『逃げきれた夢』
監督:二ノ宮隆太郎
出演:光石研,吉本実憂,工藤遥,杏花,岡本麗,光石禎弘,坂井真紀,松重豊他
前述の『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』の後、同じくシネ・リーブル梅田にて。
オンライン予約して行かずに劇場窓口でチケットを購入しました。
作品名をうろ覚えで、『逃げきれぬ夢』と言ってしまった。全然ちがう話になってまうがな(笑)。
教員たちとの関係は良好、生徒たちからも一応慕われているはず。
老人ホームに入る父親(光石禎弘)に面会に行っても反応なし。
日々になんとなく空しさを感じていたある日、
元教え子の平賀南(吉本実憂)が働く定食屋で会計をし忘れて退店し、
後を追いかけてきた南に自分は病気だと口走ってしまう。
自分のことを見つめ直したくなった末永は、校長に嘘をついて年休を取り、
幼なじみの石田啓司(松重豊)に会いに行くのだが……。
序盤の末永はかなりキモイです(笑)。
今までろくに話もしなかった娘に対して、突然「彼氏はいるのか」とニヤケ顔で聞いたり、
「最近加齢臭が気になるからアロマオイルを買ってきてほしい」と頼んだり。
台所に立つ妻に後ろから抱きついて「スキンシップが大事だってネットに書いてあった」とか。
当然のごとく妻から突き飛ばされた後、交際時代の話を始めて妻ドン引き。
女性の目で見ると、「はぁ?」と言いたくなるところが多い作品ですが、
もしかすると同世代の男性は共感できるところがいっぱいあるかもしれません。
特に、これまで仕事一筋で、酒オンナ博打いっさいなし、
みんなに好かれたい一心で生きてきた男性は、本作を観るとツライはず。
がんばってきたのに家族はそれを認めてくれない。
定年まで1年を残して「仕事を辞める。どう思う?」と妻と娘に尋ねたら、労いの言葉がない。
腹立たしい気持ちをぶちまけると、「辞めたいけどどう思う?ならともかく、
辞めるって決めてるんでしょ。だったらこっちがどう思うか関係ないでしょ」と言われ、
「で、辞めて何かしたいことがあるの?」と聞かれると、何も思いつかない自分に気づきます。
相当面倒くさい父親ですが、寂しげな顔を見ていると同情の気持ちも湧いてくる。
でもねぇ、実際には可哀想かなと思うと、たいていロクなことにはならんのです。
後悔のないように生きればいい。でも、ひとつも後悔のない人生なんてやっぱり無理だと思う。
イチローじゃあるまいし。(^^;