夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『プールサイド・デイズ』

2015年05月30日 | 映画(は行)
『プールサイド・デイズ』(原題:The Way Way Back)
監督:ナット・ファクソン,ジム・ラッシュ
出演:スティーヴ・カレル,トニ・コレット,アリソン・ジャネイ,アナソフィア・ロブ,
   サム・ロックウェル,マーヤ・ルドルフ,ロブ・コードリー,アマンダ・ピート他

2013年のアメリカ作品。
“カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2014”の中の1本として限定公開。
したがって関西では観る機会なし。
4月15日にレンタル開始、TSUTAYA DISCASの在庫枚数が少なくて、
借りるには競争率が高く、なかなかの激戦でした。

14歳の少年ダンカンは、両親が離婚、母親パムとともに暮らしている。
パムが交際をはじめた相手はトレントという男で、とっても嫌な奴。
トレントの年頃の娘ステフもダンカンに嫌みな態度ばかり。仲良くなれそうにない。
なのに、この夏休みをトレントの別荘で過ごすことを強いられる。

案の定、トレント親子に馴染むことはできない。
隣家のベティはいいおばさんのようだがうるさすぎ。
その娘ソフィはクールで近寄りがたい。
ベティは斜視の息子ピーターとダンカンを遊ばせたがる。嬉しくない。

居場所がないダンカンは、物置にあった自転車を運び出し、町をぶらぶら。
そのときに出会ったのが遊び人風の男オーウェン。
何もかもテキトーだけど、自由きままで明るいオーウェンといれば楽しい。
オーウェンが働くウォーターパークに出入りするうち、
どうせならおまえもここでアルバイトしないかと誘われ、
ダンカンもスタッフとしてかようになるのだが……。

今年DVDで観たなかではかなり好きな1本になりました。
『6才のボクが、大人になるまで。』(2014)に似た雰囲気と言うと良く言い過ぎでしょうが、
あんなふうな爽やかな切なさが残ります。

ブーたれた顔をしていたダンカンが(ブーたれる気持ちもわかります)、
生まれて初めて仕事を任されることにより、
さまざまな個性の持ち主と関わり合い、時には面倒な客にも向かってゆき、
そうこうしているうちに誰しもから認められるようになる。
ソフィとの淡い恋も思わず応援したくなるのでした。

トレントを演じるのはスティーヴ・カレル
いつもみんなを笑わせてくれる彼が『フォックスキャッチャー』でイカレた人物を演じたと思ったら、
今度はまったくいいところを見つけられないほど、底意地の悪い奴。
特筆すべきはオーウェン役のサム・ロックウェルで、さまになるだらしなさ。
いい加減なようでも、ちゃんとダンカンのことを見てくれていて、
いけすかないトレントにしっかり一発かましてくれます。

ほろ苦くも素敵なひと夏の想い出。
きっとこれからの人生の糧になる。

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