雨、10度、90%
デパートに月に一度出かけます。楽しみは地下の食料品売り場で旬のお魚を見たり、スーパーでは売られていない乳製品を見ることです。いつ見ても商品がないヨーグルトのコーナーがありました。「山吹色のプレーンヨーグルト」と値札には書かれています。その横並びは福岡以外からのヨーグルトが普通のヨーグルトの何倍かの値段で売られています。先日、一つだけ「山吹色のプレーンヨーグルト」がありました。贅沢なお値段です。思い切り買い求めました。
阿蘇小国から届けられた「ジャージ種」の牛から採れた乳のヨーグルトです。食べたい一心ですので蓋を取り、早速一口。口いっぱいに広がったのは濃厚な乳のバター分でした。その奥からヨーグルトの爽やかな酸味が広がって来ます。ほとんど香りはありません。急に小さい頃の記憶が蘇りました。
小学生の頃でした。昭和30年代です。朝早く父の車に乗って、西に向かいました。さほど遠くないところに小さな牛を飼っているところがあり、そこで搾りたての乳を分けてもらいました。一升瓶を携えて行きます。牛に近寄ると、なま温かな乳の匂いがしていました。帰りには紙か何かで栓をした一升瓶を私が大事に持つのが役目でした。どのくらい通ったのか、その牧場がどこにあったのか記憶が定かではありません。家に帰り、コップに注いでもらった牛乳は上に黄色がかった脂分が浮いていました。搾りたての乳の深い匂いと味を覚えています。
「山吹色」と名付けられたヨーグルト、このバター分の色ではないかと思います。 毎朝、200グラム以上のヨーグルトをいただきます。以前は500グラムぐらい平気で食べていましたが、日本に帰って来てヨーグルトがお高いので半分に減らしました。「山吹色のプレーンヨーグルト」をいつもの量食べようとしましたが、そのもっちりとした食感と脂肪分でお腹がいっぱいになりました。
「脂肪分0」のヨーグルトに慣れた方には驚きのヨーグルトに違いありません。調べて見ると、甘さのあるヨーグルトも作られています。甘味は「ザラメ」だそうです。小さな農場が作るチーズ、バター、ヨーグルトが全国にあるのは嬉しいことです。デパートの地下には遠く岩手のヨーグルトも並んでいます。大手メーカー品とは違い自然に近い乳製品です。
阿蘇にももう長いこと行っていません。阿蘇に行く折は小国に足を伸ばして、「山吹色のヨーグルト」の牛たちに会いに行きたいと思います。もちろん、牛乳を飲んで、ザラメのヨーグルトも食べよう。美味しいヨーグルトは幸せな一日の始りです。