『おみおくりの作法』(原題:Still Life)
監督:ウベルト・パゾリーニ
出演:エディ・マーサン,ジョアンヌ・フロガット,カレン・ドルーリー,キアラン・マッキンタイア,
アンドリュー・バカン,ニール・ディスーザ,ポール・アンダーソン,ティム・ポッター他
日曜日に2本ハシゴ。1本目の本作をシネ・リーブル梅田にて。
各国各地の映画祭で話題になった2013年のイギリス/イタリア作品。
ロンドンのケニントン地区の民生係ジョン・メイ。
彼の仕事は、孤独死した人の身辺を整理してこの世からお見送りをすること。
真面目で誠実な彼は、つねに故人に敬意を払うことを忘れない。
死亡した人に身寄りがいないかどうかを丁寧に調べあげ、
見つかった場合には葬儀に参列してもらえないかどうかを打診する。
誰も見つからなかった場合はジョン自らがたったひとりで参列、
故人の最後の旅立ちを見届けてきた。
そんなジョンの姿勢が上司には目障りらしい。
葬儀なんて遺族のためのもの、参列者がいないのならばとっとと遺体を焼いてしまえ。
調査に時間がかかりすぎる、葬儀代は無駄な支出だと。
そしてジョンは22年務めたこの仕事を辞めさせられることに。
解雇を言い渡されたジョンの最後の案件。
それは偶然にも彼のアパートの真向かいの部屋に住んでいた老人について調査することだった。
ビリー・ストークというその老人をきちんと送りだそうと決意したジョンは……。
ジョン役のエディ・マーサンは、男前にはほど遠い俳優さん。
善人面というにもツライ顔だったりして、
これまで私のイメージとしてあったのは悪人ばかり。
しかも、根っからの悪人というよりは、ツキに見放された気の毒な悪人。
特に印象に残っているのは『ハッピー・ゴー・ラッキー』(2007)で、
確かペーパードライバーに運転を教えるインストラクター役。
自分は真面目に生きているはずなのに割を食ってしまい、不満を抱えていたような。
『思秋期』(2010)では名士でありながら暴力亭主で、妻に殺されてしまう男。
いつもそんな感じで、「気の毒な」という意味では本作も同じなのかも。
本作の鑑賞中に思い出したのは、重松清の『峠うどん物語』。
主人公は中学2年生の淑子という女の子で、
市営斎場の真ん前に建つ、祖父母が経営するうどん屋を手伝っています。
お葬式の話よりも思い出すのは、淑子が送辞を考える場面。
ほんの数カ月間在職した臨時教諭への送辞を担当することになった淑子は、
直接お世話になったわけでもない、顔を思い出すのさえ大変な臨時教諭を
どんな言葉で送りだせばいいのかがわかりません。
担任教諭や同級生に相談すると、「適当でいいじゃん」みたいな返事。
しかし淑子は自分の言葉で送りたいと懸命に考えます。
その姿は、ジョンのそれと似ていました。
故人をよく知ることで、故人にふさわしい葬儀や葬送曲がおのずと決まる。
私も、本作を観るまでは葬儀は遺族のためのものだと思っているところがありました。
でも、ちがうんですね。やはり葬儀は故人のためにあるべきだと。
ちょっとネタバレ。
あっと息を呑むラスト。それはアンマリだと思っていたら、涙の渦に。
ジョンの仕事と同じく、丁寧につくられた良作です。
監督:ウベルト・パゾリーニ
出演:エディ・マーサン,ジョアンヌ・フロガット,カレン・ドルーリー,キアラン・マッキンタイア,
アンドリュー・バカン,ニール・ディスーザ,ポール・アンダーソン,ティム・ポッター他
日曜日に2本ハシゴ。1本目の本作をシネ・リーブル梅田にて。
各国各地の映画祭で話題になった2013年のイギリス/イタリア作品。
ロンドンのケニントン地区の民生係ジョン・メイ。
彼の仕事は、孤独死した人の身辺を整理してこの世からお見送りをすること。
真面目で誠実な彼は、つねに故人に敬意を払うことを忘れない。
死亡した人に身寄りがいないかどうかを丁寧に調べあげ、
見つかった場合には葬儀に参列してもらえないかどうかを打診する。
誰も見つからなかった場合はジョン自らがたったひとりで参列、
故人の最後の旅立ちを見届けてきた。
そんなジョンの姿勢が上司には目障りらしい。
葬儀なんて遺族のためのもの、参列者がいないのならばとっとと遺体を焼いてしまえ。
調査に時間がかかりすぎる、葬儀代は無駄な支出だと。
そしてジョンは22年務めたこの仕事を辞めさせられることに。
解雇を言い渡されたジョンの最後の案件。
それは偶然にも彼のアパートの真向かいの部屋に住んでいた老人について調査することだった。
ビリー・ストークというその老人をきちんと送りだそうと決意したジョンは……。
ジョン役のエディ・マーサンは、男前にはほど遠い俳優さん。
善人面というにもツライ顔だったりして、
これまで私のイメージとしてあったのは悪人ばかり。
しかも、根っからの悪人というよりは、ツキに見放された気の毒な悪人。
特に印象に残っているのは『ハッピー・ゴー・ラッキー』(2007)で、
確かペーパードライバーに運転を教えるインストラクター役。
自分は真面目に生きているはずなのに割を食ってしまい、不満を抱えていたような。
『思秋期』(2010)では名士でありながら暴力亭主で、妻に殺されてしまう男。
いつもそんな感じで、「気の毒な」という意味では本作も同じなのかも。
本作の鑑賞中に思い出したのは、重松清の『峠うどん物語』。
主人公は中学2年生の淑子という女の子で、
市営斎場の真ん前に建つ、祖父母が経営するうどん屋を手伝っています。
お葬式の話よりも思い出すのは、淑子が送辞を考える場面。
ほんの数カ月間在職した臨時教諭への送辞を担当することになった淑子は、
直接お世話になったわけでもない、顔を思い出すのさえ大変な臨時教諭を
どんな言葉で送りだせばいいのかがわかりません。
担任教諭や同級生に相談すると、「適当でいいじゃん」みたいな返事。
しかし淑子は自分の言葉で送りたいと懸命に考えます。
その姿は、ジョンのそれと似ていました。
故人をよく知ることで、故人にふさわしい葬儀や葬送曲がおのずと決まる。
私も、本作を観るまでは葬儀は遺族のためのものだと思っているところがありました。
でも、ちがうんですね。やはり葬儀は故人のためにあるべきだと。
ちょっとネタバレ。
あっと息を呑むラスト。それはアンマリだと思っていたら、涙の渦に。
ジョンの仕事と同じく、丁寧につくられた良作です。