晴、11度、68%
机の引き出しから小さな木型が出てきました。ちょうど日本のハンコと同じ大きさです。彫られているのは文様、ペイズリーもあります。この木型を買った時のことを思い出しまた。
20年前のニューデリーの駅前です。当時はインド一の雑踏と言われていた場所の一角に無造作に木型は売られていました。大きな布染め用の木型もありましたが、荷物を重くしたくありません。小さなものだけを買い求めました。スリが多いと言われていた場所です。主人がそばで「気を付けなさいよ。」と見張ってくれていましたっけ。
布が好きです。実際に私が身に付けるものは無地ばかりですが、テーブルクロスやべットカバーなどには色鮮やかな模様のものを選びます。インドに行く度に帰りは重たい布を抱えて帰って来ました。サリーのような絹物は日本の和服を見慣れている目には違和感があります。お土産で頂戴したサリーやパンジャブスーツは日本帰国時に始末しました。
木型を使った染付は日本のそれと変わりありませんが、文様が違います。色遣いも違います。布を売る店に行くとどれもこれも欲しくて目移りしました。 香港でもインドから布が入ってくる店がありましたが、値段がインドに比べたら倍近くにもなります。 まさかインドに度々行くことになろうとは思わなかった頃は、そうした高い布を買い求めていました。 これはスカーフのインコです。柔らかな木綿の布に染められた花や模様がとても心に馴染みます。 ペイズリーはインド発祥の文様です。日本でも人気があるフランスの「ソレイヤード」の布はマルセイユに荷揚げされたインドの布を真似て作られ始めたと聞きました。「ソレイヤード」も木型を使った染付です。「ソレイヤード」も好きで布を数持っています。同じ模様でもフランスらしい色合いと布地が違いフランスらしさが出ています。インドの布はどちらかというとザックリと重いものです。
木型の染付は布ばかりか紙にも施されます。 カードや便箋に使われています。
手彫りの木型です。木型染めはパターンの繰り返しですが、 この布のように細かい模様、幾つもの木型を使った布もあります。
インド「ジャイプール」の郊外には染付を見学できる場所があるそうです。できることなら今一度訪れてみたいインドです。小さな木型からインドを思う一日になりました。