夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2018年10月に読んだ本まとめ

2018年11月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2018年10月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4319ページ
ナイス数:1579ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
同じ作家の本は続けて読まないのがマイルールだったのに、読んでしまった。今回の猟奇事件は一見自殺。一見自殺でその実も自殺だったりするのですが、人間の身体って、腐るともげるんですねぇ。楽な死に方なんてないのだということがよくわかりました。意志と関係なく、身体は生きようとするのだから。もはやホラーの要素はどこにもなく、申し訳程度に比奈子が幽霊を「見たような気がする」だけ。それどころかお笑いの要素が増えている。いいなぁ、このチーム。第4弾にいま突入はしません。だってまだ買ってないから。でも残り全部、今日注文する。
読了日:10月02日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/9787569

■町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう (角川文庫)
結局「町中華」とは何かわかりません。大衆食堂と何が違うのかしらんと思うのですが、要は中華を名乗っていないと駄目なのですね。中華を名乗っているけれど、カレーやオムライスやカツ丼がメニューにある。時にはナポリタンの幟まで。そして、美味しいのはNGらしい。かなり内輪受けの印象で、正直言ってイマイチでしたが、不味ければ不味いほど盛り上がるという話を読んだときにハタと気がつきました。これこそが町中華なのではないかと。こんなもんをわざわざ食べに来ている自分ってなんかええやん、そう思わせてくれる店こそが町中華なのかも。
読了日:10月03日 著者:北尾 トロ,下関 マグロ,竜 超,町中華探検隊
https://bookmeter.com/books/13066763

■我が家のヒミツ (集英社文庫)
50頁足らずの短編6つ。4つめまで読んで思う、なんかちょっといい話だなぁ。しかし、ん?これって奥田英朗だよね? もし新潮文庫でフォントがちがったら、重松清じゃない? 5つめで、やっぱり奥田さんかも。6つめに、荻原浩みたいな気もしてきちゃって。してきちゃったけど、私はその3人ともを好きなわけで、結果的には満足度の高い1冊となりました。読者は見せてもらえなかった手紙の中身が気になる。何が書いてあったのか教えてよというのは野暮ですね(笑)。若いとは、他人事が多いということ。思いやりの気持ちを忘れたくない。
読了日:10月07日 著者:奥田 英朗
https://bookmeter.com/books/12905790

■きみの鳥はうたえる (河出文庫)
先に映画版を観ているから、どうしてもキャストを重ねて読んでしまう。生々しい描写もあるゆえ、顔も体ももうちょいイケてるほうがよかったなぁ。柄本くん、ごめん。この著者の作品を読むのは辛い。別の著者の作品なら普通に青春の一コマとして読めたであろうところ、41歳で自らの命を絶ってしまった人だということが毎度最初に頭をよぎって、決して楽しい読書にはならない。そしてラストは映画版とは大きく異なり、再び自死した事実を思い起こさせられてしまうのです。生きていてほしかった。生きているあなたの作品をもっともっと読みたかった。
読了日:10月09日 著者:佐藤 泰志
https://bookmeter.com/books/3165245

■「ない仕事」の作り方 (文春文庫)
『アウトドア般若心経』を購入し、お土産に石田衣良の似顔絵皿をもらったことのある身です。昔お世話になった文化人類学の先生が、「学者はニッチ産業やで」と話していました。ない仕事、つまりニッチということか。そしてここに「好きなものの貯金」と「自分の洗脳」が必要になるのですね。すごくためになる本だけど、これも「誤解」なのかも(笑)。似顔絵皿がどうなったかって? こんなもんもらってどないするねんと困り、喜んでくれそうな友人に進呈しました。本当に喜んでくれたかどうかは不明ですが、立派にいやげ物の役割は果たしています。
読了日:10月10日 著者:みうら じゅん
https://bookmeter.com/books/13091546

■D町怪奇物語 (幻冬舎文庫)
またしても木下半太。内容がどうあれ(笑)とにかく読みやすいから、もうちょい冊数を稼ぎたいという月についつい手を出してしまう。質より量といっては限りなく失礼だけど、なんだかんだで好きなんだなぁ。D町=大国町ですね。この町で実際にバーを経営していたことがあるという著者。それっぽいことが本当にあったかもしれないと想像すると、深夜の大国町の雰囲気と相まってそれなりに不気味。とはいうものの、「男としての器が小さいってどれぐらい」「刺身醤油の皿ぐらい」とかいう会話を読んだらワラける。とことん憎めない人です、半太さん。
読了日:10月12日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/9865303

■音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】監督本人による原作は面白いとは言えなかったけれど、映画はきっと面白いに違いないと、期待して観に行きました。喉から血が噴き出すゲテモノになってしまった冒頭シーンに唖然。いつもはクスッと笑える三木作品なのに、なんだかスベっている気配。ついには睡魔に襲われて沈み、私がようやく覚醒した頃には隣の隣のお客さんが爆睡しているではないですか(^^;。テンションを上げろと言われても、そちらのテンションが高すぎて、こちらは置いてけぼりをくらった格好。どうしちゃいましたか、三木監督。
読了日:10月14日 著者:三木 聡
https://bookmeter.com/books/12569611

■秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
春期限定を冬に、夏期限定を春に読んだから、今度こそピッタリの季節に読もうと。冒頭で9月に読むべきだったかと悔やんだら、わりとオールマイティーな季節進行。不穏な空気のまま終わった夏の後、小鳩くんと小佐内さんが脇役に回る。おおっ、ふたりにそれぞれ交際相手が。何がイラつくって、小鳩くんが、つきあい始めた仲丸さんに話を合わせるところ。デートはそれなりに楽しかろうが、そんなつきあいかたをしても長く続くとは思えず。小佐内さんにいいところを見せようと頑張る瓜野くんもなんかヤダ(笑)。いつまで小市民ぶるのか、ふたりとも。
読了日:10月14日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/580073

■秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
どれから読んでも大丈夫なシリーズ物も巷には多く存在しますが、このシリーズは必ず春期→夏期→秋期の順に読まなきゃ駄目。じゃないと、小佐内さんにどよめけなくて楽しさが半減するでしょう。放火事件の結末が気になって、あっというまに下巻読了。上巻からどうも好きになれなかった瓜野くんがいっそう嫌いに。彼のプライドがずたずたにされるのを願ってしまいました。あ、私もずいぶん歪んだ人になっている(笑)。小鳩くんも小佐内さんも性格悪いよと思いつつ、ニヤニヤせずにいられません。冬期限定、なんとかなりませんか。寂しいんだもん。
読了日:10月15日 著者:米澤 穂信
https://bookmeter.com/books/580074

■豆の上で眠る (新潮文庫)
アンデルセンのこの話、とてもよく覚えています。湊かなえのことだから、何かやらかしてくれるに違いないと思って慎重に。姉妹の妹・結衣子が語り手で、姉のことをずっと「万佑子ちゃん」と呼んでいたはずが、急に別人のことを呼ぶように「姉」と言う。大人になったからということだけではない様子。終始冷え冷え。失踪した子どもが戻ってきても、決して元通りにはならない。誰ひとりとして幸せだとは思えず、救いがありません。やはり好きではないのに夢中になって読んでしまう作家です。みんな気づかなくとも布団の下には豆が挟まっているのかも。
読了日:10月19日 著者:湊 かなえ
https://bookmeter.com/books/11985212

■ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ミステリーのはずなのに、ちっともそれらしく話が進みません。だけどなんとなく没頭させられるのは何故。ラリーはある事件の犯人かと疑われたまま25年。同様の事件が再び起きる。町の保安官はかつての友人サイラス。人種について何も考えずに読んでいたから、ラリーが白人、サイラスが黒人とわかったときには結構な衝撃。一見のどかな日常に偏見や差別がはびこっているゆえ、人前で友だちだとは言えなかったラリーとサイラス。いつしかふたり共の心に寄り添いたくなっている。純粋で、読後感のとても良い作品です。いい本を読んだ、そう思えます。
読了日:10月24日 著者:トム フランクリン
https://bookmeter.com/books/7696102

■コンビニ人間 (文春文庫)
こんなに読みやすい芥川賞受賞作品は初めてのような気がします。どこにもそうだとは書いていないけれど、どう読んでも主人公はアスペルガー症候群。コンビニでバイトしているときだけ、彼女は完璧。人を見下しているひとの表情を観察する彼女に目からウロコ。こんなふうになれたら、日々のイライラもグッと減る。コンビニのマニュアルどおりに動いているとしても、機械ではなくて、まぎれもなく「人間」。「普通」とはいったい何なのか。彼女のことを「なおす」だなんて思うところがすでに傲慢。みんなそれぞれ、人とちがうところを持っているはず。
読了日:10月25日 著者:村田 沙耶香
https://bookmeter.com/books/13029012

■花だより みをつくし料理帖 特別巻
時代小説には苦手意識があったから、読むつもりなんてさらさらなかったのに友達から貸され、「えっ、しかも10巻もあるの?」、言えずにテンション低めで読みはじめた。それが『みをつくし料理帖』でした。ところがすっかりハマり、10巻読了時には寂しいのなんのって。終わったものは仕方がないと澪を忘れ、『あきない世傳』の幸へと気持ちを向けていたら、今度はそちらをお預けにして澪の特別編。さすが商売上手だわ(笑)。行く末が気になっていた面々のその後がわかります。切ない過去を抱えつつもそれぞれ幸せに生きているようで嬉しいなぁ。
読了日:10月27日 著者:髙田郁
https://bookmeter.com/books/13121500

■旅猫リポート (講談社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作は予期せずに泣かされましたが、映画版では絶対泣かされることがわかっている。そうなると、あまのじゃくな私は泣きたくない(笑)。餌そのままにして立ち去ったらあかんやろなどと、諸処で内心ツッコミを入れつつ、お涙頂戴に徹した映画なら泣くもんかと決め込んで鑑賞。それでもやっぱり泣きますね。人間が涙を浮かべているシーンよりも、ナナの姿にやられました。病院の扉をガリガリやるところなんて、堪りません。周囲から嗚咽が聞こえてくるからそれにもつられ。これは素直に泣かされましょう。
読了日:10月28日 著者:有川 浩
https://bookmeter.com/books/11491734

■給料戦争 (PHP文庫)
ビジネスものにしては妙なタイトルと表紙に好奇心を刺激され。主人公・浅野が出張中のラオスで会ったのは、戦時中の滝壺からタイムスリップしてきた日本兵・花沢。浅野の恋人・由美子がレクチャーする形で「給料」について読者も学ぶ。給与明細の見方、転職やリストラの話、全部なるほど。しかしそれよりも、普通のサラリーマンの物語として、浅野が変わってゆく過程を見られるのが面白い。常に死を覚悟して戦っていた花沢だから、「失敗したって死なないんだから」という言葉に重みがあります。恐れることなんて何もない。最後はちょっぴりウルッ。
読了日:10月30日 著者:竹内 謙礼,青木 寿幸
https://bookmeter.com/books/11131522

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