晴、11度、84%
毎朝小さなフランスパンを焼くようになって3年が経ちました。帰国が決まった時に一番最初に頭に浮かんだのが「ガスオーブン」でした。香港生活30年間、台所のスペースで「ガスオーブン」を入れることが出来ませんでした。高温まで上がらないと思うようなフランスパンは焼けません。「電気オーブン」で我慢した30年間でした。
家の改築で台所の什器だけは私が選ぶことが出来ました。システムキッチンの展示場に赴くと、係りの人たちはシステムキッチンに「食器洗浄器」をつけるのが当たり前だと言わんばかりです。「食器洗浄器のスペースにビルトインのガスオーブンを入れてください。」と希望を言いました。実はあと一つ、この「ガスオーブン」の横に横型の洗濯機もビルトインして欲しかったのですが、その手の洗濯機が日本にないので諦めました。
システムキッチン選びより「ガスオーブン」選びに精を出しました。用途、使う頻度によって機種も様々です。業務用のパン焼き専用のオーブンも視野に入れましたが、肉を焼いたり魚をグリルすることは出来ません。そこで家庭用の高温まで上がるタイプを選びました。その時のガス会社の人の一言が忘れられません。「水蒸気を充満して使用すると頻度が多い場合には、一年でオーブンに故障が出ます。」フランスパンはオーブン庫内に蒸気を注入した焼きます。「一年ね。」と心に刻みました。
毎朝、オーブンの温度をセットして火を入れます。その度に「今日も順調に働いてください。」と祈るような気持ちです。3年間故障なし。パンを焼き、お菓子も焼き、お肉を焼き、その余熱で洗濯物も乾かします。この「ガスオーブン」なしでは私の生活は回りません。
暑い夏でもパンが焼けるまでココさんは「ガスオーブン」の前で待ちます。寒くなると、パンが出されて火を落とした後も座り続けます。冬場は台所の暖房代わりです。
「電気オーブン」も含めると私の人生で6代目に当たるこの「ガスオーブン」、いつまで元気に働いてくれるかな?今日もまた、「ぼっ」と音を立て火が入りました。「ご苦労様」