雨、16度、94% 東京
主人の中国の会社で開設当初お仕事をなさっていた馬さんとういう方がいます。日本語が堪能で話し言葉はやや中国訛りがあるものの、書き言葉は若い日本人のそれよりも立派なものでした。ある日、この馬さんと茶館へ行ったことがあります。中国式のティーハウスです。ご自宅でもお茶を楽しまれている馬さんに「おいしいお茶を入れるコツはなんですか?」と尋ねました。「熱い熱いお湯で、きっちり5分間待つことですよ。」そういえば台北のお茶屋さん「沁園」のご主人も同じことをおっしゃってました。
日本茶も中国茶も紅茶も美味しい一杯を飲みたいと思います。自分のお茶を入れる時、いつも蒸らし時間を気にします。3分から5分、お茶っ葉の種類、季節、自分の体調によって時間を図ります。ところがせっかちな私はこの3分もしくは5分の時間をゆっくりと待つことができません。3分といえども結構長い時間です。一仕事片付けます。すると思っていたより長くお茶を置き過ぎることもしばしばです。
先日、友人への贈り物にロンネフェルトのお茶を一袋添えようと出かけました。福岡にはほんの数種類、数少なく売っているお店があります。棚のお茶の袋の横にロンネフェルトの箱に入った小さなものがありました。よく見ると砂時計のようなオイル時計です。 ブルーのオイルがプワプワっと上がって行きます。砂時計は一定の速さ、几帳面なまでの素直さで時間を測るのに、このオイル時計は形も定まらないフニョフニョの泡が浮かびます。ブルーが全部上がると5分、途中の目盛りまでだと3分。
私も年齢的に少しスローに生きてみたいと思います。お茶を入れる一方で片付け物などせずに、ポットの中で膨らむお茶っ葉を思い浮かべながらお茶を待つ、そんな時間を生活の一コマに。小さなオイル時計の泡を見ながらの時間です。