本書は、単行本の4,5.6巻分を一つに纏めた子連れ狼の大合本第2巻だ。元公儀介錯人の拝一刀が、刺客と続けながら、一子大五郎と共に、拝一族を陥れた柳生烈堂率いる裏柳生と戦っていく話である。
一刀は、刺客の対象となった堺の鉄砲鍛冶から連発銃の実物と図面を託される。今でいえば機関銃か散弾銃のようなもので、沢山の弾が一度に出るのが特徴だ。
拝一刀、この連発銃を箱車(大五郎が乗っているやつですな)に仕込むために、鍛冶場を借りて、なんと大五郎を助手に二人で作っている。これは、渡された実物を箱車に組み込んでいるのか、それとも新規に作っているのかは、この2巻を見る限りははっきりしない。
しかし、図面を確認しているシーンがあるので、後者の確率が高いと思ったら、次の巻にすぐ答えがあった。大五郎と7日がかりで、箱車の底部に託された連発銃を組み込んだようだ。だったらあの図面を確認しているシーンはなんだったのだと思う。まさか図面に箱車への組み込み方なんて書いてあるわけはないだろうし。
拝一刀が火傷から破傷風を発症する話がある。この火傷は、自分が刺客の仕事をする際に使った作戦で負ったのだからアホとしか言いようがない。また、破傷風というのは体の痙攣などの全身症状が主な症状だ。酷い場合には背骨が折れることもあるという。ただ高熱を出して寝込んでいるというものではない。
また破傷風を発症しているのに、ちょっとした差が明暗を分ける勝負で、強敵を倒すなんてまずあり得ないと思う。根性でなんとでもなる少年漫画の世界とは違うんだから。まあ、作品が発表された時代を考えると、根性が大きな役割を果たしていたのだろう。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。