チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

鯉のうま煮

2021年12月28日 | 昨日のお昼ご飯

曇、3度、64%

 小さい頃、父母に連れられて「鯉」を食べに行きました。海のお魚でさえあまり食べなかった食の細い子でした。そんな私が鯉のフルコースで一番好んだのは、「鯉のあらい」でした。薄く造られた鯉の生身を「酢味噌」で食べるのが好きでした。もう一つ、上海料理屋のコース料理のメインで出される「鯉のあんかけ」これがまたまた好きでした。「鯉のあんかけ」が出されるようなコース料理は大勢での祝い事の席や宴会の時です。いつもは1階の大部屋での食事がこの時は2階の個室です。上海からやって来た人たちが営んでいた当時は大きな中華料理屋でした。1階の厨房から持って上がってくる「鯉のあんかけ」だけが私が箸をつけるものでした。その頃はその魚が「鯉」だとは知りません。知ったのはずっと大きくなったからのことです。

 先日、北の街から贈り物が届きました。お野菜やお餅、有名な新米、その中に「鯉のうま煮」と書かれたパックを発見。「鯉」の一文字に目が留まります。もう長いこと「鯉」を食べたことがなかったのです。「鯉のあんかけ」の発祥地は中国の湖南省、香港にいた時はこの料理をよく食べました。でも「鯉」ではありませんでした。白身の川魚です。名前を忘れました。「松香魚」だったかな?値段の張る魚だったと思います。この料理は「時価」でメニューに載っています。私が好きなことを知っている主人は魚の大きさと値段を確認していつも頼んでくれました。一匹丸のままでも食べたいほど好きな料理です。でも、「鯉」ではありませんでした。

 「鯉のうま煮」年末のおご馳走となりました。パックから煮こごりはそっと別皿に取り出し、手のひらほどの大きさの筒切りの「鯉」は煮立てた酒と山椒数個、生姜1片の中で温めました。皿に盛ります。醤油と砂糖でしっかりと味のついた「鯉」です。「鯉」自体の匂いはしませんが、身を口に運び噛み締めて「鯉」を食べてると喜びに浸ります。ちょうど腹身の部分だったので内臓も脂も乗っていました。美味しかった。

 子供の頃に胃袋に刻まれた好きな食べ物はこうして半世紀経った今も私の好きなものです。贈り主の友人に「鯉」を好きだと話したことはありません。まさか彼女の住む街が「鯉」が有名だとも知りませんでした。お礼を書くと「癖がある魚ですが、真奈さんならお好きだと思って。」とお返事です。図星です。見事に私の好みを見抜いていらっしゃいます。こうして北国の「鯉」を数十年ぶりに食べることができました。


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