夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『リアル・スティール』

2011年12月15日 | 映画(ら行)
『リアル・スティール』(原題:Real Steel)
監督:ショーン・レヴィ
出演:ヒュー・ジャックマン,ダコタ・ゴヨ,エヴァンジェリン・リリー,
   アンソニー・マッキー,ジェームズ・レブホーン,ホープ・デイヴィス他

そろそろ「今年観た映画50音順」を始める時期なんですけれど、
これだけはどうしても早く観て書きたくて。
だって、主演がヒュー・ジャックマン
監督は『ナイトミュージアム』(2006)や『デート&ナイト』(2010)のショーン・レヴィ。
私のツボを外すわけがない。

原作はリチャード・マシスンの短編小説『四角い墓場』。
未読なので、1956年の発表当時に何年が想定されていたのか知りませんが、
本作の舞台は2020年という近々未来です。

娯楽として、人間同士ではなくロボット同士が格闘する時代。
元ボクサーのチャーリーは、自身が戦わなくなってからというもの、
ロボットに金をつぎ込んでは失敗、借金だけが膨らんでゆく毎日。

そんなある日、別れた妻が急死したとの知らせを受ける。
赤ん坊のとき以来会っていない、今は11歳の息子マックスをどうするか。
裁判所でチャーリーの到着を待ちかまえていたのは、妻の妹デボラ。
裕福な夫マーヴィンとともに、マックスを養子にすることを切望している。

マーヴィンの服装を見た瞬間に、チャーリーの頭によからぬ考えが浮かぶ。
金をふんだくれるにちがいない、そう思ったチャーリーは、
デボラにはオフレコでマーヴィンと「商談」。
高性能ロボットを買うに足る金額で、マックスの親権をデボラに渡すと。

商談は成立し、チャーリーとマーヴィンは口裏合わせ。
マーヴィンとデボラが旅行に出る間だけ、
父子で過ごさせてほしいと、良い話に仕立て上げる。
こうして、しばらくの間、チャーリーはマックスを預かることに。

マックスと交換で転がり込んだ大金。
しかし、大きく狙って大きく稼ごうとするチャーリーは今日も惨敗。
買ったばかりのロボットは大破、廃材置き場で部品を探すチャーリー。
そこで足を滑らせたマックスは、
スクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”の腕に引っかかって助かる。
命の恩人だからと“ATOM”を持ち帰り、
格闘用ロボットではないと言うチャーリーの反対を押し切って、
“ATOM”を鍛え始めるのだが……。

ベタな親子ドラマです。
けれど、何が気に入ったって、ありがちな「嫌な展開」がなかったところ。

大体において、この話の流れだと、父子の絆が深まった頃、
自分が売られたのだということを息子が知り、ショックを受けて去る、
父が後日必死で詫びる……みたいな展開が待っているものですが、
本作はちがいました。
マックスはチャーリーのしそうなことを見切っていて、
初対面時に「僕のこと、売ったでしょ」とぶちかまします。
ここからして痛快。

また、“ATOM”をこっそり壊そうとする輩なんてのも出てきません。
借金を踏み倒した相手からバコバコに殴られはするものの、それだけ。
この後、壊されるんじゃと思ったらスルー。
“ATOM”がひとり残された部屋でも、何かあるんじゃと思ったらスルー。

なんだかあざとさなしの直球勝負に思えて、いちいち嬉しくなりました。

金のためなら息子をも利用する。
その息子と積極的に距離を縮めるつもりはなく、
借金を重ねてはスタコラ逃げ、盗みにも躊躇なし。
こんな教育的によろしくない父親ですが、
だからこそ、ロボット・ボクシングをきっかけに輝きを取り戻し、
息子と素晴らしいパートナーになる過程にじんわり。

ディズニー配給ではヒュー・ジャックマンのハダカは拝めないだろうと思っていたら、
上半身だけ(当たり前か(^^;)はちらり。
子役のダコタ・ゴヨ、子どもらしさと背伸びの加減が絶妙。

字幕は松浦美奈さんでした。
この人が字幕担当する作品、私の心のヒット率高し。

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