遊人
1~5巻までのレビューになります。
主人公は熱海康介という高校生。彼の通う高校に、ある日姫乃木静香という美少女が転校してくる。実は静香は、小さい時に、康介に命を助けられて以来ずっと彼のことを思ってきたのである。
なにしろ、静香の初めては康介にあげるという決心のもと、転校までしたきたのだ。その割には、彼の顔は完全に忘れていて、最初は別の男を康介と勘違いする始末。これはそんな2人が最後に完全合体するまでのエピソードを、ラブコメ風に描いたものである。
最初に登場した時は、静香は美少女ながらもかなりヤンキーが入って、いかにもスケバンキャラといった感じだった。ケンカも強く、相撲部男子を投げ飛ばしてしまうほど。服装はもちろん、スケバン御用達のスカートの長いセーラ服。ところが、2巻で夏服セーラー服になると、スカートは普通の長さに。でもその後の冬服ではまた長くなっている。結局寒がりで冬長くしているのか?
これが、3巻あたりになるとブレザーにミニスカート姿も見られる。でも同じクラスにセーラー服の娘もけっこういる。いったいこの学校の制服規定はどうなっているんだ?いや、いろんな姿が見られていいんだけどね(笑)
康介の方は腕力は小学生並だが、エロいことが絡むともう最強。彼のスケベテクニックの前には、どんな女もイチコロになってしまう。それは、ちょっとうらやましいかも。
ということで康介は種馬のごとく、色々な女と関係をもっていくのだ。普通のJKは言うに及ばず、緊縛好きのドMJK、学校の美人教師、クラスメートの義母であるセクシー美女から、JDお姉さま、美少女JCとなんでもござれ。ところでこのJC、ちゃんとマ〇ル〇ラ使っているということで、他の女子たちよりしっかりしていると思うのは気のせいか。いや、さすがにJCとそんなことしちゃいかんでしょ。
静香も康介に影響されたのか、いろいろなシーンできわどい恰好をしたり、上も下も露出したり。康介からも揉まれたり嘗められたりでBまでは通常運転。あれだけケンカの強い静香が康介にはやられ放題。でも肝心なことは出来そうで出来ないのである。もっとも静香と最後までいったら、その時点で話が終わりになっちゃうから、引っ張っているのかな。その分、康介は他の女子に種の蒔き放題。
肝心の静香との関係は、1巻では、あわやのところで邪魔が入るし、4巻の出来事は、限りなく黒に近い(というか個人的見解は完全な黒)。場所はプールの女子更衣室なのだが、肝心なところは、白く塗られているので、既遂なのか未遂なのかはよく分からない。でも、人が来たので、康介があわてて抜いて逃げた場面があり、その時の康介のセリフからも、確かに最後まではいっていないが、完全な黒だと思う。単に合体したけだけでは、作品としてはノーカウント扱いのようだ。何しろ静香がその後、初めてを康介にあげるにはどうしたらいいと友人に相談しているのだから。要するにフィニッシュしないと既遂ということにはならないみたいだ(笑)。
本書は、1980年代の終わりから90年代の初めにかけて、ヤングサンデーに連載されたものだが、その過激さに途中で休載を余儀なくされ、単行本の発行も延期となったいわくつきの作品である。あちこちで有害図書の指定も受けているらしい。
確かに、エロイシーンがたっぷりあるが、今読むと、それほど目くじら立てて有害というほどとは思わない。絵柄は綺麗なので別にいいんじゃないかな。でもあのころの頭の固い人にはこの程度でも許せなかったのね。スケープゴートにされた観もあるが、時代が早すぎたのかもしれない。
「完全版」と付いているのは、最初に単行本化されたときに、大人の事情でいろいろ削っているものを元にもどしたということだろうか。
☆☆☆☆☆
※初出は
「風竜胆の書評」です。