文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

子連れ狼 大合本 2

2020-07-29 12:24:43 | 書評:その他

 

 本書は、単行本の4,5.6巻分を一つに纏めた子連れ狼の大合本第2巻だ。元公儀介錯人の拝一刀が、刺客と続けながら、一子大五郎と共に、拝一族を陥れた柳生烈堂率いる裏柳生と戦っていく話である。

 一刀は、刺客の対象となった堺の鉄砲鍛冶から連発銃の実物と図面を託される。今でいえば機関銃か散弾銃のようなもので、沢山の弾が一度に出るのが特徴だ。

 拝一刀、この連発銃を箱車(大五郎が乗っているやつですな)に仕込むために、鍛冶場を借りて、なんと大五郎を助手に二人で作っている。これは、渡された実物を箱車に組み込んでいるのか、それとも新規に作っているのかは、この2巻を見る限りははっきりしない。

 しかし、図面を確認しているシーンがあるので、後者の確率が高いと思ったら、次の巻にすぐ答えがあった。大五郎と7日がかりで、箱車の底部に託された連発銃を組み込んだようだ。だったらあの図面を確認しているシーンはなんだったのだと思う。まさか図面に箱車への組み込み方なんて書いてあるわけはないだろうし。

 拝一刀が火傷から破傷風を発症する話がある。この火傷は、自分が刺客の仕事をする際に使った作戦で負ったのだからアホとしか言いようがない。また、破傷風というのは体の痙攣などの全身症状が主な症状だ。酷い場合には背骨が折れることもあるという。ただ高熱を出して寝込んでいるというものではない。

 また破傷風を発症しているのに、ちょっとした差が明暗を分ける勝負で、強敵を倒すなんてまずあり得ないと思う。根性でなんとでもなる少年漫画の世界とは違うんだから。まあ、作品が発表された時代を考えると、根性が大きな役割を果たしていたのだろう。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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霊視刑事夕雨子1 誰かがそこにいる

2020-07-27 08:55:27 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 主人公は大崎夕雨子という、警視庁中野署の刑事課に勤める若手女性刑事。彼女は、他の人とは違う。そうタイトルの通り、「視える人」なのだ。普段は、亡き祖母からもらった念のこもったストールでその力を抑えているが、ストールを外すと、視える人になる。彼女とペアを組むのは警視庁捜査一課から異動してきた野島という女刑事。噂によれば、何かをやらかして、捜査一課から所轄に飛ばされてきたらしい。作者は「浜村渚の数学ノート」などで知られる青柳碧人さん。

 夕雨子はただ視えるだけで、除霊などの特別な力はない。でも彼女に関わってくるのはこの巻に関しては悪霊は出てこないのだ。寧ろ夕雨子を助けてくれるような霊もいる。夕雨子は野崎といっしょに、事件の解決を図ることにより、霊の心残りを解決するのだ。

 実は夕雨子が警察官になったのには理由がある。小学生のころ参加した子供キャンプで、仲が良くなった荒木公佳という児が行方不明になった。それを解決するための情報が欲しいからだ。

 残念ながら、それは群馬県警の管轄。警視庁に入った夕雨子には群馬県警の情報に直接触れることはできない。しかし、野島が捜査一課に復帰するのに協力すれば、その暁には、群馬県警から情報を貰ってあげるという。そういう目的があるんなら、最初から群馬県警に入ればいいと思うのだが。どうも夕雨子、警察の仕組みをよく知らなかったらしい。

 この作品は、野崎や霊たちに助けられて、夕雨子が刑事として成長していくという話なのだろうか。次巻以降がどのような展開となるのか楽しみである。

 もちろん、敵役も出てくる。野島が捜査一課時代にペアを組んでいたという有原という男。事件があると所轄に乗り込んでくるのだがこれがなんとも偉そうなのだ。

 夕雨子の階級は巡査というのは書かれているが、野島や有原の階級ははっきりしない。しかし、偉そうな態度といい、部下がいることから、有原は班長クラスだと思う。ということは階級は警部補ということか。そして野崎も有原とタメ口で言い争っていることから、同じような階級だと思われる。まさか有原が管理官ということはないと思う。管理官だとしたらその階級は警視だ。野崎が同じような階級だとしたら、所轄の課長(階級は警部)の下に配属されることはないだろう。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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変な知識に詳しい彼女 高床式草子さん(3)~(5)

2020-07-25 22:58:44 | 書評:その他

 

 

 

 

 (3)巻~(5)巻(完結巻)のレビューとなります。

 このお話は一言で言えば、容姿端麗、頭が良く、爆乳を超える超乳の持ち主高床式草子さんと、普通の男子高生根住中也君の織り成すラブコメだ。草子さんはエロ知識を仕入れることが大好きで、それを話さずにはいられない。しかし昔のトラウマから、もっぱら草子さんのエロ知識を聞くのは彼氏の根住君の役目である。

 なんと草子さんはカップが1段階あがり、めでたくJからKになった。これをK点越えというらしい(3巻)。いや越えてないからね。でも実際にKカップの人ってAVくらいで、そこらを歩いているのを見たことがないんだが。

 根住君の従姉が結婚した。従姉夫婦の初夜を根住君と草子さんは、延々6回戦分も覗くことになってしまう。実はプレゼントを置いて隠れているうちに二人とも寝てしまったのだが、帰ってきた従姉夫婦が、二人が隠れているのを知らずに、リビングでおっぱじめてしまった。(4巻)

 根住君草子さんからコンドームを渡されドキマギしたけど、実は、手作り疑似おっぱいをつくるための材料。(4巻) 

 しかし、根住君、そのおっぱいを使って女装し、草子さんのブラを買いに行くというのはどうなんだ。

 草子さんの両親が4巻に出てくる。草子さんの妹と思いきや、実は草子さんの父親。女装が趣味で、根住君が大ファンのエロ漫画家だったらしい。でも、徹夜明けで原稿を描くと、その姿はどこのオッサンやというくらいに変わってしまう。髭をそっただけで元の状態に戻るというのが不思議だ。

 草子さんのKカップは母親からの遺伝のようで、お母さんは草子さんに負けないくらい大きい(何が)。

 最後の巻(5巻)では、草子さんが根住君の告白をOKした理由が明らかになる。理由が分かり、二人の仲はますます深まったようだ。

 その他、エロ知識が満載。例えば9月22日は1年で最もパンチラが起こりやすい日だという。その理由は、統計上パンチラに適した風速5mの風が1年で最も吹く日だからだそうだ。

 最後は、二人が初体験する手前で終わっているのがちょっと残念。草子さんのエロ知識が何とも言えないくらい面白かったのだが、もう聞けないと思うと少し寂しい。できれば続編を出して欲しいものである。

☆☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

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理論の15年間 2019年版

2020-07-23 10:37:49 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 本書はタイトルの通り、電験三種試験における理論科目の過去問を集めたものだ。電験三種とは、第三種電気主任技術者試験の通称であり、電気主任技術者試験は明治から続く歴史のある試験である。

 実はこの上に1種と2種があり、一応1種は大卒程度、2種は高専卒程度、3種は工業高校卒程度となっているが、大学の大衆化に伴い、大卒でもなかなか第三種電気主任技術者試験に合格できないというのは良く聞く話である。

 よく電気工事士と混同されるが、電気工事士が実際の電気工事を行うのに対して、この資格は電気設備に関する保安の監督を行うものだ。準拠している法律も違う。電気工事士は電気工事士法に基づいているのに対し、電気主任技術者は電気事業法に基づくものである。

 この資格を取ると、5万ボルト未満の電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安の監督ができるので、電気技術者のとりあえずの目標として取り組まれるものである。この試験合格後に上位資格を目指す人も多い。

 ただ、この資格は、学歴+実務経験で認定されると言う方法もあり、扱える範囲は試験によるものと変わりはないため、認定で資格を取る人もいる。ただ試験に合格すると、必用な知識を持っていることが証明されるし、認定手続きに比べると面倒くさくないので試験を受ける人は多い。

 解答も丁寧に書かれており、これを理解すれば、理論的な話ではそう不便な思いをすることはないだろう。電気は一歩間違えると命に係わる。前例踏襲よりも、きちんと理屈が分かって業務を行っている方が、自分でも安心だろうと思う。そう、大事なことは単に問題を解くのではなくきちんと理解することなのだ。

 平成7年からこの資格は科目合格制度が導入され、従来より受けやすくなっているので、皆さんもチャレンジされてはいかがかと思う。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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子連れ狼 大合本 1 子を貸し腕貸しつかまつる

2020-07-21 09:55:19 | 書評:その他

 

 テレビドラマでは、故萬屋錦之介の代表作といえる「子連れ狼」。大合本というのは、元の本をいくつか合わせたという意味だ。この第1巻は元の本の1,2.3巻を合わせたものとなっている。つまり、この1冊が通常の単行本3冊という訳である。

 内容は、柳生烈堂率いる裏柳生に陥れられた、元公儀介錯人拝一刀が一子大五郎と共に、復讐の旅を続けるというもの。この1巻では、裏柳生との因縁、妻を裏柳生の因縁で殺されたこと、大五郎誕生の様子そして一刀父子の刺客旅の様子が描かれる。

一刀は、依頼を果たすためなら、わざと相手に捕まったり、大五郎を囮に使ったりする。大五郎を囮にするのは、

「父なればこそ 子なればこそといったはずだ 親と子が手をつないで生きてゆくこと これすなわち生間!親と子の間を命かけた目的に使ってこそのこと…………」



ということらしいが、よくわからないというのが本音だ。

 しかし、こんな劇画調の作風は、最近あまり見ないので、帰って新鮮かもしれない。小池さんも小島さんも既に鬼籍に入っているので、もうこのような作品は発表されないと思うと少し残念だ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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秋田大学通信教育「機械工学概論」の報告課題が返ってきた

2020-07-20 16:21:20 | 秋田大学通信教育

 秋田大学通信教育の「一般科学技術コース」の「機械工学概論」の報告課題が返ってきた。結果は97A。

 あとは、この科目の学習単位認定試験しか提出するものがない。「資源開発工学概論」は、学習単位試験問題を提出済で、結果待ちだし、既に13単位を取り、終了は確定している(終了要件10単位以上)。在籍は12月まで。終了判定は来年の5月の予定だから、時間は十分にある。この科目の学習単位認定試験に合格すれば全科目制覇となる。

 

 

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酒場の京都学

2020-07-19 09:08:48 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 


 酒場と言う視点で見た京都の文化史。著者の加藤さんは、著者紹介に、立命館の教員としか書かれていないので、調べてみると今年から教授になっているようだ。教員と書いておけば、教授以下適応範囲が広いので、役職が変わる度に改正しなくて済む。これはなかなか賢いやり方ではないだろうか。

 旧制3高の話が出てくる。もちろんタイトルの通り、酒場絡みの話題である。旧制3高とは今の京都大学の前身のひとつだ。ところで、旧制高校というと、何浪もして入る人もいたが、普通に入れば学生は未成年の場合が多い。おまけに、5年制の旧制中学の4年を修了すれば、高校受験ができる制度があったので、3高生の年齢はますます若くなる。戦前だから許されたのだろうが、今だったら、絶対に酒場なんて行けない。

 しかし、さすがは京都だ。酒場一つにも歴史がある。著者は多くの文献や文学作品などから酒場の歴史を探し、文化史として纏めている。この辺りはさすがに研究者の面目躍如というところか。そして著者があとがきで述べているように、酒場が好きなんだなという事が良く伝わってくる。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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放送大学の試験問題を投函

2020-07-17 16:10:07 | 放送大学関係

さきほど、2020年度1学期の放送大学の試験問題の解答3科目分を近くのポストに投函してきた。

普通は学習センターで受験するのだが、今年の1学期はコロナの関係で在宅試験となった。

計算の伴うものが多かったのだが、択一式の試験なので、選択肢に計算結果と同じ数字があれば、それを選んで、特に見直しはしなかった。

別に卒業したからといってどうなるわけでもないのだが、あと8単位で6回目の卒業である。今回提出したものが全部単位が取れていれば、あと1科目2単位で卒業となる。失敗しても、2学期の再試験を受けられるので2学期は1科目の選択となるだろう。1科目なら、学習センターでの受験となっても、行く回数などを減らせるので、リスクを大分低減できる。

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影を踏まれた女

2020-07-17 09:35:17 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 岡本綺堂というと、代表作はなんといっても「半七捕物帳」だ。私も、半七づいてよく読んでいるが、実はこの作品のようなホラーも書いている。そういえば、半七捕物帳にもホラー風味で味付けがしてあるものが多かったが、作者の趣味だろうか。

 近江屋という糸屋の娘おせきが、十三夜の前の夜、月明りの中で、五~六人の男の子たちに影を踏まれる。おせきは、今年17歳の容貌(きりょう)よしだった。その日から、おせきは、外に出るのを恐れるようになる。最初は月夜の日だけだったが、ついに日光も恐れるようになった。

 おせきの両親は、行者から蝋燭を渡される。これでおせきの影を映せというのだ。映し出されたおせきの影は・・・。結局おせきは切り殺されることになるのだが、果たしてそれは影を踏まれたためか。いくら自分の影を踏まれると良くないという伝説があっても、影踏み遊びはその頃は結構ポピュラーな遊びだ。影踏み遊びで影を踏まれた人は多いはずで、それが全員恐ろしい目に合っている訳ではない。それともおせきはそのような運命にあり、それが影に現れたのか?

 この話には、まったくミステリー要素はなく、ただ怖く不思議な話だろう。

 

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

2020-07-15 12:09:09 | 書評:学術教養(科学・工学)

 

 鳥類学者が、ユーモア溢れる筆致で描いた、鳥に対するエッセイ。芸風は違うのだが、読んでいて、お茶の水大名誉教授のツチヤさんを連想してしまった。ツチヤさんのネタは、周りの女性陣に虐げられているようなものが多いのだが、川上さんは、自虐ネタが多い。そして、おじさんが喜びそうな小ネタをあちこちに散りばめている。若すぎても、歳を取りすぎても分からないかもしれないが、川上さんと同年代なら、ああ元ネタはあれかと膝をたたくのではないか。

 面白かったところをいくつか紹介しよう。沖縄にはズアカアオバトといういかにも頭が赤そうな鳥がいる。しかし、この鳥の頭は赤くない。台湾にも同じ種類の鳥がいるのだが、その集団の頭は、名の通り頭が赤いのである。実は台湾には、類似のアオバトという種類の鳥がいる。沖縄にはいない。川上さんは、台湾のズアカアオバトの頭が赤いのは、同種かどうかを識別するためだと言っている。そして、それをガンダムに出てくるシャア・アズナブルの搭乗するモビル・スーツが赤く塗られているのに例えて説明している。この辺りは、ちょっと怪しさが漂うが、読んでいて結構面白い。

 もうひとつ、ウグイスの話がある。日本で見られるウグイスは、6つの亜種に分けられるが、実は学名上の基亜種となるのは、本土にいる普通のウグイスではない。小笠原にいるハシナガウグイスなのである。基亜種というのは、分類学の基準となる亜種である。もちろん和名では普通にみられるウグイスが中心だ。つまり、ウグイスでは学名と和名の地位が逆転しているのである。これにはヒトの歴史が関わっているのだが、このあたりは、興味があれば本書を読んで確認されたい。 

 なお、各章の初めには鳥のイラストが描かれている。130ページのリアル・キョロちゃんには思わず吹き出してしまった。キョロちゃんとは森〇チョコボールのパッケージに描かれたマスコット・キャラクターだ。これがパッケージに印刷されていたら、子供たちは泣き出してしまうだろう(笑)。

 タイトルは「鳥が好きだと思うなよ」となっている。川上さんが鳥類研究の道に入ったのは、最初こそ受動的なのかもしれないが、本書を読んでいると川上さんの鳥に対する愛情が感じられるような気がするのは気のせいか?

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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