雨、24度、85%
23年近く香港で家庭教師の仕事をしていました。仕事を辞めてこの12月で5年になります。帰国子女として日本の高校、大学を目指す子供達が教え子です。国立や有名私立校を目指す子供達から地方の県立高校を目指す子供と様々でした。よく聞かれることがあります。「よく出来るお子さんはさぞ可愛かったでしょうね。」確かに早稲田、慶應に入った子もいます。大学を卒業して吉本の芸人になって一時期引っ張りだこだった子供もいます。みんな可愛かった。短い子供で1年、長い子供は5年近くも勉強をみました。ほとんどの子供は皆社会人になっています。
日本の高校に入って、大学をカナダに行きたいと再び香港に戻ってきた子がいます。彼の夢はパイロットになること。初めて会ったのは中学2年の夏だったと記憶しています。すごく出来る子供ではありませんでした。ご両親も「行ける高校に行かせたい。」と私にとっては素直なご家庭でした。男の子ですがほんわかしています。ある時、急に「先生、背中をかいて。」と言います。Tシャツの上からかいてやると、「違う、中からかいて。」よほど痒いのでしょう、Tシャツの中に手を入れてゴシゴシ。そんな子供です。
カナダに行って数年後、お母さんからお葉書で近況が知らされました。パイロットの資格を取ったようです。一度ひょっこり香港の我が家を訪ねてくれました。当時はアメリカでプライベートのパイロットをしていると話していました。「自分で航路も決めることができるので面白い。」と話しました。初めて会って何年経ったのでしょう、見上げるほどに背が高くなっていました。
数日前にその彼が日本の航空会社で働いていると知りました。思わず「一番会いたい教え子よ。」とラブコールを送りました。お返事は「一番世話になりましたからね。」はいはい、確かに背中までかきましたから。
教えた子供たちは子供も出来て、今が人生の忙しい真っ只中にいます。たくさんの子供たちの顔が浮かびます。家庭教師、1対1で目標目指して一人一人を引っ張ります。よくこの厳しい私に付いてきてくれたなあと感謝です。そして、大事な大事な私の宝物たちです。