文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣

2019-06-29 09:05:18 | 書評:ビジネス
仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣
吉田 幸弘
あさ出版

 本書は、仕事が早く終わる人と終わらない人の習慣を最初に端的に表し、それからその解説を行うというスタイルで書かれている。その内容は、「時間の使い方」、「人間関係」、「仕事術」、「思考法」、「感情との付き合い方」といったものである。ただし内容は、オフィスで働いている人や営業社員を想定して書かれているので、工場のライン業務で働いているような人には当てはまらないことも多いかもしれない。

 内容については、基本的には賛成したいようなことが多いので、いくつか紹介してコメントしてみよう。

 まず、「早く終わる人は貯金箱に500円玉から入れ、終わらない人は1円玉から入れる」(p26)というものだ。これは、仕事が早く終わる人は、大きな仕事をするまとまった時間を、まず確保するというものである。大きな仕事の合間にできたスキマ時間に小さな仕事を片付けるというものだ。でも仕事が早く終わらない人は、小さな仕事から先に手をつけるのである。

 この考え方には基本的には賛成だが、少し付け加えたい。著者は大きな仕事の合間にできるスキマ時間に小さな仕事を片付けると言っているが、一つの大きな仕事にも様々なステップがある。一つのステップが終わった時に、気分転換に小さな仕事を片付けるのもありだと思う。なぜなら人間の注意力はそれほど持続しないので、途中で目先を変えることにより全体のパフォーマンスを上げるのだ。

 そして「早く終わる人はスタートダッシュし、終わらない人はラストスパートする」(p30)というものは全面的に賛成だ。締め切りが迫って作りだすと、上司と方向性が違ったり、成果物の品質の方にも疑問が湧く。早く手をつければ、色々調べられるし、何より方向性を上司に確認しながら行うことができるので、全体的な作業時間は少なくなる。

 面白いと思ったのは、「早く終わる人は1人で昼休みを過ごし、終わらない人はみんなとランチに行く」(p50)だ。今はボッチ飯とか酷いのになると便所飯とかいうものがあるらしいが、私に言わせれば飯くらい一人で食べたいというのが正直なところ。それを集まって食べたいというのはなんとも情けない。本書は昼食後の仮眠も勧めているが、私も会社勤めしているころはやっていた。これをやらないと、午後から頭痛がしてくるのだ。

 次に、「早く終わる人は「何を言ったのか」を重視し、終わらない人は「誰が言ったのか」を重視する」(p68)というもので、これはよくあるのではないかと思う。本書には、契約社員の言った案よりベテラン社員の言った案を採用しようとして部長から叱責されたアホ課長の例が出てくるが、管理職になったら、誰が言ったかでなく内容で判断したいものである。

 諸手を上げて賛成したいのは、「早く終わる人は下の人からも学び、終わらない人は上の人からだけ学ぶ」(p89)である。管理職、特に課長になったらこの考えでないと務まらない。仕事はチーム単位で来るので、絶対に一人では片づけられない。そして実際に仕事を担当している人の方が、実務を離れて長い上の人よりは知恵を持っていることは多いのである。

 もうひとつ、「早く終わる人は堂々とする、終わらない人はアリバイづくりをする」(p116)というのがあるが、これは上司の能力も関係してくる。成果物がなかなか出てこないのに、いつも夜遅くまで仕事をしている(ふりをする)ような人がいる。要するに能力がないだけなのだが、上司に見る目がないと「あいつはいつも遅くまでがんばっている」と間違った評価をしてしまう。そして、それに引きずられて、職場はどんどん疲弊していく。くれぐれも部下の人事評定をする立場になったら、そのようなアリバイづくりに惑わされてはならない。

 このように、本書には、部下だけでなく上司としても参考になることがいっぱい詰まっている。仕事を少しでも楽にしたい人、単にハッパをかけるだけの無能上司にはなりたくない人にはお勧めの一冊だ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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プラナス・ガール1~6

2019-06-27 09:12:06 | 書評:その他
プラナス・ガール コミック 全6巻完結セット (ガンガンコミックスJOKER)
松本 トモキ
スクウェア・エニックス

 タイトルは「ガール」だが、これがちょっと違う。実は男の娘(たぶん)なのだ。舞台は、緑乃丘高校という私立の進学校。主人公の槙まきとは、合格発表を見に来たときに出会った少女?藍川絆に一目ぼれ。同じクラスとなり喜んだのもつかの間、自己紹介の時に、「こう見ても男です」の言葉に大ショック。でもそう簡単には、男と信じられないくらい、絆は可愛らしいのだ。

 そのあまりに可愛らしさには、学校中の男子たちは夢中。なんとファンクラブまでできているらしい。ちなみに「絆ちゃんは男の子だよ」派、「絆ちゃんは女の子だよ」派と「絆ちゃんならどちらでもいいよ」派の派閥があるらしい。そして、男心も分かる絆は女子にも大人気。これは、小悪魔のような絆にもてあそばれる槙の物語。要するに槙と絆のラブコメである。

 それにしても、この学校は色々とぶっ飛んでいる。絆は、女子の制服着用(男子用も一応持っているらしい)なんだが、ちゃんと制服を着ているのでOKらしい。他に槙の中学時代を知っている、女の子が好きだと公言している女子の花坂、彼女を追って転校してきた若草や、姉弟同志で好き合っている笹木野姉弟。教師側も百合、百合(笑)、

 別にエロい場面は出てこないが、絆に振り回されてい槙がなんとも笑える。そして絆ちゃんがとってもかわいらしいのだ。絆が男だということを示す決定的な場面は作品中には出てこない。これは槙でなくとも「本当に男か?」と疑うところだろう。最後は槙は絆が男でも女でもどうでもよくなって、二人は付き合うことになるのだが、絆は卒業したらうんと爛れた生活を送る気まんまん。大丈夫か(←槙君色々大変かも?)

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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内部監査人室―内部監査人のための実践読本

2019-06-25 12:44:37 | 書評:ビジネス

 

内部監査人室―内部監査人のための実践読本
阿久沢 栄夫
文芸社

 本書は、近年注目を浴びている内部監査について一冊に纏めたものだ。実は私も会社に勤めていた頃、内部監査部門に所属していた時期が長く、配属されたときは大いに参考にしたものだ。

 内部監査と、公認会計士監査、監査役監査の3つを合わせて3様監査というが、内部監査は他の二つのように法令により直接根拠づけられている訳ではない。内部監査は任意監査なのだ。ただ。会社法には、取締役会に対して内部統制システムの整備を義務付けているので、間接的には法律に根拠を持っているといえよう。

 ただし、任意監査なので、必ずこうしなければいけないというものはない。一般社団法人日本内部監査協会というものがあり、CIAなどの監査人資格はあるものの、別に絶対に持っておかないといけないというものはない。

 本書は、内部監査の流れは理解できるが、読者はこれを絶対視しない方がいいと思う。一つの例としてみた方がいいだおう。おそらく会社ごとに細かいところが異なってくるのではないか。私にしても細かいところには異論がある。

 はじめて内部監査部門に配属になったような人は、業務の全体像を知るにはいいだろう。そして内部監査に対するフレームワークを身に着けるのにも。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

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放送大学所長ゼミ出席

2019-06-23 20:09:35 | 放送大学関係
脳には妙なクセがある (新潮文庫)
池谷 裕二
新潮社

 今日は放送大学広島学習センターで「所長ゼミ」に参加してきた。これは、広島学習センターの山田所長が、講師となって進めているもののようだ。色々忙しかったので、今年度になってはじめてこの手のものに出てみたのだが、なかなか興味深かった。

 この本に基づいて講義を進めているようだが、人間は左側優先の傾向があること。だから魚の絵を描くと左側を向いた絵になるらしい。そして勉強は入力を繰り返すよりは出力を繰り返した方が記憶に残りやすいといったようなことが今日の内容だった。

 このことは私の資格試験の勉強法から考えても納得がいく。何か試験を受けようと思ったら、薄い問題集を買ってきて何度も繰り返す。テキストなど不要だ。基本的なことは大抵の問題集に纏めてある。分からないことは、よっぽどマニアックな資格でない限りネットで調べることができる。要するに出力重視の勉強法なのだ。これで100近くの資格試験に合格してきた。色々な流儀はあるものの、私は、学位も資格として数えているので、今在籍している放送大学の「情報コース」を卒業すれば96になるのだが、他に何かを受けてちょうど100にしようか悩ましいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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amazon「帝国」との共存

2019-06-23 09:07:09 | 書評:ビジネス
amazon「帝国」との共存
ナタリーバーグ、ミヤ・ナイツ、(監訳)成毛眞
フォレスト出版

 本書はアマゾンの戦略について纏めたものだ。本書にはアメリカでアマゾンが展開しているものについて紹介されている。

 キーワードは、「O2O(オー・ツー・オー)」、つまりオンライン・ツー・オフラインということである。アマゾンは本国でリアル店舗を展開している。例えば、レジのないコンビニであるアマゾン・ゴーやリアル書店であるアマゾン・ブックスなど。また、生鮮食品にも食指を伸ばしている。

 そして顧客の囲い込み。これはアマゾン・プライムなどの会員にすることで、アマゾンにロイヤリティを持つ人間を増やそうとする。

<アマゾンの目標は、ペゾスがいうように「プライムに入会しないのは無責任だ」と消費者に感じさせる魅力を作り出すことだった。>(p71)



 たしかにアマゾンは何かにつけ、プライムに入会させようとしているように見える。しかし私は絶対に入会しないだろう。そこまでヘビーユーザーではないからメリットを感じられないだろうからだ。そして一度会員になったら最後、以下のように行動してしまうだろうから。

<入会者は支払った会費の元をとろうという心理が働き、ときに非合理な意思決定をしてしまう。>(p74)



 心理学に「認知的不協和理論」というものがある。要するに自分のした行動を合理化しようとして、傍から見れば不合理な行動をしてしまうのである。これは上記の行動をよく説明している。

 まだ日本で展開されていないものも、アメリカでうまくいけば、日本に進出してくるのは想像に難くない。そのとき既存の小売業はどうするのか。対アマゾンで団結するのか、それともアマゾンの傘下に加わるのか?

 いくつか、アマゾンに注文したいことがある。キンドルで本を買ったとき、こちらの名前が出るのだが、これに敬称も何もついていない。呼び捨てなのだ。そして本などに対するアダルト警告の一貫性のなさ。我々の感覚では、どうしてこれがアダルトなのだろうと思われるようなものまでアダルト警告が出てくる。もっと過激なものはそのまま出てくるにも関わらずだ。アメリカの基準なのかもしれないが、日本で商売をする以上、日本の感覚に合わせるべきだろうと思う。

 なお、本書はフォレスト出版さまからの頂きものです。ありがとうございました。

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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僕には家事妖精なメイドがいます

2019-06-21 09:15:55 | 書評:小説(SF/ファンタジー)
僕には家事妖精なメイドがいます (美少女文庫)
青橋由高
フランス書院

 主人公は臼木英太郎という男子高校生。色々事情があって、祖父の持ち物である洋館に引っ越してきた。なんとその洋館はシルキーという家事妖精付き。この家にある暖炉についてイギリスからやってきたらしい。それも超絶美女で出るところは出ておりスタイル抜群。

 シルキーとは、イングランドに伝わる家事をやってくれる妖精のことだ。絹のドレスを着ているのでシルキーと呼ばれる。

 そのシルキーの名は茶野絹葉。イギリスから来ているのにどうしてそんな名前なんだろうというツッコミはさておいて、英太郎は、「お絹さん」と呼ぶ。もう完全に、イギリスから来た感じではないような気がするが、気のせいか。

 絹葉は、家事妖精なので、家事全般はもちろん、英太郎のお世話も行う。もちろん夜のお世話まで。

 英太郎は絹葉に一目ぼれ、絹葉も英太郎のことが大好きに。2人が出会ったときは、絹葉はちょっとツンのようだったがあっという間にデレ状態になってしまう。その後は、何につけてもとにかく2人いちゃいちゃ(笑)。

 いや、こんな妖精付の家に住んでみたいという人は結構多いんじゃないかな。いくら人外でもこんなに可愛らしければ構わないんでは。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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時の娘

2019-06-19 09:39:13 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
ジョセフィン・テイ、(訳)小泉喜美子
早川書房

 このタイトルからSF作品を連想してしまいそうだが、実はこてこてのミステリーである。本作は、著者の遺作であり、ベッドディテクティブの嚆矢とも言える作品だ。


 主人公はアラン・グラント。ロンドン警視庁の警部だ。犯人を追跡中にマンホールに落ちて骨折し、入院生活を送る羽目になってしまう。本作は、その入院生活の徒然を慰めようと、グラント警部が、歴史上のミステリーに挑戦するというものだ。

 彼が挑むのは、イングランド王だったリチャード3世。甥2人を殺した極悪人として一般には語られるが、実は無実で、その素顔は全く違うということを色々な資料から証明しようとするのがこの作品の骨子である。

 高木彬光は、この作品にインスパイアされて、「邪馬台国の秘密」や「成吉思汗の秘密」などを書いたと言われる。

 Wikipediaによれば、このタイトルは、"Truth is daughter of time."から来ているという。日本語に直すと、「真実は時の娘」、要するに、このタイトルは、「真実」という意味である。

 イギリス史をまったく知らなくても作品を楽しむことができるが、詳しい方が、一層楽しめると思う。私など〇〇△世と言われても誰だか全く分からない。一応系図はついているのだが、イギリス史を知らないと情報を読み取り難いと思う。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ミスコン女王が殺された

2019-06-16 19:17:25 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
ミスコン女王が殺された (創元推理文庫)
ジャナ・デリオン、(訳)島村浩子
東京創元社

 前作で色々やらかして、犯罪組織の賞金首になってしまったCIA工作員(スパイ)のレディング(フォーチュン)。ほとぼりを覚ますために、長官の姪になりすまして、田舎町のシンフルにやってきた。本作は、前作「ワニの町から来たスパイ」に続く第二弾だ。

 ところが、パンジーという元ミスコン女王が帰ってきた。フォーチュンが成りすましている長官の姪も元ミスコン女王だ。夏祭りで二人はその経歴から、メインイベントの子供ミスコンの運営を任されるが、二人は大喧嘩をしてしまう。

 バンジーというのが、とんでもないビッチなのだが、フォーチュンと喧嘩した後、何者かに殺されてしまう。静かなはずの田舎町で前作に続き殺人事件。どうもフォーチュンは、巻き込まれ体質のようだ。そしてその犯人という濡れ衣を着さされそうになる。その疑惑を晴らそうと、フォーチュンは、ベトナム戦争帰りのアイダ・ベル、ガーティのおばあちゃんズといっしょに事件を調べ始める

 ところで、保安官助手のカーター・ルブランクは、どうもフォーチュンに気があるようだ。かなりのツンデレのようだが、ツンの部分ばかり目立つなあ。フォーチュンもこの町が気に入ってきている。仲間と言える人々もできたようだ。

 それにしてもフォーチュンは腕ききの工作員(スパイ)(本人談)のはず。いくらなんでも、犯人に殺されそうになるかなあ。犯人もビッチなことは間違いないが、素人だろうに。

☆☆☆☆

〇前作のレビュー

ワニの町に来たスパイ

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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かがやき荘西荻探偵局

2019-06-15 20:14:06 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
かがやき荘西荻探偵局 (新潮文庫)
東川 篤哉
新潮社

 

 主人公の成瀬啓介は29歳独身。父の営む食品メーカーの4代目だったが、父が急死して会社を追われ無職になってしまった。そんな彼に手を差し伸べたのが、小さいころよく遊んでくれた遠い親戚にあたる法界院(ほうかいん)法子。ちなみにその頃は綺麗なお姉さんだったようだ。

 今は、ノリツッコミの得意な、自分を46歳と言い張る49歳。そして大企業グループの会長という設定だ。啓介は法子の見習い秘書として働くことになる。

 そんな彼に絡んでくるのが「かがやき荘」に住む、関礼菜29歳、占部美緒30歳、小野寺葵31歳のアラサー女子3人組。実は「かがやき荘」というのは西荻窪にあり、元々は法界院家の別邸で、今はアラサー女子3人がルームシェアしている。ここの家賃代わりに、法界院家の周りで起きる事件を彼女たち(主に葵)が、推理・解決していくというのが基本的な骨組みだ。

 本書は4つの事件からなる連作短編集のようになっている。収められているのは次の事件。

〇Case1 かがやきそうな女たちと法界院家殺人事件
 法界院家の離れに住む居候の真柴晋作が殺される。その死体の上には60インチの大画面テレビが倒れていた。

〇Case2 洗濯機は深夜に回る
 礼菜と美緒は、投棄されていたまだ新しい全自動洗濯機を拾う。ところが深夜に何者かが洗濯機を動かしていた。
 一方法子の高校時代の家庭教師だった北沢加奈子のマンションで男が殺され、加奈子は失踪。

〇Case3 週末だけの秘密のミッション
 法子が目をかけている女性経営者松原清美の父である松原浩太郎が毎週週末の夜に家を空けるようになった。清美は父の浮気を疑っているのだが。

〇Case4 委員会から来た男
 葵が、西荻向上委員会副委員長と名乗る、吉田啓次郎という男から声をかけられた。自分が雑誌の表紙を飾ると言う話に舞い上がる葵だが。

 東川作品の特徴の一つとしてその語り口があげられるだろう。殺人事件は出てくるものの、全体的に語り口がユーモラスなのだ。この作品も例に漏れず、ユーモラスな語り口で書かれており、読んでいるとついニヤニヤしてくる。

 そしてもう一つの特徴は、広島出身者らしいカープ愛なのだ。作品中に著者のカープ愛を感じさせる部分がよく出てくるのだが、なぜかこの作品に限ってはカープ成分少な目なのである。私が気が付いたのはCase2での法子の科白、「広島かしら巨人かしら・・・・・・」(p152)くらいだ。これは著者のカープネタを楽しみにしている人には物足りないかもしれない。まあ、私のように野球にまったく興味がない人にはどうでもいいことなのだが。

 ひとつ気が付いたことがある。著者は広島出身だが、大学は岡山大学だ。この作品で法界院法子という人物が登場してくるが、この法界院というのは、岡山大学の最寄り駅(津山線というローカル線の駅なので本数は少ない)で、近くに駅名の元になった真言宗の寺がある。ただし読み方は「ほうかいいん」。何か関係があるのだろうかと想像しながら、読むのも楽しい。

 そして西荻窪という場所。これが、東京や東急周辺に住んでいる人なら、何か感じるものがあるかもしれないのだが、残念ながら東京に住んだことのない私にはよく分からない。

 ところで、解説によるとこの続編が今月単行本ででるらしい。調べてみると、「ハッピーアワーは終わらない: かがやき荘西荻探偵局」というタイトルらしい。アラサー女子3人組の益々の活躍にお目にかかれそうだ。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

 

 

 

 

 

 

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電気学会中国支部専門講習会受講

2019-06-13 19:57:59 | セミナー、講演会他

 今日は、電気学会中国支部専門講習会「実務に関した保護リレーシステム技術の基礎の学び方」を中国電力において受講してきた。テキストを購入したが、内容は知っていることばかり。

 科学技術関係は少し油断すると、技術進歩から置いて行かれる。だから時々アップデートを目的にして、このような講習会を受講しているのだが、自分の知識はまだ古くないと実感した。

 それにしても、位相比較リレーとか、電圧作動母線保護リレーだとか、パイロットワイヤーリレーなんかは、全く出てこなかった。もう過去の技術になってしまったんだろうなあ。

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