『悼む人』
監督:堤幸彦
出演:高良健吾,石田ゆり子,井浦新,貫地谷しほり,山本裕典,大後寿々花,
麻生祐未,山崎一,戸田恵子,秋山菜津子,平田満,椎名桔平,大竹しのぶ他
前述の『アメリカン・スナイパー』とハシゴ、TOHOシネマズ西宮にて。
天童荒太の小説はとても好きですが、とにかく暗くて重い。
それがしんどいときもあるけれど、彼の著作はほとんど読んでいるはずなので、
この原作も読んだ気になっていました。
んが、映画を観てもまったく思い出せないところをみると、未読のような。
『悼む人』を見間違えて『恨む人』と思っていただけだったのかも。
同氏の著作『あふれた愛』を『ありふれた愛』だと見間違えたこともありました。
一字ちがったらエライちがい。(^^;
不慮の死を遂げた人を“悼む”ために全国を旅している坂築静人(高良健吾)。
事故現場や殺人現場で彼を見かけた雑誌記者の蒔野抗太郎(椎名桔平)は、
静人の行動に興味を抱いて取材をはじめる。
静人の“悼む”とは、死者が生前、誰に愛され、誰を愛していたかを調べること。
何のためにそんなことをするのかと問われても、答えられないと静人は言う。
飲食店にパート勤めの奈義倖世(石田ゆり子)は、
夫だった甲水朔也(井浦新)を殺害し、服役していた過去がある。
ほかに就職口もないところを拾ってもらった負い目から、
店長(甲本雅裕)に屈辱を受けても抵抗することができない。
生きる気力を失っていたとき、朔也について知りたいという静人と出会う。
静人は倖世こそが朔也を殺した人物であると気づかないまま。
倖世はなんとなく静人の旅に同行するようになる。
一方、静人の実家では、母親の巡子(大竹しのぶ)が末期癌で闘病中。
余命いくばくもない彼女は、自宅に帰ることを望み、
夫の鷹彦(平田満)と娘の美汐(貫地谷しほり)、甥の福埜怜司(山本裕典)が付き添う。
美汐は妊娠中で、結婚するはずだった相手から世間体を理由に別れを告げられたばかり。
つらい気持ちを押し隠し、巡子のためにも自宅で出産することを選ぶ。
また、抗太郎のもとへは、父親(上條恒彦)が危篤だと父親の愛人(秋山菜津子)から連絡が。
母親と自分を棄てた父親のことを許せず、抗太郎は会いに行こうとしない。
そんな状況から目をそらすように、興味本位で静人のことを聞きに巡子を訪ねるのだが……。
とにかく天童荒太の小説は傷ついた人だらけ。
しかも、世の中の不幸を全部背負っているのではと思うほどの傷だったりして。
だから、映画化するとどういうことになるのかと考えていました。
堤幸彦監督といえば、『くちづけ』(2013)なんてのもあるものの、
やはり“20世紀少年”だったり“エイトレンジャー”だったり、娯楽のイメージ強し。
そのおかげか(こういう言い方がいいかどうかわかりませんが)、
普通に耐えうる、適度な重さと暗さに仕上がっています。
大竹しのぶ演じる巡子の台詞が胸を打ちます。
「あの子のしていることはわからない。
わからないけど、よくやっているねと声をかけてやりたい」。
そうそう、去年読んだ本の一文を思い出しました。
自分の子どものことだから何でもわかるわけじゃない。
わからなくてもわかりたいと思うことが大切なんだと。
子どもは、生んでくれた母親に命をゆだねる。
あなたから生まれたいというのは、あなたに感謝しているということ。
暗いけど、最後は必ず一筋の光が射し込むのも天童荒太の小説です。
映画版には賛否両論ありましょうが、
一般的に受け入れやすい作品になったのではないでしょうか。
本作で息子をいじめによって死に追いやられた母親を演じる麻生祐未が
事件の真相を世間に明かしてほしいと涙ながらに訴えかけるシーン。
静人はそれはできないと答えます。
そちらに力を注げば、亡き人を悼むことがおそろかになってしまうからと。
川崎の少年暴行殺害事件に胸が痛み、複雑な心境です。
監督:堤幸彦
出演:高良健吾,石田ゆり子,井浦新,貫地谷しほり,山本裕典,大後寿々花,
麻生祐未,山崎一,戸田恵子,秋山菜津子,平田満,椎名桔平,大竹しのぶ他
前述の『アメリカン・スナイパー』とハシゴ、TOHOシネマズ西宮にて。
天童荒太の小説はとても好きですが、とにかく暗くて重い。
それがしんどいときもあるけれど、彼の著作はほとんど読んでいるはずなので、
この原作も読んだ気になっていました。
んが、映画を観てもまったく思い出せないところをみると、未読のような。
『悼む人』を見間違えて『恨む人』と思っていただけだったのかも。
同氏の著作『あふれた愛』を『ありふれた愛』だと見間違えたこともありました。
一字ちがったらエライちがい。(^^;
不慮の死を遂げた人を“悼む”ために全国を旅している坂築静人(高良健吾)。
事故現場や殺人現場で彼を見かけた雑誌記者の蒔野抗太郎(椎名桔平)は、
静人の行動に興味を抱いて取材をはじめる。
静人の“悼む”とは、死者が生前、誰に愛され、誰を愛していたかを調べること。
何のためにそんなことをするのかと問われても、答えられないと静人は言う。
飲食店にパート勤めの奈義倖世(石田ゆり子)は、
夫だった甲水朔也(井浦新)を殺害し、服役していた過去がある。
ほかに就職口もないところを拾ってもらった負い目から、
店長(甲本雅裕)に屈辱を受けても抵抗することができない。
生きる気力を失っていたとき、朔也について知りたいという静人と出会う。
静人は倖世こそが朔也を殺した人物であると気づかないまま。
倖世はなんとなく静人の旅に同行するようになる。
一方、静人の実家では、母親の巡子(大竹しのぶ)が末期癌で闘病中。
余命いくばくもない彼女は、自宅に帰ることを望み、
夫の鷹彦(平田満)と娘の美汐(貫地谷しほり)、甥の福埜怜司(山本裕典)が付き添う。
美汐は妊娠中で、結婚するはずだった相手から世間体を理由に別れを告げられたばかり。
つらい気持ちを押し隠し、巡子のためにも自宅で出産することを選ぶ。
また、抗太郎のもとへは、父親(上條恒彦)が危篤だと父親の愛人(秋山菜津子)から連絡が。
母親と自分を棄てた父親のことを許せず、抗太郎は会いに行こうとしない。
そんな状況から目をそらすように、興味本位で静人のことを聞きに巡子を訪ねるのだが……。
とにかく天童荒太の小説は傷ついた人だらけ。
しかも、世の中の不幸を全部背負っているのではと思うほどの傷だったりして。
だから、映画化するとどういうことになるのかと考えていました。
堤幸彦監督といえば、『くちづけ』(2013)なんてのもあるものの、
やはり“20世紀少年”だったり“エイトレンジャー”だったり、娯楽のイメージ強し。
そのおかげか(こういう言い方がいいかどうかわかりませんが)、
普通に耐えうる、適度な重さと暗さに仕上がっています。
大竹しのぶ演じる巡子の台詞が胸を打ちます。
「あの子のしていることはわからない。
わからないけど、よくやっているねと声をかけてやりたい」。
そうそう、去年読んだ本の一文を思い出しました。
自分の子どものことだから何でもわかるわけじゃない。
わからなくてもわかりたいと思うことが大切なんだと。
子どもは、生んでくれた母親に命をゆだねる。
あなたから生まれたいというのは、あなたに感謝しているということ。
暗いけど、最後は必ず一筋の光が射し込むのも天童荒太の小説です。
映画版には賛否両論ありましょうが、
一般的に受け入れやすい作品になったのではないでしょうか。
本作で息子をいじめによって死に追いやられた母親を演じる麻生祐未が
事件の真相を世間に明かしてほしいと涙ながらに訴えかけるシーン。
静人はそれはできないと答えます。
そちらに力を注げば、亡き人を悼むことがおそろかになってしまうからと。
川崎の少年暴行殺害事件に胸が痛み、複雑な心境です。