軍艦島30号棟 夢幻泡影~1972+2014~ | |
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大和書房 |
長崎市の沖合19キロに浮かぶ端島
まるで軍艦のように見えることから、通称「軍艦島」と呼ばれた島に
今は、廃墟となった鉄筋コンクリートの集合住宅が立ち並ぶ
ここはかって石炭の島だった
海底炭鉱を掘るためだけに生まれた、かりそめの街
最盛期には東京以上の人口密度を誇り
東西約160メートル、南北の約480メートルの細長い島の中に
ひとつの完結した空間が存在していたのだ
住宅、学校、店舗などは言うに及ばず
パチンコ屋、雀莊、映画館などの娯楽施設
更には寺院までも
それは、時代の中の特異点
人が食物なしでは生きていけないように
国家もエネルギーなしでは存続できない
かって黒いダイヤと呼ばれた石炭は
エネルギーの主役として日本を支えて来たのである
現在と40年前の写真を比べれば
今は荒れ放題のこの島にも
かっては人の暮らしというものがあったことが分かる
それは、特に珍しいというものではなく
日本のどこにでもあった風景だ
ここは日本が近代化を押し進めていた時代の夢の跡
もの言わぬこの島は
かっての時代の遺物としてただ存在するだけ
しかしここに収められている多くの写真は
雄弁にいろいろなことを語りかけてくる
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