仏教といえば、釈迦牟尼がインドで開いた宗教だ。ただインドで開かれたものの、現在のインドでは、仏教徒は少ないという。
本書はその全体の9割近くがインドの仏教事情について述べられている。全体は三部構成となっており、第一部がインド仏教史、第二部がインド仏教の思想史となっており、第三部になって各地の仏教が紹介される。日本の仏教は第三部の第二章北伝仏教の中で紹介されている。
第一章は、インド仏教の歴史を、初期、中期、後期の3つに分け、その中で仏教がどのような変遷をたどったのかを述べている。第二章では、第一章での時代区分に基づいて、どのように仏教思想が展開されてきたかを述べている。そして、第三部においては、他国での仏教の様子が第一章南伝仏教、第二章北伝仏教と分けて描かれている。日本は、中国や朝鮮半島を経由して仏教が伝わったが、中国や朝鮮、日本の仏教は北伝仏教の中に紹介されている。
少し古い本だが、岩波新書を書くときは、研究者は、力の入れ方が違うという話を聞いたことがある。本書も、そういったことがうかがえる書である。もし、仏教に興味がある人がいれば、手元に置いておきたい一書だろう。
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