サラリーマン出世物語の観がある島耕作シリーズだが、この作品では耕作は会長を退き相談役となっている。通常大きな会社には相談役がいたり顧問がいたりすることが多い。違いが分からない人も多いだろうが、通常会長や社長を退くと相談役に、その他の取締役を退くと顧問に就く人が多いようだ。もちろん企業の本来のオーナーである株主によって選ばれるのは取締役なので、相談役や顧問に実権を持たせるのはガバナンス上の問題があると思うが、中には取締役相談役といった訳の分からない職位についている人もおりややこしい。
私に言わせれば、オーナー企業なら好きにやってくださいといったところなのだが、株式を一般公開している企業なら、役員を退いたら潔く会社から身をひくべきだろう。特にコスト低減に励んでいる会社なら、真っ先に手を付けるべきではないのか。私なら、相談役に何も相談しようとは思わないし、顧問なんて役職は真っ先に廃止するのだが。
さて。本書では、サラリーマンとして企業の頂点となった島耕作の後ろ盾だった万亀健太郎の死、TECOT(島が入社した初芝電産が五洋電機と経営統合したもの)3代目社長の風花凛子への専務たちのイジメ。さてこの相談役編でも一波乱ありそうだが、果たしてどうなることか。なお、島耕作、これで上がりというわけではなく、どうもこのあとどこかの会社の社外取締役になるらしい。
☆☆☆☆