晴、25度、84%
丸2日間雨降りでした。朝はいつもの時間に目が覚めます。走りにも出かけられません。庭の仕事もできません。本棚を覗いたら、1冊だけ残した母の本が目に入って来ました。家の整理をしてどのくらいが経つでしょうか、読もう読もうと思いつつ今になりました。ちょうど雨の日にもってこいの本のような気がします。読みさしの本は後回しにして、ページをめくりました。
1986年刊行の串田孫一の「笛を吹く画家」です。串田孫一、哲学者、随筆家、登山家、管楽器を趣味に持ち、本の装丁まで手がける多才な方です。私が日本を離れる前には至る所で串田孫一に名前を見ることができました。代表作とも言える「山のパンセ」は幾度も読み返しています。 昨日見ると折り返しまで入っています。
雨の音を聞きながら、いつものようにベットにごろりと横になっての本読みです。読み始めると言葉が転がるように胸に響きます。最近の作家の本ではこうは行きません。きれいな日本語という意味ではありません。奥深い日本語とでも言いましょうか。言葉が心に届く感じがします。「わざわざお越しくださって。」など「わざわざ」が「態々」と書かれていたり、その度に学生時代にまだ沢山本を読みたいと駆られていた頃を思い出します。「笛を吹く画家」は随想集です。巻末に串田孫一が書いています。随想だから事実かというと半分は想像もあると。事実だけではない余韻が残ります。
早速昨日、串田孫一の本を2冊買いました。古本を買うつもりで出かけたのですが、行きつけの古本屋は定休日でした。
買ったのは新しい本です。
家に戻り、夕方の芝刈りの前に「緑の色鉛筆」を紐解きました。本の中から栞が一枚出て来ました。最近の作家の中では好きな堀江敏幸がこの「緑の色鉛筆」に寄せた言葉でした。 今日も時間の合間を縫って読み進めます。しばらくは串田孫一の世界にとっぷりと浸かるつもりです。私が色鉛筆、クレヨンが好きなのは昔読んだ串田孫一のエッセイのおかげです。2005年に他界なさったと昨日知りました。