
あの「歌う生物学」や「ゾウの時間ネズミの時間」でおなじみの著者と
他2名共著の「ナマコガイドブック」を図書館で見つけました。
ナマコを丸ごととらえて分かりやすく書かれているので、
子どもたちでも、海鼠のことを知っている人でも海鼠を全然知らない人でも、
楽しくどんどん読んめます。
ナマコを使った実験もナマコさえあれば、すぐにでも出来そうです。
棘皮動物は5種、ヒトデ、ウニ、ウミユリ、クモヒトデ、そしてナマコ、
全部「5」という数字がキーポイントになっている生物なのだそうです。
ヒトデは見たとおり、確かに星形、ウニもバフンウニを見れば星型がハッキリわかります。
ナマコも横になっていますがウニやヒトデのように5が基本構造になっているのだそうです!
人の手足の指も5本、
おもしろいです。
ナマコには心臓もなくて、脳もない!
でもしっかり生きている。
そんないきものが地球上にはたーくさんいる、ということを「なまこ」は教えてくれます。
砂地にいるナマコは砂を食べて、
石場にいるナマコは海水に浮遊する栄養物をかき集めて、
敵に襲われればからだを固くして身を守ります。
時には内臓を放出して、敵が美味しい内臓を食べている間に逃げて、
内臓が復活するまでじっと隠れている、、、!!!
ほんのり届く日の光、潮の流れ、
大きな魚がそばを通過すれば嵐のようで、
見えないような小さなプランクトンたちのわずかな動きは海の中のそよ風のようなものかもしれません。
前書きの最後の文章を書き写します。
著者の伝えたかったことだと思います。
全くその通り、と思いました。
『 …一般向きのナマコの本という、じつに渋い本が出せる世の中になった。
…本書を手に取られる方は、可愛くもなく、好きになりたくもない、
われわれとは全く違った世界や価値観をもつナマコを、それなりに理解し、
共に生きていこうとされる方々であろう。皆様が居られれば地球の未来は明るい。
ナマコと付き合う知恵が、さまざまな顔つき、さまざまな価値観、
さまざまな宗教・信条を持つ人たちと、共に生きていく知恵へとつながっていくのだと
私は信じているからである。』
『ナマコガイドブック』
本川達雄 / 今岡享 / 楚山いさむ 共著
2003年、阪急コミュニケーションズ