文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

3日で自発的に動く子になる! 信頼声かけ

2025-03-14 21:27:47 | 書評:その他

 著者の下村さんは、小児科看護師で育児アドバイザーである。下村さんの長男は灘中、次男は滝中に合格したという。灘中は有名だろうが、滝中というのは愛知県にある東海地方でトップクラスの学校だと言う(私も寡聞にして滝中は知らなかった。何しろ小学校から大学院修士課程まですべて国公立の学校に通ったので、あまり私立の学校には詳しくない)。そんな下村さんが語る子育て論。

 皆さんはこんな言葉を知っているだろうか? 「丸い卵も切りようで四角」。タイトルに「声かけ」とあるように、声かけは大切だが、正しい声かけをしないと逆効果になってしまう。そうその心は同じだとしても、子供に自主性、親との信頼関係を築くのはどう言えばいいのか。そういったころを事例を挙げながら示していく。

 いくら自分の子供だからといって押さえつけるようなことを言ってはいけない。それでは反発を招くだけだろう。子どもが自発的にいろいろなことをやらないと意味がない。子育て真っ最中の人たちにはそのために必要なヒントが沢山詰まっているように思える。

 なお、本書は著者が本書を刊行するにあたって、企画・協力した吉田さまからのいただき物です。お礼申し上げます。
☆☆☆☆
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かなたのif

2025-03-14 07:00:53 | 書評:小説(SF/ファンタジー)

 これは二人の少女、遠野香奈多(とおのかなた)と今井瑚子(いまいここ)に起こった不思議な物語。

 瑚子は、香奈多が鍵を落としたのを拾ったのがきっかけとなり香奈多と出会い仲良くなる。瑚子は自分は藤浜中1年B組だと言う。しかし。香奈多も同じ藤浜中1年B組なのに、そんな子はいない。

 香奈多は、多動の傾向があり、クラスで浮いている。専門の医者に見せれば、きっと何かの病名をつけられるだろう。瑚子も友達がおらず、家の近所に住んでいる黒猫をモデルにドコカの話を作っている。その設定は、ドコカが「虹のしずく」を探して、夢の世界を渡り歩いているというもの。「虹のしずく」を手に入れると、なんでも願いが叶うのである。

 このifというのは、ダブルミーニングのようだ。一つは、イマジナリー・フレンドの略。要するに心が作り出した架空の友達である。そしてもうひとつは、英語そのもの意味、「もしも」ということだ。もしもこうだったらという世界。こういった世界は無限にあるというもの。実は二人は別々の世界に住んでいた。本来は交わることがない別世界。そして2人の相手は、それぞれの世界で死亡しているのだ。この物語は香奈多と瑚子のパートを繰り返しながら進んでいく。

 こういったものを哲学の分野では可能世界論というようだ。ただ可能世界の解釈にも色々あるようだ。私は理系で学んだ人間なので、マルチバースと言われた方がなじみがある。要するに私達の住むこの宇宙以外にも無数に宇宙があるというもの。もしかしてラノベなんかによくある「異世界もの」はこの流れを汲んでいるかもしれない。いずれにしても証明するような手段があるとは思えないので、あまり議論しても、空論のうえに空論を重ねた結果しか出ないだろう。

 可能世界論まで持ち出したのは、きっと作者は、この世界には可能性は無限にあるのだと言いたいのだろう。そして2人はそれぞれの世界で新しい可能性と共に生きていくのだ。]
☆☆☆☆
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