『リトル・フォレスト 冬/春』
監督:森淳一
出演:橋本愛,三浦貴大,松岡茉優,温水洋一,桐島かれん他
先週の土曜日、予定と予定の間に1本だけ観られそう。
動線上にあった大阪ステーションシティシネマにて。
五十嵐大介の同名コミックを映画化した、夏・秋・冬・春の4部作。
「夏/秋」と「冬/春」のそれぞれ2本立てで公開。
昨年公開された「夏/秋」は劇場で観逃してしまい、
「冬/春」の公開より少し前のアンコール上映にも行けず。
先月DVDで観て、「冬/春」はぜひとも劇場で観たいと思いました。
岩手県の現・奥州市にある衣川地区で暮らした経験のある原作者。
映画の舞台である「小森」は架空の村ではありますが、
ロケがおこなわれたのはその衣川地区だそうです。
小森で育ったいち子(橋本愛)。
都会で暮らしていたこともあったが、今は小森に戻ってひとり暮らし。
コンビニもスーパーも近所にはなく、ほとんど自給自足。
ある日突然出て行った母親の福子(桐島かれん)は行方不明のまま。
しかし、料理がとても上手かった福子のおかげで、いち子の腕前も相当なもの。
親友のキッコ(松岡茉優)がしょっちゅう訪ねてきては、
いち子がつくる料理やお菓子に舌鼓を打つ。
あとは、学校の後輩で2つ年下のユウ太(三浦貴大)が様子を見に来て、
女ひとりでは困る仕事があれば手を貸してくれることも。
田畑を耕し、野菜を育て、野山に食材を見つけに行く。
薪を割ったり、雪かきをしたり、煙突掃除をしたり。
いち子が「食」を通して人生を見つめ直していることが伝わってきて、
特に何が起こるわけでもないのに、映像に引き込まれます。
出てくる食材や料理のおいしそうなことと言ったら。
クリスチャンでもないのにクリスマスを祝うのは変だと言いつのる福子が
それでも来客のあるときには焼いてくれたクリスマスケーキ。
いち子はそれをアレンジして、黒米の甘酒とカボチャで2色のケーキを焼きます。
目からウロコだったのは、納豆に砂糖醤油を入れて餅にまぶす納豆餅。
焼きおにぎりに卵焼き、ラディッシュの即席漬け、おやきや饅頭、
山菜の天ぷら、春キャベツのかきあげ、鱒とノビルとのパスタなどなど。
学生のころ、春の山でタラの芽やノビルを採って食べたのが懐かしい。
ひとつの季節がいち子の同じナレーションで始まり、それが妙に安心できます。
スローフードという括りはあまり好きではなかったけれど、なんだか落ち着く。
普通の映画のような会話らしい会話はそれほどなく、
ほぼいち子のナレーションで進んでいるといってもいいぐらいですが、
ところどころに印象的な会話もあります。
キッコが会社の上司の悪口を言いまくっていると、
それを耳にしたキッコの爺ちゃんが強く怒ります。
「人を悪く言うのは、自分にもそういうところがあるからだ」。そのとおり。
冬は寒くて困るけど、寒くないとできないものもある。
寒さも大切な調味料。
DVD化されたら、4本そろえてずっと手元に置いておきたくなる作品でした。
監督:森淳一
出演:橋本愛,三浦貴大,松岡茉優,温水洋一,桐島かれん他
先週の土曜日、予定と予定の間に1本だけ観られそう。
動線上にあった大阪ステーションシティシネマにて。
五十嵐大介の同名コミックを映画化した、夏・秋・冬・春の4部作。
「夏/秋」と「冬/春」のそれぞれ2本立てで公開。
昨年公開された「夏/秋」は劇場で観逃してしまい、
「冬/春」の公開より少し前のアンコール上映にも行けず。
先月DVDで観て、「冬/春」はぜひとも劇場で観たいと思いました。
岩手県の現・奥州市にある衣川地区で暮らした経験のある原作者。
映画の舞台である「小森」は架空の村ではありますが、
ロケがおこなわれたのはその衣川地区だそうです。
小森で育ったいち子(橋本愛)。
都会で暮らしていたこともあったが、今は小森に戻ってひとり暮らし。
コンビニもスーパーも近所にはなく、ほとんど自給自足。
ある日突然出て行った母親の福子(桐島かれん)は行方不明のまま。
しかし、料理がとても上手かった福子のおかげで、いち子の腕前も相当なもの。
親友のキッコ(松岡茉優)がしょっちゅう訪ねてきては、
いち子がつくる料理やお菓子に舌鼓を打つ。
あとは、学校の後輩で2つ年下のユウ太(三浦貴大)が様子を見に来て、
女ひとりでは困る仕事があれば手を貸してくれることも。
田畑を耕し、野菜を育て、野山に食材を見つけに行く。
薪を割ったり、雪かきをしたり、煙突掃除をしたり。
いち子が「食」を通して人生を見つめ直していることが伝わってきて、
特に何が起こるわけでもないのに、映像に引き込まれます。
出てくる食材や料理のおいしそうなことと言ったら。
クリスチャンでもないのにクリスマスを祝うのは変だと言いつのる福子が
それでも来客のあるときには焼いてくれたクリスマスケーキ。
いち子はそれをアレンジして、黒米の甘酒とカボチャで2色のケーキを焼きます。
目からウロコだったのは、納豆に砂糖醤油を入れて餅にまぶす納豆餅。
焼きおにぎりに卵焼き、ラディッシュの即席漬け、おやきや饅頭、
山菜の天ぷら、春キャベツのかきあげ、鱒とノビルとのパスタなどなど。
学生のころ、春の山でタラの芽やノビルを採って食べたのが懐かしい。
ひとつの季節がいち子の同じナレーションで始まり、それが妙に安心できます。
スローフードという括りはあまり好きではなかったけれど、なんだか落ち着く。
普通の映画のような会話らしい会話はそれほどなく、
ほぼいち子のナレーションで進んでいるといってもいいぐらいですが、
ところどころに印象的な会話もあります。
キッコが会社の上司の悪口を言いまくっていると、
それを耳にしたキッコの爺ちゃんが強く怒ります。
「人を悪く言うのは、自分にもそういうところがあるからだ」。そのとおり。
冬は寒くて困るけど、寒くないとできないものもある。
寒さも大切な調味料。
DVD化されたら、4本そろえてずっと手元に置いておきたくなる作品でした。