文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

定年後の知的生産術

2025-02-13 21:17:06 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 著者の谷岡さんは、犯罪学やギャンブル社会学、社会監査論などを専門とする学者で大阪商業大学の教授を経て学長をされ、2005年から大阪商業大学などを傘下とする学校法人谷岡学園の理事長をされている。

 谷岡さんが訴えているのは、定年後は「クリエイティブ・シニア」を目指そうということだろう。クリエイティブ・シニアとは、本書の定義によれば比較的高年齢の人々のうち、知的生産に生きがいを感じる人々のことである。

 本書が教えることは、谷岡さんの考える「教養」とはどういったものか、「教養」をつけるためには「考える時間枠を確保する」こと。情報特にマスコミやお役所からのものにに踊らされないようにすること、論文の書き方、著作としてまとめることなど。

 特に心に残ったことを一つ紹介しよう。共通一次(その後いろいろと名前の変遷はあったが)についてだ。当時著者の父は私大の学長をしていたが、共通一次には反対だったそうだ。「私学には建学の精神がありそれにあった自分達の欲しい学生を自分達のテストで決めるのが本来の姿だ。」という理由からだ。それに対して当時の文部省は「決して強制ではない。」と答えている。ところが学部・学科改変や定員変更の届の度に「お宅は共通一次をどう利用しますか。」という「質問の形をとった無形のプレッシャー」をかけるというのである。

 私など、あれは何のためにあるのか分からない。難関と言われるところは大抵2次試験があるし、そうでないところは教員の問題作成能力がどんどん落ちていく。碌な効果はない。おまけに行うのが、雪で交通がマヒする可能性が高い一番寒い時期である。声を大にして言いたい。あれは不要なだけでなく受験生にいらない負担をかけるものだ。どうして不要論がもっとあがらないのか不思議である。

 ひとつだけ言うとしたら、タイトルに「定年後」とある。確かに定年後のことも若干書かれてはいるが量としては少ない。しかし定年後とはいわずに今日から心がければいいような知的生活へのヒントは沢山あると思う。
☆☆☆☆





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