晴れ、13度、66%
アイアンやワイヤーの小物に魅せられたのはもう20年以上前のことです。ヨーロッパでは古くからアイアンでできた看板を店の上に掲げています。ワイヤーも生活用具として使われています。生活用具でありながらその細やかな細工には目を見張るものが多くあります。ワイヤーもアイアンも蝋燭たてに始まり、アイロン台、フルーツバスケット、面白いところではフランス料理のエスカルゴを飼育するものまであります。
私がこのキッチンに吊るして使うアイアンの丸いフックを見つけたのもその頃です。香港のセレクトショップ「ジョイス」がフラワーやリビング用品も扱っていました。概ねフランスからの輸入品でとてもいいお値段です。小さいものから少しづつ買いました。このフックを見つけたのは随分後になってのことです。 鶏が4羽います。
このフックを買った当時は、今の家ではありませんでした。香港のマンション事情は日本のそれと違って、全くのコンクリートの箱です。壁も床も天井もコンクリート。日本のように木が使われていないので簡単に釘を打ったり画鋲を使ったりできません。ところがその家の台所にはドアを取り外した後がありました。そしてドアの木枠が残っていたのでそこに吊るしました。吊るしたからといって、鍋やパンをぶら下げたのではありませんが、高いところから吊るされているフックがアクセントになります。今の家に移って17年、このフックを吊るすためには天井にボルトを打たなくてはならないので、ずっと本棚の上に置いていました。
日本の家の改築で天井板をどの部屋も外しました。台所も梁が見えています。内心しめしめと思います。頭の中はあのフックをこの梁に吊るすことでした。一足先に日本に返した荷物に入れてあったフックを先日吊るしてみました。台所のほぼど真ん中、アイランドキッチンの調理台の真上です。天井が高い分ガランとした台所にぽっつりとぶら下げてみました。梁の色とうまく調和してくれています。レードルやパンをぶら下げるつもりはありません。あくまでも飾りです。
残りのアイアン、ワイヤーたちもひと月もすればこの家から日本に向けて送り出されます。水目桜の家具や土物の焼き物ばかりの日本の家の雰囲気が、変わっていくと思います。引っ越しは大仕事、でもその先は楽しみも待ってます。