曇り、28度、83%
おかげさまで、思っていたより早く、10月号の「ミセス」を昨日入手できました。載せていただいた特集のタイトルは、”伝えていきたい料理のこと”でした。そして、ほかの方の記事も読んで考え込んでしまいました。
恥ずかしい話ですが、私の母は、家事一切が嫌いです。40数年前、福岡の一般家庭には珍しく、ガステーブルとオーブンが一体になったものや、円筒形のガス湯沸かし器がありました。結局、そのオーブンは、ただの一度も、火を入れられることはありませんでした。湯沸かしを使って、洗いものをする母の姿など、残念なことに記憶にありません。あの時代です、お手伝いをしてくれる人はいました。外には、よくご飯を食べにいきました。と言っても、当時のこと、フレンチ、イタリアンなんてありません。いいお鮨、うなぎ、水炊き、呼子のお魚。トンカツは家で作るものなんて、結婚するまで思ってもいませんでした。
そんな私ですから、ろくに料理はできませんでした。結婚当初、テレビも持っていませんでしたので、料理を教えてくれるのは、朝日新聞の”おかずのヒント’や家庭欄でした。そして、図書館で見つけた、一冊の本。「西洋料理控え」ホルトハウス房子さんが書かれた、文化出版局から出されたものです。今は、廃版になっていますが、その頃は本屋に並んでいました。でも、そんな余裕のない我が家です。その本を、丸写しにしたのが、このノートです。
私にとって、知らないことばかりです。スパイスだって、パイ地の作り方だって、オーブンの扱い方まで。
今考えると、当時の私にとって、かなりハードルの高すぎる本だったように思います。徐々に、スパイスを揃え、一つ一つ料理を作っていく楽しさ。ローストチキンも、基本的には、この時のままです。このノートの最後には、チキンのさばき方まで書いています。
スパイスを買ったときにもらった、使い方のパンフレット、ホルトハウスさんの新聞の記事の切り抜き。そんなものが、全部このノートの挟まっています。
私の料理は、このノートから始まりました。今まで、残念なことに、どなたにも、料理を教えていただいたことがありません。こうしたノートや、切り抜き、料理の本は、かなりの数持っています。家人の仕事の関係で、世界のあちこから見える方を、私の料理でおもてなしします。
未だに、どうしてもうまく作れないものがあります。おにぎりです。おにぎりって、母から子供に、見よう見まねで受け継がれるもの。その根っこのない私は、おにぎりが下手です。家人にも息子にも申し訳ないと思います。それで、今でも時々昼ご飯に、一人練習しています。