文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:ボーイスカート2

2016-06-30 09:33:40 | 書評:その他
ボーイスカート 2 (ヤングジャンプコミックス)
クリエーター情報なし
集英社

・篠原知宏

 本書を表するにあたり、まず重要な事項をひとつ。表紙イラストの可愛らしい少女と思いきや、実はこれ「男の娘」なのだ。名前は和泉重光。これはそんな重光と越智裕也の(たぶん)友情の物語だ。

 見かけは美少女。しかし、中身は漢の中の漢。得意なポーズは腕組み仁王立ち。でもちっこいので可愛らしい(笑)。もともとは、「男が怖い」という双子の妹ゆりかのために始めた女装だが、今ではすっかりスカートをはくのが大好きに。ところが「兄の心妹知らず」。重光は、ゆりから、もう女装しなくてもよくなるように頑張ると言われてショック。越智は、ゆりかが兄の女装が必要なくなるまでは、思い切り重光に女装をさせてやろうと手助けする。

 この巻では、重光を狙うチャラ男の松永と、裕也を慕うお嬢様学校に通う超絶美少女(ただしやはり「男の娘」で名前は大五郎)が加わり、どたばたぶりに拍車がかかる。

 周りからはすっかりBLカップル扱いされている重光と裕也だが、裕也にとっては重光が時々女の子としてドキリとする相手から男同士の親友になる(でもやっぱり時折はドキリとするようだが)というのが本書のストーリーかな。でも重光の女装は続くようだ。

☆☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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書評:なぜ、お客様は「そっち」を買いたくなるのか?

2016-06-28 09:09:27 | 書評:ビジネス
なぜ、お客様は「そっち」を買いたくなるのか?
クリエーター情報なし
実務教育出版

・理央周

 同じような商品を扱っていても、売れている店とそうでない店がある。いったい何が違うのだろう。どうすればお客様が買ってくれるようになるのか。本書はそんな悩みを持つ人のために売れる仕組みをつくるためのヒントを与えてくれるものだ。

 本書は、流行る店になるためには、どちらの売り方が良いのかを二択方式で読者に考えさせるというのが大きな特徴である。一応の答はあるのだが、急いで答えを見るのではなく、自分の頭でまずは考えてみるということが大切だろう。ただし、どちらも正解だったり、不正解だったりというひっかけ問題もあるのでご用心。

 本書を読むと、売れるためのいくつかの定石が見えてくる。絶対に行ってはならないのは、安易な値引きに走ってはいけないということ。競合との値引き合戦は、際限がなくなり、互いに疲弊してしまうだけだ。

 「困ったときは、お客様に聞け」というのも定石の一つだが、本書では決してアンケートは進めていない。お客様が気付いていないような潜在的ニーズはアンケートでは分からないからだ。だから自分で観察してニーズを見つける必要がある。

 「売ろう」とするから「売れない」のである。客が買いたくなるような工夫をしなくてはならない。売らんかなを前面に出したプッシュ型のプロモーションではだめで、どうやって向こうから欲しいとやってくるようなプル型の商品にするかということが大切なのである。そのためには、いかにお客様にとって有用な情報を提供するかということにも知恵を絞らなくてはならないのだ。

 すぐ値引きに走ったり、顧客にアンケートをとったりというのはよくやりがちだが、これしかできないようではダメな経営者の見本と言われてもしかたがない。そんなことより経営者にはほかに考えなければならないことがたくさんあるのだ。そんなことを教えてくれる一冊である。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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書評:・アイヌ学入門

2016-06-26 07:58:15 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
アイヌ学入門 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社

・瀬川拓郎

 本書は、アイヌの歴史、文化を通じて、彼らがどのような人々であるかを知ってもらうために書かれたものだ。

 アイヌとは、ユーカラを語り、自然と共生してきた人々だというイメージを持っている人もいるかもしれない。そうだとすれば、本書を読んで、そのイメージは大きく変わることだろう。かって彼らは、日本と大陸をむすぶ中継貿易者であり、異民族や中国王朝と戦ってきた北東アジアのバイキングだったのだ。

 世界のどの民族とも異なった特徴を持つというアイヌの人々。彼らは縄文人の血を色濃く留めているという。かってアイヌ白人説というものがあった。アイヌの人々はモンゴロイドではなく、コーカソイドだというのだ。しかし、1960年代に行われた調査で、コーカソイドという積極的な証拠が見つからなかったため、結局はモンゴロイドであると結論された。しかし、モンゴロイドとも異なる特徴を多く持っているという。

 アイヌの方で直接知っている方はいないし、たまにテレビなどで見るアイヌの方も、いわゆる和人とどのような違いがあるのかはよく分からないのだが、本書に載っているアイヌ女性の写真は、スペイン辺りの人だと言われても、それほど違和感はないだろう。もっとも、和人の中にも、顔の濃い人は見られるので、単に個体差だということなのかもしれないのだが。

 アイヌと和人は古くからの交流があったようだ。マタギの言葉にはアイヌ語の影響がみられるし、アイヌ文化にも、古代や中世の日本文化の影響が見られるようだ。例えば、アイヌの呪術には、陰陽道や修験道の影響を受けていると思われるし、アイヌ社会には、蘇民将来と似た伝説が伝わっている。茅の輪くぐりと似た草の輪くぐりのという呪術も存在するのである。

 もちろんこれ一冊で、豊かなアイヌ文化のすべてがわかるわけではないのだが、日本には異なる文化・風習を担ってきた人々が住んでいる。日本は決して単一文化からなる国ではないのだということを理解するための最初の一冊にはなるだろう。また、日本とは何かを考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれるのではないだろうか。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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書評:ぶらり東京・仏寺めぐり

2016-06-24 09:33:03 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
ぶらり東京・仏寺めぐり
クリエーター情報なし
幻冬舎

・長田幸康

 本書は、気負わずふらりと立ち寄れる寺をめぐる入門書だという。すなわち東京の寺巡りのガイドブックである。収録されているのは、17区にわたる39寺院。

 各寺の歴史、寺に関するエピソード、本尊、文化財やアクセス、見所、ご利益などが簡単に解説されているので、寺に興味がある人にとっては便利な本だろう。

 ただ、2点ばかり注文したい。私は、「中川翔子のマニアまにある」というテレビ番組が好きでよく見ている。それによると、最近は「御朱印女子」という人たちもいるらしい。私自身も古寺に行った際には朱印をもらうことが多いが、朱印のもらえる寺についてはそれに関する情報があったほうが、この手のガイドブックとしてはうれしい。

 もう一つ、寺の場合は、「○○宗大本山」といったように宗派と寺格はセットとなる情報である。宗派は書かれているが寺格がある特別な寺の場合は、それも書いた方が親切だろう。例えば浅草寺なら聖観音宗総本山浅草寺、寛永寺なら天台宗別格大本山寛永寺といった具合だ。

 私も東京には何度も行き、本書に収録されている寺のいくつかは訪れた記憶がある。しかし、東京には、まだまだ訪れてみたい寺が沢山あることが分かった。もしまた東京に行く機会があれば、本書片手に東京の寺を廻ってみたいものだ。

 京都だと、ほとんどの寺で拝観料という名の入場料を徴収されるが(おまけに結構高い)、本書によれば、東京ではほとんど無料だということだ。さすがに江戸っ子は気っ風がいいと感心したというのは余談(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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書評:一瞬で心をつかむ文章術

2016-06-22 08:37:55 | 書評:ビジネス
一瞬で心をつかむ文章術 (アスカビジネス)
クリエーター情報なし
明日香出版社

・石田章洋

 人を引き付ける文章を素早く書くためにはどうしたら良いのだろう。

 本書はそのような悩みを持っている人の疑問に答えようとするものだ。ビジネスにおいて文章を書かなければならない人、趣味でブログなどを書いている人。あなたは自分の書いた文章が人の心を掴むようなものだという自信があるのだろうか。

 もし自信があるというのなら本書を読む必要はないだろう。しかし、一人でも多くの人に自分の書いた文章を喜んでもらいたいと考えていれば、一度目を通しておいても損はないと思う。

 本書で解説されているのは、人に読んでもらうための文章をどのように書けばよいのかということに対する数々の留意点だ。

 例えば、文章を素早く書くためには、いきなり書き始めるのではなく、構成や内容などをしっかり考えてから書くのがコツだということや、文章を書く上では「テーマ」、「ターゲット」、「目的」が3種の神器といったようなことである。

 後者について若干補足すれば、まず「テーマ」としては、人の心を掴みやすい訴求ポイントがあるということで、アメリカの著名なコピーライターであるジョン・ケープルズの示した12種類のポイントが紹介されている。

 「ターゲット」については、どのような人に読んでほしいかを明確にするということだ。文章には読者がいる。誰に読ませるかによって、書き方も変わってくる。つまりは人に読ませる文章を書くためには、一種のマーケティング戦略も必要だということなのだ。また何のために書くのか、目的を明確にしておかないと一本筋が通ったような文章は書けない。

 また、文章は「起承転結」だと言われることが多い。しかし本書では、論文などで使われる「序論」→「本論」→「結論」という流れの方を勧めている。「起承転結」型は混乱を招きやすく、論文スタイルの方が広範囲に応用が効くというのだ。確かに、「起承転結」型だと「転」をうまく行うにはかなりのセンスが必要である。下手に「転」をしてしまうと文章の論旨がよく分からなくなってしまうだろう。

 この他、文章を書くための材料の集め方、推敲することの大切さなどについてもよく分かる。

 本書に書かれていることを実践していけば、あなたの文章力は知らない間に格段に向上しているに違いない。頭の中で考えていてばかりではまったく効果はない。大切なのは、本書にもある通り、書くことを「習慣化」させるということなのだ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。


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書評:20億の針【新訳版】

2016-06-20 10:22:26 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
20億の針【新訳版】 (創元SF文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・ハル・クレメント、(訳)鍛冶靖子

 宇宙船から犯罪者(ホシ)を追ってやって来た捜査官(捕り手)。彼らは他の生物に入り込んで生きるゼリー上の不定形生物だった。彼らの乗った宇宙船が南太平洋に墜落。捕り手は、ロバート(ボブ)という15歳の少年を宿主に、ホシを追う。ホシも捕り手と同様に、人間になかに潜りこんでいるはず。果たしてホシは誰の中に潜んでいるのか。

 本書の大きな特徴は、宇宙人が、地球での活動のために、地球人と共生をするというところだ。円滑な移動や食物や酸素の供給を宿主が行う代わりに、宇宙人の方は、宿主を怪我や病気から出来るだけ守るのである。宇宙人と地球人の共生を描いた本書の初刊は1950年。その後の共生生命SFに大きな影響を与えたという。本書の帯には、「寄生獣」や「ヒドゥン」が例として挙げられているが、考えてみれば「ウルトラマン」だってそうだし、このほかにも思い当たる作品は多いのではないだろうか。

 ところで、タイトルの「20億の針」についてはどうかなと思う。この20億というのは、作品発表当時の世界の人口である。すなわち、誰の中に入り込んでいるかわからないので、操作の対象が最大20億人もいるというわけだ。しかし、世界の人口が70億人を超えた現代社会で、この数字がピンとくる人はどれだけいるのだろう。

 またこのタイトルは原題に照らすと正確ではない。英語には、「To look for a needle in a haystack」という言い回しがある。乾草の山から一本の針を探すということで、不可能なことの例えだ。そして 原題は「NEEDLE」。つまりは干し草の中に混じっている針のことだ。だから、20億あるのは、針の方ではなく干し草の方だということになる。「NEEDLE」は単数形なので、本来なら「一本の針」というのが正確なタイトルだろう。

 巻末の牧眞司氏による解説ではこのタイトルを「日本語の響きを重視」したものとして誉めちぎっているが、多くの同質のものに混じっているたったひとつの異質なものを探そうというのが本書のキモなのだから、やはり針が20億本あってはおかしい。語呂がよければ、タイトルが内容を表していなくとも良いのだろうかという疑問がわく。

 なお、この20億というのは最大の見積もりということで、実際にボブと捕り手が捜査しているのはボブの周囲の人たちだけである。消去法でリストにあげられた人物たちがみなシロだということになったとき、捕り手は意外な人物にたどり着く。

 何しろ捕り手が同族を見つけ出す術は、宇宙船が墜落した時に失われてしまったというのだ。ホシを退治する手段もない。そのような中で、ボブと捕り手がいかにホシにたどり着きこれを退治するのかというところが、本書の見どころの一つである。

 そしてもう一つの見どころは、生物学的な描写にリアリティがあるというところだ。例えば、捕り手が、宿主の体に入り込んで身体中に触手を伸ばしていくようなところなどは生物学に関する知識がなければ書けないのではないだろうか。著者は、理学の修士号を持っているというから、この描写のリアルさもうなずける。

 このほか、バイオ燃料のことが描かれていたり、人はモラルハザードに陥りやすいということが書かれたりしており、なかなか興味深い作品である。

(参考)
 ここでいう「モラルハザード」とは、よく間違って使われる「倫理観の欠如」といった意味ではなく、本来の使い方である、どうせ宇宙人が怪我や病気に対応してくれるのだからと、つい危険なことをやってしまうということです。


☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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書評:流されて八丈島~おたくマンガ家のテンパり島生活~

2016-06-18 09:38:25 | 書評:その他
流されて八丈島~おたくマンガ家のテンパり島生活~ (ぶんか社コミックス)
クリエーター情報なし
ぶんか社

・たかまつやよい

 ひょんなことから八丈島に移住した漫画家たかまつやよい(二人組漫画家なので、移住したのはそのうちのやよいさんの方)が、驚きの八丈島ライフを愉快な漫画で綴ったシリーズの第二弾。

 愉快な八丈島ネタが満載だが、特に笑えるのは「くさや」ネタ。あの強烈な臭いの魚の干物のことだ。単行本販促のため島を訪れた担当編集者が、この「くさや」を初めて食べた時に思ったのが、なんと「うんこ」(笑)。でも、ほぐしてマヨネーズをつけて食べると、とても美味しいらしい。でも、「うんこ」の臭いはちょっと・・・(笑)。

 「あぜ道」かと思うようなワイルドな自動車練習場。 転勤で島を出ていくとき、「ご赦免」ということ。島の人が大好きな島焼酎の歴史と製法。八丈島名産の黄八丈についての蘊蓄等々。読んでいると、笑いながらも、八丈島のことがよく分かったような気になってくる。 

 やよいさんのプロ根性にも脱帽だ。なんと、自分がノロウィルスに感染して、ひどい目にあったことまで漫画のネタにしてしまうのだから。ちなみに、八丈島には総合病院がちゃんとあるそうなのでご安心を。

 のんびりとしたとってもいい場所のようだが、誰にでも合うというわけではないようだ。夫の転勤に付いてきたが、島に馴染めず帰ってしまう奥さまもいるらしい。しかし、うまく楽しめる人には、こんな楽しい場所は無いという。
 
 ゆるゆるとした雰囲気の中にも八丈島の魅力がよく描かれており、島暮らしに興味がある人は、ぜひ読んでみることを勧めたい。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。




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書評:千里眼 The Start

2016-06-16 07:43:38 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
千里眼 The Start (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店

・松岡圭祐

 「万能鑑定士Q」シリーズなどに先立つ、松岡圭祐の「千里眼」シリーズの角川文庫版の一冊目。ヒロインは、元航空自衛官で現在は臨床心理士、頭脳明晰で容姿端麗な岬美由紀。この巻では彼女が、なぜ空自を辞めて、臨床心理士への道を歩みだしたかが描かれている。

 美由紀には、空自のパイロットとして鍛えた動体視力がある。この動体視力が、心理学の知識と組み合わさったとき、瞬時に人の感情を読み取ることができる。人はそんな彼女を「千里眼」と呼ぶのだ。

 千里眼美由紀が挑む最初の事件は、旅客機を墜落させようというテロ。美由紀は薬物を注射されて海に捨てられ、あわや海の藻屑となるところだった。このとき美由紀を救い、彼女が心を開いて唇まで許した男との関係は、意外な方向に進む。

 だいぶ前に何冊か読んだ際のイメージでは、ハチャメチャで猪突猛進、無敵のスーパーヒロインだと思い込んでいた。しかし、あらためて読み返すと、そここそにトリビア的知識が披露され、後の「万能鑑定士Q」シリーズなどと同じ流れを汲んだ作品であることがよく分かる。それにしても、人間の記憶というものは、あてにならないものだ。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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書評:東京自転車少女。4

2016-06-14 17:03:47 | 書評:その他
東京自転車少女。 4 (アース・スターコミックス)
クリエーター情報なし
アース・スター エンターテイメント

・わだぺん。

 憧れの東京ガールになりたいと、島から出てきた少女・島野いるかを中心に、とっても可愛らしい4人の「豊珠高自転車天使部」の少女たちが、自転車で練馬区を回りながら、その魅力を紹介するするという物語のシリーズ4巻目。

 この巻では、新しいキャラが登場する。「レンタル彼女部」の部長、雪月花きららだ。別名「豊高のサキュバス」というらしい。レンタル彼女部というのは、期間限定で彼女を演じてくれるという女子を貸し出す部。と言ってもお水の商売というわけではなく、これがなんとクラブ活動なのだ。いったい、豊珠高って、どんな高校やねん。

 なぜか、そのきららが、自転車天使部に接近してくる。なにか魂胆があるのか?その一方、自転車天使部の一員で「豊高の照姫」と呼ばれる美少女・加藤さんをハブするかのような動きが。きららの接近と何との関係は?この巻では、これまでとは打ってかわり、何か一波乱ありそうな雰囲気になってくる。

 変わらないのは、相変わらずのいるかの加藤さんに対するラブ。いつもはツンデレ度の高い加藤さんだが、今回は少し弱気か。

☆☆☆☆☆

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書評:超ディープな深海生物学

2016-06-12 12:21:52 | 書評:学術教養(科学・工学)
超ディープな深海生物学(祥伝社新書)
クリエーター情報なし
祥伝社

・長沼毅/倉持卓司

 本書は、辺境生物学者の長沼毅広島大学大学院教授(執筆当時は准教授)が、葉山しおさい博物館の倉持卓司学芸員と組んで書いた深海生物案内だ。

 深海には、地上では想像がつかないような、奇妙な生物がいっぱいである。例えば、クラーケンのモデルとされるダイオウイカ!。500m以深の深海に生息し、腕を伸ばすと18mにもなるというからすごい。しかし、このダイオウイカより大きなイカが存在するという。南極海に住むダイオウホウズキイカである。

 マリアナ海溝の最深部に住むカイコウオオソコエビは、多様な動物や植物を分解できる消化酵素を持っている。つまりなんでも好き嫌いなく食べられるのだ。

 更に、ゴエモンコシオリエビは、腹部の剛毛で、餌になるバクテリアを養殖しているし、チョウチンアンコウ類の中には、雄が雌と完全に一体化して寄生するものがいる。

 極めつけはこれだろう。海底の熱水噴出孔の周りには、シロウリガイとチューブワームが群生している。バクテリアや古細菌には、湧水に含まれるメタンや硫化水素をエネルギー源にしているものがいる。シロウリガイは、これを食べ、チューブワームは、これを体内に共生させることで、餌の少ない深海で生存できるのである。

 深海は、光が届かない、餌が少ない、雄と雌の出会いが少ないとないものだらけだ。これが、深海の生物たちに独自の進化を促してきたようである。深海は、決して死の世界ではない。これらの奇妙な深海生物たちにより、意外に豊かな生態系が作られていることが、本書を読むとよくわかる。まさにタイトルの通り「ディープな」深海生物の世界に浸りたい人には必読の一冊だろう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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