『高速道路家族』(英題:Highway Family)
監督:イ・サンムン
出演:チョン・イル,ラ・ミラン,キム・スルギ,ペク・ヒョンジン,ソ・イース,パク・タオン他
アップリンク京都にて3本ハシゴの3本目。
監督はこれが長編デビューとなるイ・サンムン。
なんというのか、つらかった、しんどかった。
つらくてしんどくても面白い韓国作品はいろいろありますが、
本作は新鋭らしくて、あと一歩ほしいというところでしょうか。
夫ギウ、妻ジスク、長女イニ、長男テク。
サービスエリアで人の良さそうなドライバーを見つけて近づくと、
妻の実家からの帰りに財布を落としたから金を貸してほしいと声をかけるのだ。
相手が渋ると子どもたちが登場。「お父さん、早く帰りたいよぉ、おなか空いたよぉ」などと言って。
そんな子どもたちの様子を見て、相手は可哀相に思いはじめる。
それに、貸してほしいという額が2万ウォン(=2千円足らず)なものだから、
返ってこなくてもまぁいいかと思ってしまうのだ。
そんなふうに食いつないでいたギウ一家だったが、
ある日、以前2万ウォンを騙し取った中年女性ヨンソンに再び遭遇し、手口を見抜かれる。
しらを切るどころか、ヨンソンをクソババア呼ばわりしたギウは、
防犯カメラに映る姿が動かぬ証拠となって逮捕される。
捕まったのはギウのみ。どこへも行くところのない家族3人は途方に暮れる。
警察の前でジスクたちを見かけたヨンソンは、3人を連れ帰ることにするのだが……。
期せずしてこの直前に観た『午前4時にパリの夜は明ける』同様に、
居場所のない人を連れ帰って面倒をみる話。
どういう理由でこうなったのか、ホームレス一家の姿は見るに堪えません。
ギウは人に騙されて一文無しになったようだけど、そもそも上手い儲け話などあるはずもない。
儲かる話を人に教えるのは、詐欺を働こうとしている人間かバカ、でしょ?
それまでも仕事を転々としていて、真面目に働いていた男ではないわけです。
家も金もないくせに、ジスクのお腹の中には3人目の子ども。
どないするつもりやねんと言いたくなります。
一方のヨンソンは中古家具店を営み、夫と共につましく生きてきた女性ですが、
実は子どもを事故で失った過去がある。だから、イニとテクを見捨てられない。
亡くなった息子を思い出しながらふたりを可愛がり、ジスクにも目をかけます。
家族にこだわるジウの気持ちはもっともだけど、ならば生活をなんとかしろ。
子どもたちを学校にも通わせず、詐欺の片棒を担がせるような真似をして、ヨンソンを逆恨みするのですから。
イニを見ているのが特につらかった。最後の彼女の笑顔が救いです。