晴、27度、89%
香港には「糖水」と言って小椀に入った甘いものがあります。その名前のように砂糖水で煮たもの全般を指します。冬は暖かく、夏は冷たい「糖水」を昼下がりなどにちょっとお腹に入れます。「あずきのおしるこ」「緑豆のおしるこ」などから始まって種類も豊富です。漢方的な組み合わせで「昆布と卵の白身の糖水」などもあります。
先日主人が持ち帰ったものの中にレトルトパックがありました。香港の日清が作っている「糖水シリーズ」です。ところが荷物を減らすつもりで外箱を外して持ち帰っています。レトルトパックを見ても中身が何なのかはわかりません。封を切ってみると「杏仁」が香ります。「杏仁豆腐」の杏仁です。アーモンドに似たナッツですが、アーモンドとは違う香りを持ちます。 この杏仁の砂糖水で「白木耳」と「蓮の実」を煮たデザートでした。
とても香港らしい組み合わせです。蓮の実は小豆同様にお菓子の餡としても使われます。月餅はほとんどが蓮の実の餡です。香港の「糖水」のお店には若い男性も入って行きます。日本のおしるこのように甘さがきつくありません。さらっとした甘さです。お砂糖の違いから生まれる口説くない甘みです。黄色いロック砂糖や板状の黍を固めましたと言わんばかりの砂糖を使います。小さな店が多いのですが、最近は「カフェ」のブームで店数が減っています。
杏仁の香りに誘われて「杏仁豆腐」を作りました。「杏仁霜」とお砂糖、ミルクにゼラチンで簡単に作れます。お昼に思い立ってもおやつに間に合います。「杏仁霜」は製菓材料売り場で買いました。香りをつけるためですが、なければアーモンドエッセンスで代用できます。香港にいる時は「糖水」など自宅で作らなかったように思います。お安い値段で背もたれのない椅子に座って、レンゲで「糖水」を啜ります。お店のものを食べると、香港日清から出ている「糖水シリーズ」は決して美味しいとは言えません。それでも懐かしさを覚えます。最近では大きな中華レストランに行っても、食後におまけで出てくる甘いものがなくなりました。以前は冬には小椀に入った小豆の汁粉がよく出てきたものです。その中には2つ3つの蓮の実が入っていました。ほっとする甘さを思い出します。