晴、20度、82%
小さい頃は秋が深まって、ストーブを焚く季節になると火の前で本を読むのが楽しみでした。2年前にその生まれ育った家に戻って来ました。ところがストーブをどんなに焚いても、1時間じっとしているのがせいぜいです。じっくりと本を読むことができません。長いこと亜熱帯の土地で暮らしていたので身体が寒さに馴染まないこともあります。そしてもう一つ、この家を高校卒業後出てから私の本を読む場所はベットの上に代わりました。椅子に座ってではありません。ゴロンと横になって、時にはうたた寝をしながら本を読みます。モモさんがいた頃は必ず右腕の中で寝ていました。
冬ストーブを焚いた部屋でベットに這い上がっても、座るより薄寒く感じます。このふた冬は本を読むスピードがずいぶん落ちてしまいました。夏は夏で庭仕事が入って来るのですが、この庭仕事はお昼過ぎからは暑くて出来ません。早朝からお昼ご飯まで目一杯働きます。この半年は、義母の病院にも通います。お昼ご飯が終わると本を持ってベットに上ります。ココさんは私の横の枕で寝ています。何もなければ夕方もう一度庭仕事をするまでが本を読む時間です。夏の方がじっくりと本を読めるようになりました。この5月は異常に暑くて、一気に4冊読み終えました。
アンソニードアーの現在出版されている本はこれで読み上げたことになります。「すべて見えない光」「シェルコレクター」「メモリーウォール」の3冊は翻訳が出ています。「シェルコレクター」は日本で映画化もされているそうです。5冊のうち1冊はローマでの1年間の生活を描いたものです。生まれたばかりの双子を連れて家族4人でのローマ暮らし、史実研究のために奨学を受けてのローマ生活です。
5冊読み通して感じるのは、ほとんどの主人公が女性であること、そして女性に向けるドアーの眼差しが優しいことです。主人公の気持ちの起伏を書いているわけでないのに、最後には何かしらホッとするものがあります。45歳、アメリカの作家、次の作品が楽しみです。
6月に入って上京すること2回、梅雨に入らず暑いのですが午後ベットに上る時間がなく、レイチェルカーソンの「沈黙の春」はまだ栞が入ったままです。