心が非常に高い。先端が二股に割れている鞭(フルグラム)を武器にしている。この「クリスティ ハイテンション」の続編である「クリスティ・ロンドンマッシブ」ではなんとノーラがメイド長に昇進しており(アンヌマリーは結婚してメイドを辞めている。)、その部下もなかなかに個性的なメイドだ。

 既存の物語をモチーフにした作品はいくつか知っているが、ホームズには実は鋭い姪っ子がいたという設定が面白い。そして美幼女というのもいいだろう。続編では成長して美少女になったクリスティも出てくる。本書を読めばあなたもきっとクリスティのファンに。

☆☆☆☆☆

 

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この世界で俺だけが【レベルアップ】を知っている1

2022-12-17 20:32:34 | 書評:その他

 

 主人公のテオは転生者だ。転生者といっても、よくある設定のように異世界から転生してきたわけではない。数千年前の同じ世界からの転生者なのである。彼にはSランクの最強のお冒険者テオ・ロードとしての記憶があった。

 しかし、生まれ変わった時代では、人間は悲惨な扱いを受けていた。この世界では種族事にレベルが固定され、人間はレベル1の最弱の存在として、魔物たちの食糧として飼われていたのだ。この世界では種族毎に定められたレベルは一生変えられない。人間は最弱の存在で天恵(ギフト)もないと思われていた。実は人間には、レベルアップするという唯一無二の天恵を持っていたのだ。

 これは、テオがレベルを上げ、人間たちを魔物から解放するという物語のうようだ。面白いのがフェニックスのフィフィ・リ・バースディ(フィーコ)と言う魔物。フェニックスなので死んでも炎のなかから蘇る。初登場時はかなり強者の雰囲気を持った美少女だったのだが、その死から蘇るという特性が、テオにとってはいいお客さんだ。何しろ倒すたびに自分がレベルアップするのだから。そして次第の残念美少女となっていく。

 ただ不死のフェニックスだけあって、霊体だけになっても生きていられるようだ。結局テオは、フィーコの霊体といっしょに旅をすることになる。果たしてテオはこの時代でも最強の存在になれるのか?

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション1-3

2022-12-15 10:48:59 | 書評:その他

 

 

 

 男の娘漫画の嚆矢ともいえるこの作品。1981年から1983年にかけて少年ジャンプに連載されていたが、当時の編集部といろいろあったようで、最終話が未完の状態(といっても最後の5頁だけでネームはできていた。ただしあくまで最後に掲載予定だった部分が完結しただけで、物語自体が完結した訳ではない。)で打ち切りになった。このコンプリートエディションでは、その5頁の部分が加筆されて完全版となっている。つまりコンプリート・エディションと銘打っているのはそういう意味なのである。

 さて本作であるが、主人公は坂本耕作という高校1年生の少年。母の死をきっかけに天涯孤独になる(アル中だった父は、3年前に泥酔して田んぼに落ちて死亡)。母の春江の遺言で、母の知り合いの大空いばりの家にやっかいになることになった(実はいばりが春江に片思いをしていた)耕作だが、実は大空家は「関東大空組」というヤクザの一家だった。

 この大空家の子供がつぐみ、つばめ、ひばり、すずめの美人4姉妹と思いきや実はひばりは3女ではなく長男、つまり男なのだが、学校では女子で通している。(身体測定のように男の体ではまずいときは姉のつばめが身代わりになったりしているらしい。)そして耕作とひばりは同じクラス。これは耕作とひばりの繰り広げるラブコメ(なのかな?)。

 40年前の作品としては、絵柄はそう時代は感じさせないが、作中に高校生の喫煙場面や飲酒場面が描かれたりと、その部分では時代を感じさせる。しかし、二人の関係がいったいどうなっていくのか気になる作品ではある。

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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新しい高校地学の教科書―現代人のための高校理科

2022-12-13 08:50:48 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 近年は理科という教科が軽視され、理科オンチが増えているようだ。いちいちは突っこまないが、おかしな表現が世の中にあふれ、一向に是正されるような気配がない。おそらく、理科オンチがどんどん再生産されている結果、物事を科学的に関変えられない人が増え、インチキなトンデモ商品が幅を利かすようになった。

 私が高校生のころは理科は地学、生物、物理、化学の4科目だった。文系志望でも一応4科目とも勉強していたのだ。最初の2課目は1年生のときにやり、理系では物理、化学は2.3年生の配当だ。(文系の場合は確か2年だけだったと思う)

 さて本書だが、私が地学を勉強した時とはかなり変わっていると思う。最近の地学の教科書は持ってないので、比べることはできないが、地球の事ばかりでなく宇宙のことも内容に含まれている。その後の科学技術の発達も踏まえて、結構高度な内容にはなっているが、数式は殆ど使っていないので、数式は苦手だが宇宙や地球科学に興味があると言う人でもそう違和感なく読めると思う。

 現在秋田大学の通信教育で地球科学を勉強しているが、本書の内容と重なる部分も結構ある。もし最初に、本書を読んでおけば、学びやすくなるのではと思う。

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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黄金の村のゆず物語

2022-12-11 10:06:04 | 書評:ビジネス

 

 これは山奥の一見何もない村を、ゆずの村として有名にした男たちの物語である。本書の主要登場人物である臼木さんは、県の農業普及指導技師として木頭村にやってくる。なんとか木頭村を豊かな村にしたい臼木さんは山に自生しているみごとなゆずに目をつける。そこから臼木さんの活躍が始まる。そして、ゆず栽培に専念するため、県の役人から木頭村の教育委員会に働き口を変える。

 皆さんは次の言葉を知っているだろうか。「ももくり3年かき8年」という言葉である。つまり植えてから桃や栗は3年、柿は8年かかるということを表した諺である。ここまでは知っている人も多いと思うが、実は、この諺には続きがある。それは「ゆずの大ばか18年」という言葉だ。つまり、ゆずを収穫できるようになるにはものすごく年数がかかるのである。この収穫までに年数がかかるという欠点をいかに克服したのかというのもひとつの読みどころだろうと思う。

 また、ほとんど知名度のなかった木頭のゆずをメジャーにしていく過程。これも読みどころだろう。一つ言いたいのは、何事も情熱なくしては成し遂げられないということだ。

 もちろん木頭村のゆずを見出したのもすごいが、こちらは運が大きく作用しているように思える。しかしその幸運をしっかりと掴むのは難しい。幸運をきちんと掴むのにも日頃の努力や問題意識が必要なのだ。俗に幸運の女神は前髪しかないと言われる。後ろ髪をつかむことはできないのだ。だから、見つけたらすぐに掴まないといけないのである。そうでないと、幸運はどこかに逃げ去ってしまう。

 なお本書には書かれていないが「木頭ゆず」は地域ブランドとして認定されている。この辺りも書けば、地域づくりに努力している人にも大いに参考になるだろう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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江戸前エルフ(1)

2022-12-09 10:56:12 | 書評:その他

 

 舞台は、東京の月島にある高耳神社。この神社が変わっている。なんと御祭神は高耳毘売命だが、実は400年以上前に異世界から召喚されたエルフなのだ。このエルダというエルフ、不老不死なのだが、引きこもりのコミ障。エナジードリンクを飲みながらゲーム三昧。エルダが引きこもりになったのは60年前に、近所のクソガキに「耳長くね?」と言われたからだそうだ。でもエルフなので、超絶美人。でも引きこもり(笑)ちなみに精霊魔法は使えるが神通力はないらしい。

 エルダは、近所の人にはものすごく好かれている。エルダの好きな色々なものを神饌として奉納してくれる。お気に入りは、電気屋さんの奉納してくれたVR。泣くほど嬉しかったらしい。エルダは不老不死なので、姿が昔から変わらない。その変わらないものがあるのが、氏子たちにはいいらしい。

 これは、神さまとして祭られているエルフとその巫女となった女子校生小金井小糸の物語。この1巻では特に大きな事件は起こらないが、雰囲気としてはエルダと小糸の日常をコミカルに描いたもののようだ。ただ、最後に大阪に住んでいる「広耳様」と呼ばれるエルダと同じような存在が出てくる。たぶんこっちはダークエルフだろう。どうもエルダのことを知っているようで、彼女に会いに行くようだが、果たしてどんな役割を果たすのだろうか。ただ、おみやのことを気にしていたので、シリアスな展開にはならないと思うが。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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