『風に立つライオン』
監督:三池崇史
出演:大沢たかお,石原さとみ,真木よう子,萩原聖人,
鈴木亮平,藤谷文子,中村久美,山崎一,石橋蓮司他
日曜日にまたまたTOHOシネマズ西宮で2本ハシゴ。
最初に予告編を観たのは、確かまだ今年に入る前のこと。
以来5度くらい同じ予告編を目にして、やっと気づきました。
これ、三池崇史監督の作品なんや!と。
この予告編で、いったい誰が、あの三池監督の作品だと思うでしょう。
オッサン、年とったなとか、守りに入ったなとか、残念に思った人も多いはず。
私も「えっ!?」と驚きましたが、すぐにニンマリ。
というのも、私がそもそも三池監督ファンになったのは『中国の鳥人』(1998)を観たのがきっかけ。
椎名誠の同名小説が原作のそれは、残酷なシーンが皆無というわけではないけれど、
中国・雲南省の少数民族との交流を描いた寓話的作品でした。
本作が三池監督作品だと気づいたとき、『中国の鳥人』が頭をよぎって納得。
アフリカで医療活動に従事した実在の日本人医師の話を聞いて
“風に立つライオン”という曲をつくったさだまさしが、
2013年に自ら書き下ろした同名小説の映画化。
1987年、大学病院に勤務する島田航一郎(大沢たかお)は、
学友で同僚の青木克彦(萩原聖人)とともに、ケニアの長崎大学熱帯医学研究所に赴任。
航一郎だけ飛行機に乗り遅れてケニア入りの日に間に合わないという前代未聞のボケっぷりに、
所長の村上雅行(石橋蓮司)は先行きを心配するが、
予想外に航一郎の働きぶりは素晴らしく、仲間と患者の信頼を得る。
あるとき、航一郎と克彦は、ケニアの国境近くの赤十字病院から派遣要請を受ける。
そこはスーダンの内戦で傷ついた兵士らが運び込まれるところ。
地雷を探すために原っぱを歩かされて大怪我をした子どもも多い。
あまりに残酷悲惨な状況に航一郎は戸惑いつつも、できるかぎりのことをしようとする。
予定されていた2カ月の派遣期間が終わり、研究所に戻る航一郎と克彦。
ほっとする克彦とは対照的に、本来の明るさを失ったような航一郎は、
しばらくすると再び赤十字病院行きを希望して周囲を驚かせる。
舞い戻った航一郎を誰もが歓迎。
航一郎は同病院の看護師・草野和歌子(石原さとみ)と協力し、負傷者の手当てに奔走する。
そんな折り、航一郎の目の前に担ぎ込まれる一人の少年兵。
彼は誰にも心を閉ざしたまま、航一郎にも敵意を剥きだしにするのだが……。
当時の様子を振り返る形で、若干の老けメイクをほどこした克彦役の萩原聖人や、
航一郎と結婚を考えていた秋島貴子役の真木よう子が語ります。
“風に立つライオン”に出てくる「あなたや日本を捨てたわけではなく」という歌詞。
日本にだって苦しんでいる人がいるのに、どうしてそんなところまで行くんだと問われたら、
私は伊坂幸太郎の『砂漠』を思い出します。
目の前で泣いている人を救えなくて世界が救えるか。
日本でもそうでなくても関係ない。今目の前にいる人を救いたい。
それだけじゃないかなと思います。
誰かのせいにしなければ耐えられない苦しみもあるという言葉には
宮部みゆきの『小暮写眞館』を思い出し。
手紙のシーンにも涙ぼろぼろ。
愛する人に寄せるとしたら、あの一行しかないでしょう。
「僕は現在(いま)を生きることに思い上がりたくないのです」。
心に染みました。
引き出しの多い三池監督、お得意のバイオレンス作品も面白いけれど、
こんな作品に懐の深さを感じます。やっぱり大好きです。
監督:三池崇史
出演:大沢たかお,石原さとみ,真木よう子,萩原聖人,
鈴木亮平,藤谷文子,中村久美,山崎一,石橋蓮司他
日曜日にまたまたTOHOシネマズ西宮で2本ハシゴ。
最初に予告編を観たのは、確かまだ今年に入る前のこと。
以来5度くらい同じ予告編を目にして、やっと気づきました。
これ、三池崇史監督の作品なんや!と。
この予告編で、いったい誰が、あの三池監督の作品だと思うでしょう。
オッサン、年とったなとか、守りに入ったなとか、残念に思った人も多いはず。
私も「えっ!?」と驚きましたが、すぐにニンマリ。
というのも、私がそもそも三池監督ファンになったのは『中国の鳥人』(1998)を観たのがきっかけ。
椎名誠の同名小説が原作のそれは、残酷なシーンが皆無というわけではないけれど、
中国・雲南省の少数民族との交流を描いた寓話的作品でした。
本作が三池監督作品だと気づいたとき、『中国の鳥人』が頭をよぎって納得。
アフリカで医療活動に従事した実在の日本人医師の話を聞いて
“風に立つライオン”という曲をつくったさだまさしが、
2013年に自ら書き下ろした同名小説の映画化。
1987年、大学病院に勤務する島田航一郎(大沢たかお)は、
学友で同僚の青木克彦(萩原聖人)とともに、ケニアの長崎大学熱帯医学研究所に赴任。
航一郎だけ飛行機に乗り遅れてケニア入りの日に間に合わないという前代未聞のボケっぷりに、
所長の村上雅行(石橋蓮司)は先行きを心配するが、
予想外に航一郎の働きぶりは素晴らしく、仲間と患者の信頼を得る。
あるとき、航一郎と克彦は、ケニアの国境近くの赤十字病院から派遣要請を受ける。
そこはスーダンの内戦で傷ついた兵士らが運び込まれるところ。
地雷を探すために原っぱを歩かされて大怪我をした子どもも多い。
あまりに残酷悲惨な状況に航一郎は戸惑いつつも、できるかぎりのことをしようとする。
予定されていた2カ月の派遣期間が終わり、研究所に戻る航一郎と克彦。
ほっとする克彦とは対照的に、本来の明るさを失ったような航一郎は、
しばらくすると再び赤十字病院行きを希望して周囲を驚かせる。
舞い戻った航一郎を誰もが歓迎。
航一郎は同病院の看護師・草野和歌子(石原さとみ)と協力し、負傷者の手当てに奔走する。
そんな折り、航一郎の目の前に担ぎ込まれる一人の少年兵。
彼は誰にも心を閉ざしたまま、航一郎にも敵意を剥きだしにするのだが……。
当時の様子を振り返る形で、若干の老けメイクをほどこした克彦役の萩原聖人や、
航一郎と結婚を考えていた秋島貴子役の真木よう子が語ります。
“風に立つライオン”に出てくる「あなたや日本を捨てたわけではなく」という歌詞。
日本にだって苦しんでいる人がいるのに、どうしてそんなところまで行くんだと問われたら、
私は伊坂幸太郎の『砂漠』を思い出します。
目の前で泣いている人を救えなくて世界が救えるか。
日本でもそうでなくても関係ない。今目の前にいる人を救いたい。
それだけじゃないかなと思います。
誰かのせいにしなければ耐えられない苦しみもあるという言葉には
宮部みゆきの『小暮写眞館』を思い出し。
手紙のシーンにも涙ぼろぼろ。
愛する人に寄せるとしたら、あの一行しかないでしょう。
「僕は現在(いま)を生きることに思い上がりたくないのです」。
心に染みました。
引き出しの多い三池監督、お得意のバイオレンス作品も面白いけれど、
こんな作品に懐の深さを感じます。やっぱり大好きです。