晴、11度、80%
モモが逝って3年が経ちました。初めて日本の地に来たその日から85日目に逝きました。辛い痛みを伴う最後の数週間をすまなかったと今も繰り返し思います。
たくさんの楽しい思い出、面白い思い出があります。思い出しては一人でクスッと笑ったり、庭を眺めて遠くなった香港を思ったりしています。モモは「花を匂う犬」でした。「花を匂う」って知ったのは我が家に来た翌朝のことでした。
慣れない家でよく眠れずに、一晩明けて。まずはおしっこを玄関前のマットにしてしまいました。「これからが思いやられるな。」と外に出ました。香港の九月下旬はまだ暑さを感じます。車の少ないコンダットロードを歩きました。そんなに遠くには行かないつもりでした。その時道に花壇の花か何か、黄色い花びらが吹いて来ました。何の花か覚えていませんが、その黄色い花びらの色だけは鮮明に記憶にあります。そして、モモは立ち止まってその花びらを匂いました。「花を匂うんだ。」
太子の花市から花を抱えて帰ると、花瓶に入れてる間モモは足元にいました。そして、私がいなくなると、花瓶の花を匂っています。 ひょいと部屋に戻って見つける風景でした。
今のこの家にはモモのために庭に小さなアーチがあります。庭でたくさん遊んで欲しい、花も育てようと思っていた矢先の春、モモは逝きました。あの春、この庭には大きなタンポポが一本咲いただけでした。本当に大きなタンポポ、モモはやっぱり匂っていました。
3年経って、いろんな花が庭にあります。香港から持ち帰ったアマリリスも蕾が膨らみ始めています。バラも咲き始めました。小さなカキドオシの花が庭の隅々にまで咲いています。タンポポだって小さいけどあちこちに咲いています。
私がせっせと花を育てるのは、モモに花を見て欲しいからだと思います。今日もココと3人で庭の花を楽しもうね。毎日毎日、「花を匂う犬」のことを思い出します。