晴、18度、54%
庭仕事の中で一番好きなのは「種蒔き」です。特に芽が出始める頃が一番楽しい。日本ではたくさんの苗が簡単に手に入ります。確かに便利です。欲しいときにその季節の苗が手に入るのですから。種を蒔くとなれば、時間の先読みをしなくてはなりません。その上、発芽に必要な気温や日照も考えます。小さな種を蒔いて、毎日水をやり、毎日地面を見つめます。黒い地面の下から緑色が出始めると、土を持ち上げて芽が顔を出します。スローなカメラでその様子を撮れたららどんなに楽しいだろう、どんなに胸が踊るだろうかと思います。
それぞれの特徴ある双葉、つるだって小さいながらちゃんとついています。 種側にすれば迷惑でしょうが、一日に幾度も地面を見つめています。ときには頭を抱えるほどうまく発芽しないことがあります。いくら待っても緑の芽は出ないことも。そんな時の落胆は言い表されません。寒い日が思いがけずにやって来ると、 こうして温度を保ってやります。手がかかります。本植えを終えても小さな苗が順調に育つとは限りません。ナメクジが食べたり、猫が掘り返したり、主人が雑草と思って抜いたり。花を咲かせるためのもの、食べるための野菜、葉っぱが命と育てるハーブ。挙句に果物を食べた後の種から芽生える新芽。
今、薔薇がぽつぽつ咲き始めました。それも待ち遠しいのですが、それよりも発芽を待つ種たちの方が心を占めています。やっと3年経って、こうして種蒔きを思う存分楽しむ春が来ました。今日も庭に降りては地面を眺めます。