参考書が最強! 「日本初! 授業をしない塾」が、偏差値37からの早慶逆転合格を可能にできる理由 | |
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著者の林尚弘氏は、武田塾という塾の経営者だが、この塾がなんとも型破りだ。なにしろ「授業をしない」というのだから。授業は時間のムダ、最強の学習法は、「参考書での自学自習」、そして「一冊を完璧に」仕上げることだという。学校に行くだけでなく、塾や予備校に通って、一生懸命勉強を「習う」のが当然というように刷り込まれている人には、目の玉が飛び出そうな主張だろうが、私には、ごく当たり前のことのように思える。私自身の体験とも重なるからだ。
私は、塾や予備校というものに行ったことはない。なにしろ田舎育ちなので、そもそも塾や予備校なんて存在しなかったのだ。しかし、それでも別に不自由はなかった。一応本屋はあったし、そこには、数々の参考書や問題集が並んでいた。別にアメリカの大学に行こうという訳ではない。日本の大学を受験するかぎり、日本全国、少々の田舎でも、参考書や問題集に不自由することはない。
昔から疑問だったのは、本を読めば分かるようなことを、どうして、全員が、同じ時間、同じ場所で、「習わ」ないといけないのかということだ。私など、学校の授業だけでもいやだったのに、なぜ、最近の子は、みな競ったように塾に行ってまで、もっと授業を受けようとするのだろう。何かを学ぶというのは、誰かに「習う」ということではない。多少は人の力を借りてもよいが、基本は、自分の力でやっていくべきものだ。塾や予備校に通うことで、自分は勉強をしているんだと錯覚をする。これが一番怖い。人生、学校で「習って」いる時間よりは、自分で考えて行動しなければならない時間の方が遥かに長いというのに、これでは、言われたことしかできないロボットを大量生産しているようなものではないか。そんなことを常々感じていたので、本書の主張には共感できる部分が多い。
著者が武田塾を開いたのは、自身が高一から一浪時代までの4年間通った予備校での経験が大きく影響している。著者は、予備校とは、生徒になるべく沢山の授業を受けさせ、お金を落とさせるシステムだということに気がついたのだ。信頼していた予備校の教師も、生徒に沢山の授業を売り込むのが巧みな、トップセールスマンでしかなかった。
意外だったのは、受験生の恋愛問題。恋をすると、女子の方がのめり込んでしまって、学業が手に付かなくなるものと思いこんでいたのだが、最近はかなり事情が違うようだ。「恋愛しても、女子は大丈夫。ペースを乱し、自滅するのは男子だけ」(p128)らしい。これは、女子が強くなったのか、それとも男子が情けなくなったのか。
ところで、28日に放映されていたフジテレビ系の「ぺけポンプラス」という番組で、芸能人たちが、小中学校のお受験問題に挑戦していた。しかし、問題の内容は、はっきり言ってくだらないものが多かった。あんなことをお勉強するために、小さいころから大金を払って塾に通う。まったくこの国は異常である。
本書の内容は、決して大学受験に限ったものではない。私自身、就職してからも色々な資格試験を受験し、文理の両面に渡り、90以上もの資格試験に合格してきた。資格専門の学校などには通っておらず、参考書1冊で合格したものがほとんどだ。本書で主張している勉強法と似たようなことを、昔からやってきた結果である。この勉強方法が身に付けば、社会人になってからも大きな力になるだろう。
「独学という道もある」という本の著者の川範之氏のように、高校から大学までを通信教育で学び、東大大学院教授になったという例もあるのだ。そろそろ、「塾に通えば勉強ができるようになる」、「授業を受ければ勉強ができるようになる」といったような思い込みは捨てても良いのではないか。
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