夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『テルマエ・ロマエ』

2012年05月02日 | 映画(た行)
『テルマエ・ロマエ』
監督:武内英樹
出演:阿部寛,上戸彩,北村一輝,竹内力,宍戸開,勝矢,
   キムラ緑子,笹野高史,市村正親,蛭子能収他

子どもの頃、本だけはなんぼでも買っていいことになっていたわが家。
行きつけの本屋に勝手に寄ってツケで買うことが父から許されていて、
漫画も本として立派に認められていました。
そのため、漫画についても今で言うところの「大人買い」をすることが
子どもの頃からしばしばあったのに、いつしか読まなくなりました。
最近は友人からたまにオススメ漫画を貸してもらう程度なのですが、
そのなかに含まれていてハマったのがこれ。

封切り日前日は飲み会で、翌朝は二日酔いほぼ確実。
しかも封切り日は午後から予定があり、観に行くなら9:00からの初回しかない。
車で梅田まで出かけて、少しでも駐車料金の安い中崎町辺りに駐め、
劇場まですたこら歩こうと思ったら、仕事に行くより早く家を出なあかん。
飲んでいる間から「明日は無理」と思っていましたが、
友人から聞いていた「全国で先着100万名にプレゼント」だという特典のことが頭をよぎり、5:30に起床。
おなかがすっきりしてからでないと出かけられませんから。

西暦130年代の古代ローマ帝国。
浴場を専門とする建築設計技師ルシウス・モデストゥスは、生真面目な性格。
寝ても覚めても風呂のことばかり考えている。
目新しいだけの建造物に反感を抱き、昔ながらの浴場を提案するが却下されてしまい、
落ち込むルシウスを友人が公衆浴場(テルマエ)へと誘う。

気分転換のつもりが、騒々しいテルマエに逆に滅入り、
湯にどっぷり頭まで浸かっていると、突然排水口に引き込まれる。
死にものぐるいで湯から顔を出すと、そこには「平たい顔族」(=日本人)が。
ルシウスは現代日本の銭湯にタイムスリップしていた。

そうとはわからないルシウスは、ローマよりもはるかに進んだ風呂文化に驚愕。
また突然ローマへと戻った折り、「平たい顔族」の風呂文化を取り入れた浴場を設計。
これが大評判となり、やがて皇帝ハドリアヌスから声がかかるのだが……。

原作にはなかった役どころが上戸彩演じる山越真実。
温泉旅館の娘である彼女は、漫画家への夢を捨てきれず、東京で一人暮らし。
なぜかルシウスは彼女のいる場所にばかり現れます。
漫画のネタが浮かばない彼女は、「キャラの立った」ルシウスに遭遇して大喜び。
ところが、彼女が勤務するショールームのバスタブにも現れて騒ぎになり、
クビを宣告されて故郷へ帰ることに。
ここまでも十分おもしろいですが、帰郷した先の面々は平たい顔だらけ。
温泉旅館はすっかり寂れているのにやたら陽気で天然なオッチャン陣。
笹野高史が相変わらずいい味なのは言わずもがな。
「ローマ人顔」を自負していた竹内力が堂々の「平たい顔」というのもワラけます。

イタリア人キャストは日本語で吹替。字幕派の私もこれは楽しい。
真実がラテン語を猛勉強していきなりペラペラになるのも可笑しく、
また、ラテン語と日本語が飛び交っているとおぼしきシーンでは、
画面右隅に“BILINGUAL”と表示されて、粋(?)です。

不遇の時代もあった阿部ちゃんは、
こういう三の線の入ったハマリ役がいろいろ出てきて、本当によかった。

そうそう、不遇といえば、20年近く前のこと、某先生は、
「文化人類学はニッチ産業や。人がしてないことをやるねん」とおっしゃって、
『風呂とエクスタシー 入浴の文化人類学』を執筆しはりました。
「これが当たったらウハウハの印税人生やで~」と捕らぬ狸の皮算用。
各国のお風呂をめぐり、その話を聞きながら写真の整理をしていた頃が懐かしいです。
この本の出版が今ならば売れたかもしれないと、あの世でガックリしているかも。(^^;

閑話休題、特典も無事にゲットしました。
映画化記念の書き下ろし極薄コミック、笑えます。

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