夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『鈴木家の嘘』

2018年11月27日 | 映画(さ行)
『鈴木家の嘘』
監督:野尻克己
出演:岸部一徳,原日出子,木竜麻生,加瀬亮,吉本菜穂子,
   宇野祥平,山岸門人,川面千晶,岸本加世子,大森南朋他

先週のこと。
水曜日がお仕事お休みの人と祇園で晩ごはんをご一緒することになり、
終業後に京都へ向かってもじゅうぶん間に合うところ、
レディースデーなのに映画を観ないのももったいと午後休を取りました。

正午の鐘とともに職場を出て、そのまま車で名神吹田から京都南へ。
晩は当然お酒を飲むけれど、帰りは下戸のダンナが運転してくれますから。

川端通り沿いで目を付けていたコインパーキングのうちの1箇所は満車。
もう1箇所は観光シーズンゆえ「特別料金実施中」との表示。
20時までは最大料金設定があるものの、夜間の料金が20分300円だとぉ?
1時間に900円も払っていられるかと、ほかを当たる。
なんとか納得できる料金のパーキングに空きを見つけて駐車。

そこからてくてく歩いてMOVIX京都へ。
前週にMOVIXあまがさきでメンバーズカードを入手済み。うふっ。
ちゃんと名前を登録してポイントを貯めることができるのでした。

初めて行くMOVIX京都にはちょっぴりショックを受けました。
ビルの各階にシアターがあるのですが、1階にゲームセンターも入っています。
そのせいなのかどうなのか、トイレがめちゃくちゃ汚い。
便器が汚いわけじゃないから、掃除はきちんとされているのでしょうが、
個室にゴミが落ちすぎ。キンキラリンの紙とか、いったい何に使うもの?
鏡の前に陣取る女子高生は、手を洗いたい客に譲るつもりもない様子。
シアターに入ったら入ったで、座席にアイスもなかの空き袋が放置されている。
来月ここで開催予定の爆音映画祭に行きたいと思っていたのに、萎えました。

という話はさておき、気になっていた作品を観ました。
『テルマエ・ロマエ』(2012)、『舟を編む』(2013)、『まほろ駅前狂騒曲』(2014)、
『恋人たち』(2015)、『セトウツミ』(2016)、『嘘を愛する女』(2018)等、
数々の名作で助監督を務めてきた野尻克己の監督デビュー作。

鈴木家は父親・幸男(岸部一徳)、母親・悠子(原日出子)、
長男・浩一(加瀬亮)、長女・富美(木竜麻生)の四人家族。

ある日、長年ひきこもりだった浩一が自室で首を吊って自殺。
それを発見した悠子が包丁で手首を切る。帰宅した富美がそれを見つけて119番。
悠子は一命を取り留めたものの、なかなか意識が回復しない。

四十九日ぶりに目を覚ました悠子は、浩一が亡くなったことを覚えていない様子。
ショックのあまり記憶が飛び、自分は台所で倒れただけだと思い込んでいる。
事実を知ってまた手首を切られては大変だと、
浩一は元気かと悠子から問われた富美は、咄嗟に嘘をついてしまう。
「お兄ちゃんはひきこもりをやめて、アルゼンチンへ行った」と。

こうして幸男と富美、悠子の弟・博(大森南朋)、幸男の妹・君子(岸本加世子)も
悠子のために嘘をつきつづけることにするのだが……。

息子は死んだと言えない娘たちが母親のために嘘をつく、
『やさしい嘘』(2003)というグルジアを舞台にした作品がありました。
それを思い出しながら観ていましたが、こっちのほうがだいぶんキツイ。
顔ぶれを見てコメディを予想していたら、全然ちがう。
笑えるシーンはごくわずかにあるだけで、相当ヘヴィー。
PG12指定の理由はソープランドのシーンがあるからなのでしょうが、
浩一が首を吊るシーンもかなりエグイです。

大切な人を亡くした人が集う会で、泣き叫ぶ参加者の声が私にはきつかった。
『人魚の眠る家』と同じく、大げさに思えてしまうのです。
しかし、富美の気持ちがあきらかになるシーンは心を揺さぶられました。

遺された家族が気持ちの整理をつけるまでの日々。
今後も野尻監督の作品が気になりそうです。

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